20161122
見出し画像は、Sさん宅の軒下にズラッと並ぶ食べ頃になってきた干し柿。
先日Sさん宅でたんじゅん農で畑をしている者、少したんじゅんを齧(かじ)ってみようか、話を聞いてみようかという者たちも加わり、話し合う機会があった。その際の話題の一つを取り上げてみます。
たんじゅんでは、畑の微生物の世話をすることを考える。微生物がエネルギーを取込み畑の作物を元気な作物に育て上げるからだという。土の中の微生物のことは好気性菌・嫌気性菌・日和見菌などで構成されてその比率を豊かな畑のすることで変えることができる。そのためにエサを与える、水を抜き空気に触れさせる。この過程がいわゆる微生物の世話。微生物が機嫌よく畑をいい状態にしてくれるように手助けすることがたんじゅん農のノウハウの一つ。
目の前に現れる、目に見える様々な現象に右往左往するのではなく、その背景・原因について思いをめぐらすことが大切だという考え方は、私自身の経験の中で得た教訓のようなものでもある。この考え方はたんじゅんにはよくある考え方。だから私はたんじゅん農の考え方に共鳴するところがたくさんあるし、ここに身を置いている。
畑の作物を観察することはとても大切なのですが、そのこと(表面的な現象)で必要以上にグラグラしない。作物状態の背景・原因に思いを馳せる。
先日の話し合いで、あきらかに水を欲しがっている作物(きっと葉が垂れ下ったキュウリやナスなど)を見たのでしょう。経験の浅い人が陥りやすい問題ですね。その作物に水をやろうとすると、たんじゅんを少しやっている人は「何をするのか、水を入れたら微生物によくない、畑によくない」と言って非難する。場合によっては喧嘩早くって、怒鳴り散らしたり感情的になるという人も中にはいるでしょう。
ちょっと話が変わりますが、たんじゅん仲間では「経験の浅い人が先生」という話がある。経験の浅い人の発言にはより一層耳を傾けるよう戒めていることばでしょうが、その意味からすると作物に水をやるべきだと考える人(先生)に、考えを改められるよう説明を尽くすことが必要だ。
まず、水と水分の違い、水分があれば作物は枯れないこと、それでも危なければ水をやることより水分の消費量を減らすように葉の数枚を切除するほうが作物のためになることを説明する必要があるのではないでしょうか。水分の話。根のある土の中、その深さの土の中で水分(土の湿度)を感じれば水分については大丈夫です。作物が根から取り込むことができる水分量(吸水能力)と光合成や呼吸で消費する水分量にギャップがあり、必要な水分が取込めていない場合にどうするかがこの問題です。必要な水分が足りない中で根は必死に水分を吸い上げようと働くはずです。根に対するこのストレスが大切です。たんじゅん農ではこれを圧力といいます。圧力、プレッシャー、ストレスの中で根は、より深い場所に根を伸ばし、広い範囲に根を広げることで吸水能力を大きくしていくのです。ここで水を与えてしまうと根に対する圧力、ストレスを弱く少なくしてしまいます。余分な努力をせず水を吸い上げて終わり。また葉をダラリと垂らして水を要求するようになるでしょう。子供がおもちゃが欲しいと売り場でダダをこね、寝転がって困らせるのと同じです。親は筋を通さないといけません。ここではストレスや圧力を弱めることなく、苦肉の策で植物の葉を落としたり工夫をします。呼吸の際、葉から逃げる水分(水分蒸散)を減らすために葉を落とすことも考えられます。その際も根は水分を吸い上げようとする努力は続けています。葉は必要に応じてまたいくらでも出てくるものです。作物の根を信じてあげればいいのです。
私はたんじゅんのこういう方法論というかやり方を見たとき、前述のように子供を育てる時の親のスタンスに共通点を感じました。子供がかわいそう、苦労している、苦しがっている、困っているように親には見えるものです。その圧力というかストレスを子供が受けている時に、親たる者、安易に圧力を親の感情だけで弱める、楽にするようなことはしない。自らの力で根を張り、伸ばし、根性をつけようとしている子供に、感情だけで熟慮もせず、圧力から解放するようなことはしない。それよりもどうしたらそこを乗り越えられるような力を得ることになるかを子供と一緒に考えてやることの大切さを認識してほしいものです。
ボランティアしていても感じることです。たとえば障害者に安易に手を差し伸べるだけが手助けではないのではないかと。
これらは虫がいるから薬剤をかける、自分にとって不都合なものを排除することで問題を解決しようとする考え方と同じではないでしょうか。なぜ虫がいるのかに思いをめぐらして対応していくべきではないでしょうか。
こうした説明で、経験の浅い「先生」は納得するでしょうか。先生に説明する際も、「先生」の知識欲をうまく活用する説明の仕方がたんじゅん式の説明だといえるかもしれません。知りたがっているからと正解をすぐに提示しない。考えて気づく喜び、「あっそうか」を体験してもらうのも大切なことです。
時間に余裕があるときに たんじゅん農についてのホームページがあります。
ご覧になってみたらいかがでしょうか。HPはこちら。