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ワイワイ菜園~たんじゅん農法試行中

たんじゅん農法全国世話人のSさんと自宅が近い事からたくさんの事を教えていただき、それを咀嚼しながら畑作業に取組んでいます

染色とたんじゅん農

2017-09-01 19:00:00 | 晴耕雨読

20170831

8月も最後の日となった。

先日テレビで放映していた染色についての番組だったのだけれど、その番組を見ていて染色と自然農について似たような流れになっているのだなあと思った。そして心強くも思われた。その話が大変印象的だったので、話題として取り上げられていた吉岡幸雄さんについても読んでみたいと思ってこの本を読み始めた(見出し画像)。

吉岡幸雄 ;染色家・染色史家。1946年京都生まれ。生家は江戸時代から続く染屋。大学卒業後、美術図書の出版社を設立。1988年に家業「染司よしおか」15代当主を継ぐ。毎年東大寺・薬師寺・石清水八幡宮などの神社仏閣の行事で使用する染和紙などを植物染で納品したり、伊勢神宮や春日大社の伝統的行事にも仕事をしている。東大寺・法隆寺などの天平・奈良時代の衣装や装飾品を天然染料で再現製作しているという。

本のカバーには「日本人ほど色の名前について豊かな表現ができる民族はいないのではないだろうか。四季折々に移り変わる自然の美しさに目を据えて、数え切れないほどの色名を造語してきた。そんな日本人が好んだ古代色を「染司よしおか」が再現する」とある。

吉岡さんの染色に関する実績をHPで見ると驚いてしまう。HPはこちら

海外で多くの賞賛を受けているという事は、特別日本人だけが色の区別ができる訳ではないということにホッとしたりもする。色の微妙な差を区別し名前をつけて色を味わい、その色合いを染色のような形で再現していくというのはあるいは日本人の特性なのかもしれない。色の微妙な差に感動し話題にするかという部分では特性があるのかもしれない。

回りくどくなったが、自然農との関りについてだが。

平安時代の武士の甲冑が茜色の糸?紐?で装飾してあるのだが、近世(明治期?)になって傷んだ紐の部分を修復したという。しかしその際の修復部分の紐の染料は茜色でも化学染料が使用されたらしい。現在になるとその甲冑の紐の部分は以前修復しなかった平安時代の茜色の紐は鮮やかな色合いを出しているのだが、明治期に修復した紐はかつての茜色の色が落ち、薄い桃色になってしまっている。

この画像を見た時に、改めて平安期の染色技術に驚き、化学染料など人工的な色の薄っぺらな、儚(はかな)さのようなものを感じた。

古代色は主に植物などから色素などを取り出して布に色を付けていく。800~900年経っても布などに鮮やかな色合いを残している。しかし化学染料導入当時にはその退色の様子をみることなく、簡単に同じような色合いが出せると多くの染色業者は化学染料に切換えてしまった。その影響で植物などから染料の色素を抽出する技術、さらには染料を取り出すために栽培していた植物栽培自体が無くなってしまう事になる。古代に微妙な色の差を染色で表現するために長い時間と知恵で編み出してきたノウハウも無くなってしまうのです。技術や植物を絶やすのは簡単ですが、それを再生させる吉岡さんたちの苦労は大変なモノだったのでしょう。

農業においても、かつては身の回りにあるもので工夫し作物を育ててきた。しかし農薬や化学肥料が出回ってくると、それらに依存するあり方になる。便利で楽な方法が一般化すると多くがそちらへ流れる。そこには「明日の百円より今日の十円」という心理があるのでしょう。自然農やたんじゅん農が良くて、慣行農業が悪いと決めつけようというのではありません。染色も化学染料は使わず、古代染料に変えなさいと申し上げているのでもない。

何でも陰陽があるように、良いところがあれば都合悪いところもある。慣行農業にも、もちろんたんじゅん農にも良いとこも都合悪いとこもある。私は便利で楽な方が必ずしも良いわけではないと云いたい。野菜なども肥料や薬剤で生産者にとって楽に出荷できる野菜が収穫できることは都合いいかも知れないが、過保護気味に育てられた野菜の味わいよりは、しっかりと時間をかけて自分の力で必要な養分を蓄えて育った野菜の方が味わい深いと云いたいのです。そういった野菜が育てられたら、食べれるようになったら幸せだろうなと思って、いろいろ試行錯誤を積み重ねています。

本当の色、様々な色合いの違いを目の当たりにすると古代色の奥深さや微妙な加減を感じることができます。野菜もあまりニンジンらしくないあっさりしたニンジンよりも、個性的は味であっても主張してくるようなニンジンの方が生命力を感じますし、野菜を味わっている実感がありますよね。こうなってくると嗜好品の範疇ですね。

楽をして売れる生産者都合の野菜ではなく、どう育てることが自然の法則に沿った野菜を育てることになるのだろうかと考えながら作物に向き合うたんじゅん農の存在価値があると思うのです。もちろん薬剤やホルモン剤を使い、化学肥料で窒素を畑にばら撒いて作る野菜もあるし、そういうスーパーで売っているような野菜を何も考えずに買う消費者もたくさんいます。いろいろよく考える人が増えるといいと思うのですが、買う人がいる限り作る人がいます。それはそれで否定はしていません。


本;ロジカルな田んぼ

2017-08-01 06:00:00 | 晴耕雨読

20170731

今すぐに影響が出てくるという訳ではないようですが、台風が南の海上で迷走しているようです。私はブログ公開日とその翌日、京都中心に関西に出掛けるので畑は1日・2日はお休み。キュウリなどはすぐに大きくなることから少しサイズが小さいものまでこの日収穫してしまいました。

往復の時間をどう使おうかと考えた末、本を借用しました。

「ロジカルな田んぼ」松下明弘(日本経済新聞出版社)

地元で8月にこの人の講演がある勉強会が開催されるとのこと。農林大研修時代の友人から誘われて参加してみることにしました。そしてこの人が書いたという本を借りてきました。この本には彼のことが以下のように紹介されている。

松下明弘 1963年静岡県生まれの稲作農家。雑草は何故生えるのか、何のために耕すのか、何故田植えが必要なのか・・・・。有機無農薬で米を作り、巨大胚芽米「カミアカリ」を開発した彼の農作業にはすべて意味がある。農薬と化学肥料に頼らず、おいしい米を追求する「稲オタク」が語る新しい農業のかたち。

読み始めてみるとSさんの行っている田圃の作業と似ている部分が多いのです。私から云わせれば「炭素循環農法」じゃないの?という感じです。

見出しを見ただけでも何か面白そうだ。

雑草の生えない田んぼ、除草から抑草へ、コナギが増えればヒエが増える、フワトロ層が全てを解決(Sさんの云う「トロトロ層」と同じ事らしい)、何故メタンが発生するのか、追肥の条件は臭わない事、緑肥を使う田んぼも、ウンカが入って来ない、まずは土木作業、苗から厳しく育てる、等々。


保守政治家、物理学へのいざない

2017-07-13 23:00:00 | 晴耕雨読

20170713

7月5日付け朝日新聞に「〈与謝野馨さん寄稿〉保守政治家、物理学へのいざない」という記事があった。この保守政治家とは以前亡くなった、衆議院議員、与謝野馨氏で、とても読書が好きな方だっという事だ。生前は、文部・通産・財務大臣経験者ということくらいで与謝野さんの事は余りよく存じ上げなかったが、この記事を読んでみるとなかなか真面(まとも)な政治家だったという事がよく判って、失礼だが面白い。この記事で彼に関心を持って調べてみると、与謝野晶子の次男の長男、つまり孫にあたるという。

現在、たんじゅん農でいろいろ教えてもらっているSさんも51歳までは大学の物理の先生。なにか云っている内容がダブるところもあって興味深い。

<与謝野>量子力学の世界で感心するのは、二つの状態が同時に併存するということ。光というのは波であり、粒でもある。これを知って以来、政治の世界でも、二つの世界が併存していてもいいのではないかと思ってきた。硬直した考え方で物事を見る必要はない。相矛盾する話が併存するのが少しもいやでなくなったのは、やはり物理学の効能だ。

<Sさん>二元論的モノの考え方(勝ち負け、得した損した、取った取られた、善悪、〇× 等々)では物事は解決していかない。相矛盾する話が共存することを許容できると楽になる。

<大河ドラマ直虎>答えは一つだけとは限らないのではないかのう

 

その読書家・与謝野馨氏が薦める本

『物理学とは何だろうか』上・下(朝永振一郎)

『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』(戸部良一)

『井上成美』(阿川弘之)

『ジョセフ・フーシェ ある政治的人間の肖像』

『1、2、3…無限大』(ジョージ・ガモフ)

『磁力と重力の発見』(山本義隆)

『ハッブル望遠鏡が見た宇宙』(野本陽代、R・ウィリアムズ著)

新聞の記事を読んで、ゆっくり読んでみたいと思った。


晴耕雨読

2017-07-01 20:00:00 | 晴耕雨読

20170630

この日も雨、人間は勝手なモノで「梅雨に入ったのに空梅雨で雨が降らない」と云っていたかと思うと、梅雨空を見上げて「百姓殺すに刃物はいらぬ。雨がひと月降ればよい」と云ってみたり。

雨が上がれば蒔きたい種があったりするが、こうして雨が続く時にはジタバタしないのが一番だ。

雨でも本屋さんはやっている。

というわけで、この雨で読んでいる本は、見出し画像の4冊。農業と関係がない本もある。

農業関係では、

現代農業5月号「初期除草の知恵 虎の巻」

「花を咲かせるものは何か」 花成ホルモンを求めて 瀧本 敦 中公新書

農業以外ですが

「命を守る住まい方」 中川洋一 近代消防社

文芸春秋SPECIAL 脳と心の正体 文芸春秋社

現代農業「初期除草」の特集は梅雨時の草の扱い方を、草の種類によっておすすめの対応をまとめていた。

 

さて気になる天気予報だが

7月2日からは、しばらく傘マークが消えている。しかし梅雨時の天気予報である。気が付くと傘マークだらけとなったりする。あまり期待できないかもしれないが、雨が降らずにしばらく曇り空が続く確率が高いという程度の予想で、すべき事や順序を組み立てておく必要がある。でも予報が当たらなかった時も慌てないようにだけしておきましょう。


畑をつくる微生物

2016-10-30 08:00:00 | 晴耕雨読

20161029

畑を前にして、目の前の作物よりも土の中にいる微生物をイメージするように言われてきました。微生物が住みやすい環境を作ることが大切だと。注意するのはエサを与える事、水を抜いて空気が行き渡るようにの2点です。土の上に展開される作物生長の様子は微生物のバロメーター、指標だと受け止められるようにという話です。

微生物など高校時代にちょっと学んだような感じですが、これがなかなか奥が深い らしい。

3冊の本が手元にあります。

「(図解でよくわかる) 土壌微生物のきほん」横山和成監修 誠文堂新光社

土の中のしくみから、土づくり、家庭菜園での利用法まで

「微生物の世界 The World of Microorganisms」宮道慎二他編集 筑波出版会

「畑をつくる微生物」(微生物と人間編) 木村龍介著 農文協

 

「畑をつくる微生物」は図書館では児童書の扱いになっていますが、これがなかなかバカにしたものではありません。この本シリーズ「微生物と人間編」を出すについて企画の中心にいた西尾道徳氏の以下の文章。

 

微生物は人間の誕生よりも、はるか以前から地球に住んでいます。微生物の力で、この緑の地球が作られ、微生物から始まった長い長い生物の進化の歴史のなかで、地球上のすべての種類の生きものが埋めれたのです。

微生物は、野外の水、空気、土のなかにも、植物や動物のからだの表面や、からだの中にも、また部屋のなかにも、更には温泉の熱湯、光の届かない暗い海底にまで、あらゆるところに住んでいます。でも微生物は小さいために、私たちの目にはふつう見えません。

小さな生きもの(微生物)とその働きを知ると、自然のしくみをよく理解することができます。また私たちの生活を豊かにすることもできます。この本を読んでから自然や田畑や食べ物をながめなおしてください。今までと違った目で見ることができるでしょう。

 

下の画像は 菌根菌が菌糸を作物の根の中に伸ばし、同時に土の中にも菌糸を伸ばしているイメージ図です。根が自分では吸収しきれない養分を菌糸(微生物)が仲介して、土の中から養分(例えばこのページでは、土の中のリン酸)を作物の根に供給している図です。

微生物がこういう働きをしていることは、正直これまでは認識していませんでした。たんじゅんと出会ってから菌根菌の菌糸の話も知ったようなところです。その情報がこうして児童向け書籍に書かれていることはビックリでしたし、また理解しきれないところが判り易く書かれていました。