社会的スキルを育てるミニエクササイズ基礎基本30の内容紹介第2弾
「1 ≪理論編≫なぜ,今,社会的スキルなのか(冒頭)」から 《理論編》を紹介します。
http://www.meijitosho.co.jp/shoseki/shosai.html?bango=4%2D18%2D184118%2D8
(1) 今求められる「社会的スキル」とは
1 今求められる「社会的スキル」とは
《キーワード》抵抗やダメージの軽減
最近,書店の教育書コーナーやインターネットでの書籍の人気ランキングには,エンカウンターや,ソーシャルスキルトレーニング,アサーションスキルトレーニング等のかかわりを意識したカウンセリングの技法としての「社会的スキル」にかかわるものが多く見られる。そして,それだけ現場に取り入れられているということになると思う。
一方,社会的スキルを導入したために,それまで安定して学校生活を送っていた子どもたちが,突然パニックになったり,抵抗や拒否反応を起こしてしまい,対応,対処に苦慮しているという現場の教師,子ども,保護者からの苦情や悩み,相談が増加しているという情報も届いている。
そこで,次のような素朴な疑問がわいてくる。
①「社会的スキル」とは何か?
②構成的グループエンカウンターやソーシャルスキルトレーニング,アサーションスキルに代表されるようなカウンセリングの技法をどのようにとらえ,活用するやり方は?
これら二つの疑問に答える第1弾として,本書では,理論編において,平成21年度から完全実施されている新学習指導要領の中に取り入れられることになった「社会的スキル」とは何か,その背景や求められることを確認していきたいと思う。
また,実践編では,「社会的スキル」の基本的な考え方や活用の際の配慮点等を意識して,ダメージが少なく,抵抗がおきにくい形で実施できる「ミニエクササイズ」として提案したいと思う。
2 学校生活スキルトレーニングの基本的な4つの原理とは?
《キーワード》社会的スキルトレーニング
そもそも学校生活における社会的スキルの例としてはどのようなものがあるのだろうか。
私は,様々な研究の中から,学校生活に取り入れやすい形で提案されている「ソーシャルスキルトレーニング」の中でも,(國分・小林・相川,1999),が提案する次のような4つの原理を知っておき,社会的スキル発達のメカニズムや基礎基本を前提にとらえると分かりやすいと思う。
① 教えられて(言語的教示)
子どもたちは,親や教師,周囲の大人等から,「言葉」で社会的スキルを教えられ,それを実行することによって身に付けることが出来,言語的教示が動機付けとなることが多い。
② 結果から学んで(オペラント条件付け)
子どもたちは,言語的教示に従って実行した行動や自分が偶然とった言動からする反応が,自分の欲しい物が手に入る,ほめられる等の肯定的な結果をもたらすことに気づくと,その肯定的結果をさらに得ようとして,その行動を繰り返すようになる。
反対に,自分の行動や反応が否定的な結果(無反応である,叱られてしまう,注意される等)をもたらされることになれば,その行動をとらないように気をつけ,繰り返さないようになる。つまり,子どもたちは,自分がとった行動の結果から社会的スキルを学ぶことになるのである。
このタイプの学習を「オペラント条件付け」と呼ぶ。
③ 人まねをして(モデリング)
子どもたちは,他の人がとった反応や行動がどんな結果をもたらしているのか客観的に観察して社会的スキルを学ぶことが多い。
また,他の人の反応や行動をまねてみることで,社会的なスキルを学ぶことになる。
このようなタイプの学習を「モデリング」と呼ぶ。
④ 試してみて(リハーサル)
子どもたちは,人間関係に関する“かかわり方”“言動のための知識”を頭の中で何回も繰り返し反復したり,実際に言動を何度も反復して社会的スキルを身に付けることも多い。
多くの場合,親や教師などが,意図的に社会的スキルを習得できるように,繰り返し練習させることもある。
頭の中で得た知識を言語的に反復することを「言語リハーサル」,行動レベルで繰り返し練習することを「行動リハーサル」と呼んでいる。
このように,子どもたちは社会的スキルを,「言語的教示」「オペラント条件付け」「モデリング」「リハーサル」を通して獲得していくとされる。
《学校生活スキルトレーニングの考え方を活かした一般的な授業の展開の例》
○ インストラクション(言語的教示)
導入の段階で,教えようとするスキルの重要性に気付かせながら,言葉でスキルを教える。
↓
○ モデリング
エクササイズやロールプレイなどを用いて,スキルの見本を見せて,まねをさせる。
↓
○ 展開リハーサル
エクササイズやロールプレイなどを用いて,身に付けさせたい適切なスキルを,子どもの頭の中や,実際の行動等で,何度も繰り返し反復させ,社会的スキルの意図を明確に理解する。
↓
○ フィードバック
活動の振り返り(シェア)をして,やってみたことをほめたり,修正したりすることにより,身に付けたスキルを日常生活で実践する意欲を高める。
↓
○ 定着化(般化)
練習・トレーニングしたスキルを,実際の生活場面で使えるように促し,実践化に向けて努力しようとする。
3 どのように心がけて取り組む?
《キーワード》教師のリーダーシップ
授業における学校生活スキルトレーニングも,多くの場合この4つの原理にそった方法を踏まえ,授業における学校生活スキルトレーニングの構成を考えて計画・実践に取り組むことで,ソーシャルスキルを効果的に身に付けさせている。
また,支援に当たる教師は,あたたかな受容的な態度で臨むことと,楽しい雰囲気づくりに留意するとともに,「リーダーシップ」を発揮しながら,子どもたちの考えや感情を受け入れ,安心して心を開けるステップ,ゆったりとした「自分もよく,みんなもよい」ペースで進めることを心がけることがポイントになる。
私は,エンカウンターを実践する際に身に付けて活用する「リーダーシップスキル」と「コミュニケーション能力」の考え方を大切にしていきたいと思う。
http://www.meijitosho.co.jp/shoseki/shosai.html?bango=4%2D18%2D184118%2D8
「1 ≪理論編≫なぜ,今,社会的スキルなのか(冒頭)」から 《理論編》を紹介します。
http://www.meijitosho.co.jp/shoseki/shosai.html?bango=4%2D18%2D184118%2D8
(1) 今求められる「社会的スキル」とは
1 今求められる「社会的スキル」とは
《キーワード》抵抗やダメージの軽減
最近,書店の教育書コーナーやインターネットでの書籍の人気ランキングには,エンカウンターや,ソーシャルスキルトレーニング,アサーションスキルトレーニング等のかかわりを意識したカウンセリングの技法としての「社会的スキル」にかかわるものが多く見られる。そして,それだけ現場に取り入れられているということになると思う。
一方,社会的スキルを導入したために,それまで安定して学校生活を送っていた子どもたちが,突然パニックになったり,抵抗や拒否反応を起こしてしまい,対応,対処に苦慮しているという現場の教師,子ども,保護者からの苦情や悩み,相談が増加しているという情報も届いている。
そこで,次のような素朴な疑問がわいてくる。
①「社会的スキル」とは何か?
②構成的グループエンカウンターやソーシャルスキルトレーニング,アサーションスキルに代表されるようなカウンセリングの技法をどのようにとらえ,活用するやり方は?
これら二つの疑問に答える第1弾として,本書では,理論編において,平成21年度から完全実施されている新学習指導要領の中に取り入れられることになった「社会的スキル」とは何か,その背景や求められることを確認していきたいと思う。
また,実践編では,「社会的スキル」の基本的な考え方や活用の際の配慮点等を意識して,ダメージが少なく,抵抗がおきにくい形で実施できる「ミニエクササイズ」として提案したいと思う。
2 学校生活スキルトレーニングの基本的な4つの原理とは?
《キーワード》社会的スキルトレーニング
そもそも学校生活における社会的スキルの例としてはどのようなものがあるのだろうか。
私は,様々な研究の中から,学校生活に取り入れやすい形で提案されている「ソーシャルスキルトレーニング」の中でも,(國分・小林・相川,1999),が提案する次のような4つの原理を知っておき,社会的スキル発達のメカニズムや基礎基本を前提にとらえると分かりやすいと思う。
① 教えられて(言語的教示)
子どもたちは,親や教師,周囲の大人等から,「言葉」で社会的スキルを教えられ,それを実行することによって身に付けることが出来,言語的教示が動機付けとなることが多い。
② 結果から学んで(オペラント条件付け)
子どもたちは,言語的教示に従って実行した行動や自分が偶然とった言動からする反応が,自分の欲しい物が手に入る,ほめられる等の肯定的な結果をもたらすことに気づくと,その肯定的結果をさらに得ようとして,その行動を繰り返すようになる。
反対に,自分の行動や反応が否定的な結果(無反応である,叱られてしまう,注意される等)をもたらされることになれば,その行動をとらないように気をつけ,繰り返さないようになる。つまり,子どもたちは,自分がとった行動の結果から社会的スキルを学ぶことになるのである。
このタイプの学習を「オペラント条件付け」と呼ぶ。
③ 人まねをして(モデリング)
子どもたちは,他の人がとった反応や行動がどんな結果をもたらしているのか客観的に観察して社会的スキルを学ぶことが多い。
また,他の人の反応や行動をまねてみることで,社会的なスキルを学ぶことになる。
このようなタイプの学習を「モデリング」と呼ぶ。
④ 試してみて(リハーサル)
子どもたちは,人間関係に関する“かかわり方”“言動のための知識”を頭の中で何回も繰り返し反復したり,実際に言動を何度も反復して社会的スキルを身に付けることも多い。
多くの場合,親や教師などが,意図的に社会的スキルを習得できるように,繰り返し練習させることもある。
頭の中で得た知識を言語的に反復することを「言語リハーサル」,行動レベルで繰り返し練習することを「行動リハーサル」と呼んでいる。
このように,子どもたちは社会的スキルを,「言語的教示」「オペラント条件付け」「モデリング」「リハーサル」を通して獲得していくとされる。
《学校生活スキルトレーニングの考え方を活かした一般的な授業の展開の例》
○ インストラクション(言語的教示)
導入の段階で,教えようとするスキルの重要性に気付かせながら,言葉でスキルを教える。
↓
○ モデリング
エクササイズやロールプレイなどを用いて,スキルの見本を見せて,まねをさせる。
↓
○ 展開リハーサル
エクササイズやロールプレイなどを用いて,身に付けさせたい適切なスキルを,子どもの頭の中や,実際の行動等で,何度も繰り返し反復させ,社会的スキルの意図を明確に理解する。
↓
○ フィードバック
活動の振り返り(シェア)をして,やってみたことをほめたり,修正したりすることにより,身に付けたスキルを日常生活で実践する意欲を高める。
↓
○ 定着化(般化)
練習・トレーニングしたスキルを,実際の生活場面で使えるように促し,実践化に向けて努力しようとする。
3 どのように心がけて取り組む?
《キーワード》教師のリーダーシップ
授業における学校生活スキルトレーニングも,多くの場合この4つの原理にそった方法を踏まえ,授業における学校生活スキルトレーニングの構成を考えて計画・実践に取り組むことで,ソーシャルスキルを効果的に身に付けさせている。
また,支援に当たる教師は,あたたかな受容的な態度で臨むことと,楽しい雰囲気づくりに留意するとともに,「リーダーシップ」を発揮しながら,子どもたちの考えや感情を受け入れ,安心して心を開けるステップ,ゆったりとした「自分もよく,みんなもよい」ペースで進めることを心がけることがポイントになる。
私は,エンカウンターを実践する際に身に付けて活用する「リーダーシップスキル」と「コミュニケーション能力」の考え方を大切にしていきたいと思う。
http://www.meijitosho.co.jp/shoseki/shosai.html?bango=4%2D18%2D184118%2D8