はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

山林作業の基本姿勢②

2022年04月10日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 山林作業の基本姿勢2回目の今回は「鋸・チェーンソー」における作業の基本姿勢についてです。

 

 前回の鉈同様、鋸も刃物なので、切り終わったときの刃先が自分の足にあたらない姿勢が基本となります。

 

 鋸で受け口を作る場合。

 次の写真を例にすると、鋸の動きが(自分自身から見て)左から右なので、左足が前・右足が後になります。

 前回の鉈のお話でも説明しましたが、振り下ろす刃側の足は、必ず後ろになる姿勢が基本です。

 

 

 足が逆になっているダメな姿勢です。

 鋸の場合、この姿勢では、力が入りにくく、切りにくいです。

 ところが、チェーンソーの場合、刃が高速で回転するので、足が逆になっても、違和感なく伐ることが出来てしまいます。

 

 僕が駆け出しの頃、皆がチェーンソーで間伐する中、一人、鋸を渡され、ギコギコと間伐をしていました。

 そして、それにもしっかりとした理由がありました。

 チェーンソーを使う前に、まずは、鋸を正しく扱う技術と正しい作業姿勢を身につけるためです。

 

 鋸で木を伐る場合、足下をしっかりと確認し、しっかりと踏ん張らないと、上手く伐ることが出来ません。

 チェーンソーの場合、機械さえしっかりと持っていれば、高速回転する刃によって、勝手に切り進んでいきます。

 そのため、鋸ほど、足下をしっかりと踏ん張る必要もないし、腰を屈めるような姿勢でも木を伐ることが出来ます。

 鋸は、しっかりと踏ん張らないといけないし、腰を屈めるような姿勢だと腰への負担が大きく疲れてしまい、1日中、間伐することが出来ないので、自ずと、腰を落として、踏ん張る姿勢が身につきます。

 師匠から「鋸を上手く扱えない者は、チェーンソーも上手く扱えない」、「鋸で真っ直ぐに伐れない者は、チェーンソーでも真っ直ぐに伐れない。」と、何度も何度も注意されました・・・(T_T)。

 

 そして、追口。

 鋸の動きが右から左に変わるので、作業姿勢も、右足が前・左足が後になります。

 受け口と追い口で作業姿勢が変わります。

 

 そして、正しくない姿勢、左足が前・右足が後。

 受口の時と同様、切りにくいですけどね・・・。

 正しい作業姿勢、刃物を扱うときの作業姿勢を理解・認識していないと、この姿勢でも違和感なく、チェーンソーで切ることが出来てしまいます。

 

 鋸がチェーンソーに変わっても、基本姿勢は変わりません。

 次の写真のように受口を作る際、チェーンソーの刃は左から右に向かうので、「左足が前・右足が後ろ」です。

 受口なので、そのまま切り進めなくても、刃の進行方向に近い位置の足は後ろが基本です。

 追い口になると、刃は右から左に進むので、作業姿勢は「右足が前・左足が後ろ」になります。

 刃の進行方向に近い位置の足は必ず後ろ、というのは、鉈や鋸と同じです。

 自分の足を伐らないようにするためです。

 チェーンソーは機械ですが、伐る道具なので、刃物と同じように扱う姿勢が基本姿勢になります。

 

 

 次に、鋸の動きが上から下になった場合。

 枝払いとか造材の時ですね。

 

 右利きの方は、右足が後・左足が前になります。

 正しくない姿勢は、右足が前・左足が後です。

 万が一、途中で枝が折れたら、伐り進んだ鋸の刃先が、自分の足にあたるリスクがあります。

 チェーンソーでの枝払いや造材も同様で、そして、その危険度は鋸の比ではありません。

 

 鋸の場合、正しい作業姿勢でないと、すごく疲れるし、無駄な力が入るため、伐り方に違和感を感じます。

 チェーンソーの場合、機械なので、正しい作業姿勢でなくても伐り進むことが出来ます。

 そして、正しい作業姿勢を知っていないと、その違和感を感じることが出来ません。

 

 僕が駆け出しの頃は、初めから機械ではなく、手道具でした。

 今の新人さん達は、早々から機械を扱うことになります。

 山林における作業姿勢、刃物を扱う基本姿勢の認識がないままに、機械を扱うと、姿勢の違和感を感じることなく、作業を進めてしまいます。

 そして、その姿勢が、自分に対する怪我のリスクがあることにも気づきにくくなります。

 

 本来、伐採や枝払い・造材の際は、木や枝の位置に合わして、自分の立ち位置も合わせ、正しい姿勢で作業にかかることが基本です。

 しかし、機械に頼る分、木や枝の位置に合わして、機械の向きを合わせる姿勢がクセになってしまうことが多くなり、結果、伐ったその先に自分の足を出してしまい、自分で自分の足を切るという事故に繋がります。

 

 移動するのが面倒だから、腕と足を伸ばして、枝や玉切りをしていませんか?

 やむを得ず、腕と足を伸ばさないと、木が切れない状況で作業をしていませんか?

 このとき、右足を前にすると、より先の方まで、木を伐ることが出来るので、右足を前に出して伐ろうとし、チェーンソーの刃が右足にあたるという事故に繋がります。

 そもそも、腕を伸ばした状態でチェーンソーを扱うことは危険ですが、少なくとも左足が前・右足が後の基本姿勢であれば、足を切るというリスクが下がります。

 

 機械をすぐに扱えないと仕事にならない時代ではありますが、基本姿勢の認識、一動作での基本姿勢の意識は、非常に重要だと思います。

 特に、林業大学校などでは、こうした基本姿勢、山林作業のそもそも論を、教えていくべきではないかなーと思います。

 

 チェーンソーは機械ですが、扱い方は刃物と一緒です。

 刃物で作業するときの基本姿勢を理解しておかないと、チェーンソーで怪我したとき、具体的な原因と対策が理解できない恐れもあり、同じ事故が再発するリスクにも繋がります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする