はぐくみ幸房@山いこら♪

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山林作業の基本姿勢③

2022年04月24日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 3回目になります山林作業の基本姿勢について、今回は、下刈り鎌と草刈機(刈払機)を扱うときの基本姿勢です。

 林業に限らず、農業や道路の草刈りにおいても使用される草刈機ですが、僕が目に付く限り、足の位置が正しくない方が多いです。

 ちなみに、「草刈機を持って、左足が前になる方」は、要注意です。(草刈り機を右側に持った場合です。左側に持つ方って、多分いないと思いますが(^_^;)。。。)

 1回目の鉈、2回目の鋸・チェーンソー同様、下刈り鎌と草刈機も振り払った刃先側の足は後ろ足なのですが、草刈機の場合、逆足になっている方が多い(僕が見る限り)と思います。

 

 下刈り鎌を使って、下刈りを行うとき、「右足が前・左足が後」の姿勢が基本です。

 1回目の鉈、2回目の鋸・チェーンソーでも説明したとおり、切れる刃の先にある足が後の位置になります。

 下刈り鎌を使う場合、自然と「右足が前・左足が後」になります。

 そもそも、「左足を前・右足を後」にすると、上手く鎌を扱うことが出来ないので・・・。

 

 そして、移動時も、常に「右足が前・左足が後」になるように足を運びます。

 左足が右足より前に出ることがありません。

 右足を出して、左足は右足のやや後方に運びます。

 実は、この足運びだと、体を安定させつつ、移動することが出来ます。

 

 空手やボクシング、剣道、柔道など格闘技を経験された方は分かると思います。(右利きの方は、先述した足の位置が真逆になりますが。)

 僕はボクシングをしていたので、リング上での足運びは「左足が前・右足が後」です(サウスポーの方は逆です。)。

 そして、試合中、決して「右足を左足の前に運ぶ」ことはありません(あるとしたら、クリンチの時くらいですね。)

 足の位置は逆ですが、理屈は同じです。

 逆に、サッカーやバスケットボール、野球などの球技経験者は、この足運びに違和感があると思います。

 

 山林作業は、急斜面な上、浮石や根株など転倒要因となる障害が多く、その上、草が茂って足下が見えにくいという不安定な環境において行われます。

 転倒しないためにも、常に安定した体姿勢を保ちつつ、作業することがポイントになります。

 そして、下刈り鎌は、「右上から左下へ」刈り払うので、刈り払った刃に近い左足が後になります。

 よって、下刈りの基本姿勢は「右足が前・左足が後」になります。

 

 さて、草刈り機を使用する際も、下刈り鎌と同様の姿勢と足運びが基本です。

 

 まず、草刈り機の刃は、右回転で回ります。

 

 草刈り機に限らず、角材を切る「丸鋸」や研磨に使う「グラインダー」も刃の部分が右回転で回ります。

 右回転で回る機械は、すべて、左上の部分で角材を切ったり、磨いたりします。

 それ以外の場所で切ったり、磨いたりすると、機械に変な振動を与え、それがキックバックに繋がります。

 

 

 

 

 これは、草刈り機も同様です。

 草刈り機の刃も、右回転で回るので、草や灌木を切る部分は、「左上」の部分になります。

 正確には、「左上1/3」の部分になります。

 右上の部分や右下の部分を使って、草や灌木を刈る方もいますが、機械への負担も大きく、キックバックが起こりやすい場所なので、この部分を使うのは、危険です。

 笹刈り刃など刃の種類や目立ての技術の差で、そのリスクを下げることも可能ですが、それを示す基準も論理的な説明資料もないので、新人や経験が浅い方に対する指導や見本としては、個人的にはどうかなーと思っています。

 

 対象物を「左上1/3」の部分で刈ると言うことは、刃の動きは「右から左」になります。

 ということは、刃に近い左足が後になります。

 下刈り鎌同様、「右足が前・左足が後」の姿勢になります。

 この姿勢を維持するため、足運びも「①右足を出す」、「②右足を進めた分、左足を出す」、「③右足より前に左足は出ない」になります。

 

 正しくない作業姿勢です。

 この時、手前の刈り残しがある灌木を刈ろうと、機械を手元に寄せて、刈ろうとして、キックバックを起こし、左足の指を切ってしまう事故が起こります。

 もし、「右足が前・左足が後」の姿勢であれば、このような事故は起こらなかったかもしれません。

 

 ちなみに、「左から右へ」戻すとき、草や灌木を刈らないように戻します。

 

 実際に、草刈り機を持って、この動きを試してみて下さい。

 今までと異なる体の使い方になるので、違和感がある・動きにくいなど、とにかく馴染まないと思います。

 だけど、不安定な場所や危険と感じる場所で作業する際、「右足が前・左足が後」を維持した姿勢で作業をしていると思います。

 意識されている方も無意識の方も、「不安定な場所では、この体勢が安全、やりやすい。」と感じているからだと思います。

 自分自身が「大丈夫。」と思っている場所では、この姿勢で作業をせず、「不安定だな」的なことを感じたら、この姿勢で作業をしていませんか?

 

 その違いを、新人の方や経験の浅い方が、確実に理解できるように伝えることが出来れば、自分自身の感覚を伝えれば良いと思いますが、実際の所、自分自身の感覚を言葉だけで他の方と共有することは非常に難しいです。

 さらに、自分が「大丈夫。」と判断する要素も、正しく相手に伝え、それを共有することも非常に難しいです。

 新人の方は何も分からないし、経験の浅い方も経験不足の所があります。

 まずは、「怪我をしないこと」を優先すべきだと思うので、指導の上で、基本姿勢を教えて、身につけさせることが大切だと思います。

 

 僕が駆け出しの頃、周りが草刈り機で下刈りする中、師匠に下刈り鎌を渡されました。

 下刈り鎌を使うと、必ず「右足が前・左足が後」の基本姿勢とその姿勢を維持する足運びになります。

 それを体に染みこませるため、下刈り鎌を渡されました。

 下刈り鎌の刃の動きも草刈り機の刃の動きも同じだから、この基本姿勢を身につけさせる師匠の指導方針は、今も感謝の気持ちしかありません(当時は、大変だったけど(-_-))。

 

 草刈り機は機械ですが、チェーンソー同様、刃物です。

 

 左足を刃に近い場所へ運ぶ姿勢は、正しくありません。

 

 「右足が前・左足が後」が基本姿勢です。

 その姿勢を維持するため、足運びも「右足を進め、右足を進めた分左足も進め」、左足が右足より前にならないようにします。 

 浮石や根株など転倒要因となる障害物や急斜面、草が茂って足下が見えにくいという環境の中で行う山林作業。

 まずは、「体の動きやすさ」を優先するよりも「体の安定さ」を優先すべきではないでしょうか。

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