はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

奈良県フォレスターアカデミー2024年度 リーダーシップの理論と実践 & 施業提案

2024年05月18日 | 株式会社はぐくみ幸房のお仕事

 本年度も奈良県フォレスターアカデミー様からご依頼をいただき、「リーダーシップの理論と実践」をテーマに1週間の授業を行わせていただきました。

 奈良県フォレスターアカデミーでは、「施業の提案を行い、それを実践できる人材」の育成を目指しており、それに応えるため、毎年、授業構成の練度が上がっています。

 今年度は、担当者の想いもあり、去年よりもより一歩踏み込んだ形で、授業構成を再編しました ......【正直、疲れた (;゚Д゚)】。

 

 今回、踏み込んだのは行動経済学の「ナッジ」を加えたことです。

 昨年度もどうしようかな~と悩んだ末、加えなかった「ナッジ」を今年度は加えることにしました。

 これからは、行政やビジネスにおいて、「ナッジ」という手法が標準になると考えています。

 林業大学校では国内初!の取り組みだったらいいな~

 

 林業という仕事は、自然相手の仕事ではなく、「自然を通じた人間相手の仕事」です。

 この森林をどうすべきか、どのように整備すべきか、どのように管理すべきか、どのように利用すべきか、という話は、森林所有者の要望、意見を聴くところからです。

 森林所有者が要望や意見が無いと言っても、まずは、こちらから大雑把な提案とビジョンを提供し、要望や意見の形を掘り出すことが重要です。

 というのも、森林に対する知識や理解が追い付いていない森林所有者の場合、「何か要望ないですか?」と聞かれても、要望なんて出てこないことが基本です。

 具体的なイメージがないと、要望も意見も出てきません。

 自分が全く関係ない分野で、その分野に関する知識が乏しければ、「要望ないですか?」と聞かれて、要望が出てきますか?

 まずは、知識を持っている我々が、具体的なイメージを提供した上で、改めて、要望を聞くことも時には重要です。

 

 一方で、私たちが持っていきたい方向性もあります。

 その方向性と森林所有者の要望を合わせることが、これからの私たちの仕事でないか。と考えています。

 

 まさに、今回の授業は、その土台作りとして、「ナッジ」を入れながら、人間心理と森林科学をミックスした授業を行いました。

 1週間の内容は、このとおり ↓ ↓ ↓ 。

 

 初日は、真っ先に「奈良県の林業振興」をテーマに何をすべきかを提案するグループワークでスタート。

 その後・・・・、

 そもそも、目的と目標の違いを明確に理解し、説明できるのか。

 そもそも、問題と課題の違いを明確に理解し、説明できるのか。 をテーマに講義とグループワーク。

 

  「木材価格は安い」は、本当に問題なの?

  「経営意欲が低い森林所有者が多い」は、本当に問題なの?

 というテーマで、問題派とそうでない派に分かれて議論。

 

 

 続いて、「ナッジ」と「人の行動特性と心理特性」。

 皆伐を希望する森林所有者に対し、「間伐後に皆伐をお願いします!」と所有者自ら言い出すための方法は?

 「この山、どうしたらいいですか?」という方に対し、「こういう整備をお願いします。」という言葉を引き出すには?

 

 アウトプットの法則

 インプット3:アウトプット7の割合が知識の定着を促す!

 教室形式の講義が、最も知識定着の効率が悪い!ので、ガッツリ学んだ翌朝は、現場でひたすらアウトプット!

 

 仕上げは、森林所有者に対する施業提案。

 ナッジと人の行動特性と心理特性を意識して、森林所有者が選択できるように複数の提案かつ、自分たちが導きたい施業のナッジを取り入れてのプレゼン!!

 生徒さんたちは、「森林所有者」と「提案者」の2役をこなしてもらい、それぞれがそれぞれの所有者に提案する。

 

 自分で構成しておきながらですが、めっちゃ難イナ! (゚Д゚;)

 

 5月27日。

 皆さんの発表が楽しみです♪

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林業系県職員に対する研修講師

2024年05月13日 | 株式会社はぐくみ幸房のお仕事

 先日、とある県からのご依頼を受け、林業普及指導員に対する研修会の講師を対応させていただきました。

 研修テーマはこちら ↓ ↓

 近年、話題となっている行動経済学の1つ「ナッジ理論」をベースに、皆伐再造林を推進するため、人の行動特性と心理特性の視点から考えるという内容です。

 おそらく、林業系県職員に対して行動経済学を取り入れた研修は、国内初!だったらいいな~と思っています (^.^)。

 農林水産省環境省、もちろん林野庁も「ナッジ」を取り入れた動きを、すでに始めています。

 

 さて、ナッジ理論とは何か。

 ナッジ(nudge)とは、英語で「軽くつつく」という意味です。

 

 人は強制されることを嫌います。

 人々に「こういう行動を取って欲しい」と思った時、「こういう行動を取りなさい!」と強制されると、求められる行動を取りたくなくなるというのが人間の心理です。

 そこで、人々に対し、選択肢を与えて、選択できる環境を整えることで、その本人にとって望ましい行動をとるように、そっと自然な形で誘導する手法をナッジと言います。

 ざっくりいうと、人々に対し、選択肢を与えた上で、こちらが取って欲しい行動をとるように自然な形でそっと誘導するという手法です。

 しかも、本人が選択して取った行動なので、その人にとっても望ましい行動であるとともに、こちらにとっても取って欲しい行動をとってもらっているという理想の形を体現できる手法がナッジです。

 聞きなれない言葉ですが、ナッジは、すでに行政やビジネスにおいて、人々の行動を強制させることなく、行動を促す戦略や手法として取り入れられています。

 

 身近なナッジで言うと、レジの前にある足跡のステッカー。

 レジで順番に並んでいる時、自分の前のレジがなかなか終わらず、横のレジがスムーズに進んでいるのを見ると、「自分の方が先に並んでいたのに・・・」と、不満に思ったことがありませんか?

 この足跡のステッカーが貼られたことで、自然とレジで並ぶ場所に誘導されています。

 また、店員さんが、「並ぶ方はこちらへ」という必要もありません。

 このステッカーによって、先に並んだ人が順番に空いたレジを利用できるという環境が生まれ、お客さんのストレスも軽減されます。

 お店側もお客さんが気持ちよく買い物ができる環境となるので、双方にとって良い結果になっています。

 

 このナッジ理論を林業行政の中でも応用できると考え、今回の研修テーマとさせていただきました。

 

 「林業は自然相手の仕事」と言われていますが、実際は、自然相手の仕事ではなく、「林業は自然を通じた人間相手の仕事」です。

 木材を買う相手も人間であり、森林所有者も人間であることを忘れてはいけません。

 

 皆伐再造林を進めるためにというテーマで、事前に色々と考えていただき、それに対して、見直しと改善も行っていただきました。

 研修形態はウェビナー(web)であったため、受講された県職員の皆さんに、正しく伝えることが出来たのかという不安はぬぐえませんが、まずは、行動経済学のナッジ理論を知っていただき、従来の思考パターンを変えるきっかけになればと思います。

 

 いずれにしろ、これからの林業行政にナッジ理論を取り入れていくことは、とても大切なことではないかと考えています。

コメント (1)
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