昨夜は、山岳救助隊の我1班の懇親会を行った。
この4月から着任した新隊長も出席してくれてこれからの隊のあり方や方針を語り合った。
今年の正月から行方不明になっている遭難者の捜索や、先日の遭難など、まだやらなければならない事がたくさんあり着実に進めていかなければならない。
警備隊、航空隊との連携も大切だ。皆で力を合わせてやっていこう。
飲みながら隊長や店の主人ケンさんにいろんな事を教えていただいた。本当に知識と経験の豊富な人たちである。山菜や、薬草の事、キノコの事、猟の事、神社仏閣のこと、ビデオに撮って見直せばかなり勉強になるだろう。
終わる頃にはすっかり酔いも覚めていた。
午前中の消防団の練習を終えてから、バーベキューをやるので行く気満々だったが、航空隊がまだ見つかっていない遭難者の検索に来ていたので、ヘリポートへ様子を見に行く事にした。
ヘリポートではすでに捜索を終えた隊員がいたのでどうだったか聞いたが、今日も手がかりは無かったようだ。これで捜索は打ち切りである。やれるだけの事はやりつくした。遭難者の家族にもコレだけは分かってほしい。救助隊員もクタクタになるまで毎日探していたことを。 真剣に地図とにらめっこし、知恵を出し合ったことを。
ヘリも帰り、バーベキュウに行こうと思ったが今日は土曜日。僕も今日だけは仕事が忙しいので諦めることにした。 しかし、行けなかった僕に気を使ってくれ、たくさん肉を頂いた。ありがとうございます。
捜索中は、明日の大会の為に毎晩練習があったが、3日間も連続で僕は休ませてもらったが皆快くしてもらいありがたい。
「遭難者は見つかったか?」「捜索は大変やったな。ご苦労さん」と消防団の仲間に声を掛けてもらって嬉しかった。
遭難者を家族の元へ帰すことができず、悔しいがやりつくしたという感もある。
28日、春山警備の西穂パトに行って雪の状態など見てきました。
朝、始発のロープに乗るが激しい雨が降っている。しかし、天気図は急速な回復を示しているので行くしかない。初めから雨の中の訓練と割り切れば気持ちも楽である。標高2156mの山頂駅に着くと雨ではなく、雪が降っていた。雨の中歩くよりよっぽどマシである。
ここですでに積雪1.5m以上はあるだろう。昨夜から降った雪がさらに15センチほど積もっている。5月になろうとするこの時期にまだ積もるのだから山はあなどれない。40分も登ると次第に雪も止み晴れてきた。周りの景色も見え始め青空も広がってきた。一時は激しい雨でやめようかとも思ったがやはり今日もきてよかった。
1時間で西穂山荘着。他に登山者はいない。さらに独標を目指す。風も無く穏やかな稜線歩きだ。みるみる内にガスが取れてきて回りの山が雲をまとって雄大な姿を現してきた。山は行ってみなければ分からないこどが多い。
上部を見ると登山者一人登ってる。山荘に宿泊して登っているのだろう。山荘から1時間弱で独標着。ここから先の稜線にも雪はベッタリ。ここでザイルで結び合いさらにピラミッドピークを目指す。ここからは狭い雪のリッジが続くので慎重に行動することになる。一人の登山者は独標で引き返したようだ。
堅い雪の上に降ったばかりの柔らかい雪がのっかている。トレースも無く、不安定な雪だ。アイゼンを着けた足を慎重に置きながら進む。
30分ほどでピラミッド着。雪のこの時期、日帰りで来るにはここまでが限界である。景色を楽しんで引き返す事にする。雪の状態は把握できたのでGW中の登山者に指導センターで報告できる。
独標からは走るように駆け下りたのであっという間に山荘に着いた。山荘の方に挨拶し、情報交換。コーヒーをご馳走になった。ありがとうございます。
西穂山荘に寄ったら西穂ラーメンがおすすすめです。800円です。しょうゆ味とトンコツがあります。
すっかり良い天気になり春の日差しは暑かったが充実したパトロールに満足である。
とにかくまだまだ不安定な雪だったので、GWは事故が無い事を願うしかない。
夕方、そろそろ消防団の練習に行く準備を仕掛けた頃、遭難の連絡が入った。
えー!こんな時間からですか?
すでに夕闇迫ってる。急いで着替えてヘリポートにむかった。今夜は消防団はお休みです。ごめんなさい。
今回は、現場に行く隊員は一人。僕はヘリポートでサポートに廻った。暗くてもヘリが安全に着陸できるようランタンに電池を急いで入れたとたん、ヘリ着。
間髪いれずに隊員を乗せ飛び立っていった。急がなければ真っ暗になってしまうが、熟練隊員のスピーディーな行動とパイロット卓越した操縦技術ででギリギリ間に合った。
遭難者は怪我ですんだが、あと5分遅かったら暗くて見えなくなってしまい今日中のレスキューは難しかっただろう。
今年は稜線からの滑落者が多いようです。雪の状態もよくありませんがしっかりしたアイゼン技術が必要である。