落花生の種を蒔いて、三日ほどで胚軸(双葉から下の茎)が出て、その拍子に種が土をぷっくりと盛り上げた。
いい調子、いい調子。
胚軸から根が伸びてから、種が二つに割れて本葉が一斉に出る。
種を蒔いて発芽がそろうと実に嬉しくなる……。
……はずだったが、一週間経っても種が割れない。
ここしばらく肌寒くて、平年気温より1℃ほど低い。
そのために地温が上がらず、根が成長していないのだ。
厄介なことになった。
出来るだけ水やりはしたくなかったが、土がカラカラに乾いているので、少し湿らせないといけない。
やむを得ず、指で土をちょいちょいと取って豆を露出させ、蒸れないようにして水をかけるしかない。
それで一気に発芽してくれればよいが、落花生は、水分が多すぎると発芽を止めてしまうことがある。
さあ、どうしよう?
雨の日が多く、気温の変化が大きいために生育不良で白菜、キャベツが一玉800円だという。
我が畑の夏野菜も成長が悪い。
大阪の四月は12/30日が雨。五月はすでに6/20日が雨。
気温や日照時間で野菜の生育は大きく変わる。
隣でジャガイモを栽培している仲間が来て、試し掘りをしている。
「葉っぱが黄色くなってるから、掘り頃やなあ」と言うと、「あかん! まだ小さいわ!」。
「難儀やなあ、田植えせにゃあかんのに!」
「いや、ちょうどエエねん! 白菜の出荷に忙しいから!」
「ええ! 800円の白菜を作ってたんかいな!」
天候が良すぎると、この時期の白菜は「とうだち(開花)」してしまって売り物にならない時がある。
だから、天候で大きな影響を受ける野菜の栽培は、ある意味で「博打」のようなものだ。
エンドウの生育がよくとも、カラスに全滅にされてしまう時もある。
落花生の発芽が悪くとも、それが良い結果になる時もある。
禍福はあざなえる縄のごとし!
ええい! 一天地六の賽(さい)の目に男意気地の勝負を賭けて、落花生に水をかけた。