今回はなるべく小額でPC環境を整備しようと思っていたが、前回のCore i7 4790から時間が経ちすぎており結局ほぼ新調することになった(所謂Sandyおじさんの亜種)。使い回しは電源とケース程度である。最初は古いGPU(9800GTX)で当面間に合わせようとしていたからCPUとマザーしか注文していなかった。しかし、「せっかくX570のマザー買うのにPCI-E4.0のSSD買わないと意味なくね?」「静音PCを仕立てるのに爆音GPUとリテールファンでは無理がなくね?」とどんどん計画が上方修正されていった。これが自作を「趣味」とする人間の心の弱さだろう。こういう場合自作する人の間では「もう一台生えてきた」という表現をするわけだが、私は二台置くスペースが勿体無いのでただの買い替えだ。そもそも手持ちの他のケースは静音仕様ではないのでオーディオと同居できない。更にはドロップが増えてきているTVチューナーと速度に問題が出てきているルーターとハブも新調したくなってきたが、そんな金がどこにある(笑)。
結果的に
CPUがAMD 3900X、マザーがMSI 570Gaming Plus、メモリがSanmax SMD4-U16G48M-26VD(DDR4-2666 32GB)、SSDがGigabyte GP-ASM2NE6100TTTD(1TB)、GPUがGV-N166TOC-6GD(GeForce 1660Ti)、クーラーがサイズ 忍者5で当面行くことにした。何のことはない、20万円コースである。そこの人、「この程度ならDellやBTOなら10万ちょっとじゃね?」とかいうのは禁句なのだ。自作は使うことより作ること自体が楽しいのである。目的と手段が逆転してるのが趣味とはよく言ったものだ。
最初はこんな大規模な買い物をする予定ではなかったので三々五々欲しくなった時点で追加注文されており、仕入先がほとんど異なる。CPUとマザーがAmazon、メモリがアーク、GPUがNTT-X、SSDはツクモ、クーラーはソフマップと言った具合だ。購入時のトラブルは一切なかったが店の印象ははっきりと差がついた。精密機械を扱っているとは思えないAmazon、NTT-X、ソフマップとやっぱり専門店のツクモ、アークである。ソフマップは以前の価格が高い、サイトが物凄く見にくいというイメージは払拭されていたが、包装はAmazonと互角なレベルでちょっと悲しかった。中身がいかついクーラーだったから問題はなかったが。
以前と違って自作への情熱が薄れているので事前の情報収集が足りずに失敗した買い物もある。まずはメモリ。Intel環境ではメモリ速度はあまり性能に影響しない。そこでエラーの出たことがないSanmax(DDR4-2666)をいつものように購入したわけだが、AMDの場合はメモリ速度が性能にしっかり影響するらしいのである。AMDによるとZen2ではDDR4-3750付近に分岐点があるそうで、現在主流のDDR4-3200、3600は余裕で回り速ければ速いほどよいということになる。メモリは相場が下落している時に買うのが鉄則なのでAMD環境を勉強する前に先に買ってしまったのが裏目に出たのだ。アークのSanmax自体が以前ほどのブランド力がないのか、BlackEditionもなく、速度はDDR4-2666のまま放置されている。SanmaxはKingstonの下請け会社なのだから製品は自体は同じものである。少々高くなるが安定しているKingston、センチュリーマイクロ、安いのを選ぶにしても速度が早くチップメーカー直属で信頼性があるCrucialから選ぶべきだったのだ。なお、Zen2環境はメモリの品質に関してはシビアでX570マザー以外では定格でも回らない可能性が高く、メモリの買い替えには神経を使わないといけないらしい。XMPを使うメモリ、つまり定格がネイティブ動作でないメモリはなかなか回らない。私はAMD環境は新規でいきなりX570マザースタートだからあまり関係ないが、以前のマザーを使い回す人は注意が必要だ。しかも、日韓関係の悪化にも関わらず今後もメモリ相場は下落傾向らしい。あーあ、消費税増税前に買えたと思うしかないか(苦笑)。
*安定性重視のSanmaxはJEDEC準拠で安定稼働が最大の売り。DDR4-3200のJEDEC準拠メモリは最近になってようやく登場したばかりのようで、ブランドもMicron直轄のCrucial等大手に限られているようだ。メモリ業界では中小のSanmaxにはまだチップが回ってこないということだろう。Sanmaxブランドで以前はすぐに売り切れていたMicronのチップは最近では潤沢に供給されているようだが。ただし、チップのグレードが最高のものはSanmaxブランドでは発売されなくなっている。今後高級志向の人はセンチュリーマイクロ、安価で安定を狙う人はCrucialに流れるのかも知れない。なお、Zen2使用環境においてB450やX470等の古いチップ搭載マザーでメモリが回らない問題はBIOSの更新で解消されつつあるようだ。
**SanmaxのDDR4-3200は7/29日付けで発売。速攻売り切れ。3900X同様待っていても買えたかどうか微妙だった。コスパ的にはCrucialの方が安いがあちらも売り切れで入荷は当分先という店が多いようだ。
***SanmaxのDDR4-3200の売り切れは未発売の間違い。8/1日付けで発売された。未発売なのに売り切れ、在庫なしと表現してるアークのサイトもちょっとアレ(笑)。よくよく見るとその時点では発売日が書いてなかった。
次の失敗はSSDである。今売られているPCI-E Gen4.0 M2のSSDはコントローラーも同じで性能の差はなさそうである。ただし、X570チップと同様に高性能な初物故に発熱が大きい。そして多くのX570マザーには最初からPCI-E Gen4.0 M2 SSD用のヒートシンクがついている。しかしながら、私の買ったマザーは安物ゆえこのヒートシンクがしょぼい。そこでCFDの基板むき出しのSSDは候補から外れ、独自のヒートシンクが付いているGigabyteかCorsairかという判断になったのだが、ごつい銅製のヒートシンクが付いているGigaが良かろうとよく考えずに決めてしまった。銅製のヒートシンクがカッコいい。しかし、これが間違い。このSSDについているヒートシンクは冷却性能ではCorsairSSDどころかマザーに付いているヒートシンクにすら大きく劣るというレビュー結果が出てしまった。自作慣れしている人から見ると「いくら熱伝導効率が良い銅製でもシンクの表面積が小さかったら放熱効果なんてたかが知れておりただ熱を溜め込むだけ」で最初から冷えないのは見破られていたらしい。銅製光り物の装飾効果に引っかかった間抜けは私だけなのかも知れない。
まあ、失敗は多々あったが、久々の自作ゆえ授業料と思うしかないだろう。今後は自作市場はさらに縮小すると思われるからこれが最後の自作になるかも知れないのである。少々大盤振る舞いしてもいいだろう。Ryzenの躍進で押されているのにIntelが躍起になってシェアを取り戻そうとしない背景には今後の主戦場はモバイルとノート用の組み込みという冷静な判断があると思わる。次世代コアのIce Lakeを当面小売市場に降ろさない予定なのは歩留まりが悪いこともあるだろうが、自作市場の縮小を見込んでのことなのだろう。
マザーボードについてはMSIで問題なかったようだ。MSIとGiga以外の大手メーカーはヒートシンクの作りに問題があってGPUの給排気を阻害する位置取りになっているらしい。さらにはコネクタの位置取りが悪く干渉したり、ヒートシンクの放熱性が良くないのか最初に書いたGPUとの位置取りに関連して排熱がうまくいってないのかチップセットのファンが爆音で高速回転していたり、あまりいい話を聞かない。AMDの仕様書自体が良くなかったという説が有力だが、リファレンスを担当したMSIはそういう問題点がよくわかっていたようだ。ファンも他社より大きめのものを低速回転させて騒音を抑えている。浮かび上がってきたX570マザーの問題点はいずれもよく考えたらわかる、一度でも組み立てて動かしてみたらわかるような問題ばかりだと思うので杜撰な設計だと言わざるを得ないだろう。しかも、ヒートシンクが大きい高級品のほうがよりヤバいというのが救えない。設計に時間が掛けられなかったというような事情はあるのだろうがそれは消費者が忖度すべきことではないだろう。
**結局MSIにはHDDアクセスランプの不具合、GigabyteにはUSBの不具合が発覚し、問題が皆無というメーカーはないという結論になったようだ。製品単位では問題が出ていないものもあるが、まだ洗い出されていないだけかも知れない。やっぱり大きな変更があった世代の初物に不具合はつきものということのようだ。品質の良いメモリを持っているならX470、B450の枯れたマザーのほうが問題が発生しにくかも知れない。ただし、SandyおじさんたちはAM4マザーやCPU、DDR4メモリを持っていない可能性が高く、更にBIOS更新という壁が待ち受ける。
長々書いてきたがそんなことはどうでも良くてAmazon、さっさと3900X確保して発送してくれ。「取り敢えず注文だけは受け付けとくけど商品の在庫はないからいつ発送するかはわかりません」は一見優しく見えるけど結局は他店と同じだけ待たされるのである(苦笑)。次回入荷の予約ができたという形になるのだろうからまた起こるかもしれない奪い合いには勝利できるかもしれないけど他のパーツが揃っているのに待つのは辛い。