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酒と音楽とPC

血は酒で出来ている(某声優談)。他の趣味はPC組み立てるのと音楽聴くのしかない。

ロナルド・ブラウティハムのベートーヴェン

2019-07-22 15:54:57 | 音楽

e-Onkyoのお買い得シリーズ(笑)。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集に初期作品、WoOの作品番号演奏までついて2500円ポッキリ。こうなるとディアベッリの主題による変奏曲が欠けているのが残念だ。レーベルはBISだが確か録音はされているはずなのでどうして入ってないんだろう。

ブラウティハムはフォルテ・ピアノの大家だが、所属レーベルのBISは質は高いのだけどCDでもハイレゾでも高いという理由でほぼ縁がなかった。なんで今回こんなに安く売りに出されたのかはよくわからないが、e-Onkyo特有の1枚契約なのだろう。e-Onkyoがやたらと安くなるのはこういう時である。BISも取扱を増やしてもらいたくて出血大サービスしたのかも知れない。あそこは簡単に本家で買えるはずなのだが。

さて、演奏のほうですが、演奏も録音も文句なしの最高レベルです。演奏はスタジオ録音で細かなミスがない分、ブッフビンダーの新盤より上かもしれません。あちらの評価を見てもやはり最高クラスのようです。非常に清潔な演奏で初期作品が楽しいというのもブッフビンダーと同じ。それでいて中期作品の力強さ、後期作品の瞑想にも欠けていない。また、決して新しい録音とは言えない(2004~10年収録)のに録音が本当に最高。これまで聴いてきたフォルテピアノ演奏がすべて色あせてしまうほどの繊細な美しさと音の余韻。これならフォルテピアノが録音ではグランドピアノに劣るなんて誰も言えないでしょう。BISのいい部分が凝縮されたような名録音です。

こうなると残りのバガテル、小品集、変奏曲集、ディアベッリも欲しくなってしまう。これらは2010年以降の新しい録音なので外されたのでしょう。

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集 ロナルド・ブラウティハム S

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ムーティ シカゴ響の幻想交響曲

2019-07-11 15:35:40 | 音楽

数ヶ月前にベルリオーズの生誕記念とかでセールがあった時に購入したものの中の一枚。CSOレーベルがe-Onkyoで取り扱われるようになったのでご祝儀で購入。値段はさほど安くなかったものの幻想とレリオのセットで実質2枚分なのでレギュラープライスで買ってもコスパは良い。レリオはカンタータなのか、室内楽なのか、モノドラマなのかよくわからない曲(ベルリオーズらしいとは言えるのだが)で指揮者をメインに押し出されると困ってしまう曲なのだがこの場合は幻想が抱き合わせなので良いのだろう。

正直に言うとムーティは好きな指揮者ではない。トスカニーニに私淑しすぎて自分本来の持ち味を殺してしまっているように思える。インタビューを聞いても読んでもトスカニーニを意識したドグマティックな人格に辟易する。練習が厳しいのは良いことだと思うが(楽団員はお気の毒だけど)。本来はもっと情熱的な人なんじゃないかと思えるのだが。

さて、今回の幻想も予想と違うところはなかった。確かに鍛え上げられたオーケストラをしっかりドライブしている。しかし、どうしてもどこかで抑制が働く。ムーティにトスカニーニというリミッターが掛かっているようなのだ。ここで盛り上がれば素晴らしい演奏になる、というところで止めてしまう。毎度寸止めを掛けられた方はたまったものではない。アバドのようにベルリオーズを敢えて淡々と演奏して不気味さを演出するような人ではないのだ。それならば一気に突っ走ってくれたほうが聴いている方は楽しい。確かにリスクのあるやり方なのかもしれないが、変な抑制が効いた演奏より突っ走った挙げ句崩壊した演奏のほうが楽しかったりする。ピリオド・アプローチの影響で幻想も未完成も地味に演奏する人が増えているがそれならモダン楽器でやる意味があるのだろうか?

レリオの方は実演に触れてないし、録音もあまり所有していないので割愛(笑)。曲はバッハの受難曲をコメディにしたような妙な楽しさがある。

ベルリオーズ 幻想交響曲、レリオ ムーティ/シカゴ響他 S

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ブロムシュテットのベートーヴェン交響曲全集

2019-07-11 15:09:17 | 音楽

ブルックナーについて書いてしまったのでベートーヴェンにも触れておこう。これもブルックナーと同時期にe-Onkyoのベストセラーになっていたもので全集で2500円ポッキリ。バレンボイムやクリップスの全集より安く指揮者も堅実な巨匠で最後の全集になるであろうことを考えたら売れたのも当然。CDだと倍ぐらいの値段になる。

だが、内容の方は満足できなかった。老人だからテンポが弛緩しているとかそういうことはない。誠実に演奏されていてオーケストラも一流のはずなのだが心に残らないのだ。齢90に到達していてもピリオド・アプローチの演奏様式を取り入れて速めのテンポを取るなど研究成果も十分発揮されている。それなのに全く心に響かない。奇を衒うことも一切ないから興味を惹かれるところもほとんどなく淡々と演奏が進んでいく。

思えば、私にとってブロムシュテットは何時もこんな指揮者であった。ドレスデン時代のR. シュトラウス、ベートーヴェン、シューベルト、ブルックナーの録音群はどれもケチがつけられる部分がほとんどないのに印象が残らない。日本で実演を聴いた時も同じようなイメージでN響の時など居眠りしてしまった(疲れてたんで勘弁してください・・・)。その後のサンフランシスコ響とのニールセンとシベリウスはオーケストラの影響か鋭さがあり、Deccaの録音も良好で満足できた。だが、Deccaが消滅してからはまた昔のイメージに戻ってしまった感じがある。あれはDeccaの録音のマジックだったのだろうか?

なお、録音はシャープさがなくハイレゾとしては宜しくない。指揮者の特質からしたらこれが良いのだろうか?

ベートーヴェン 交響曲全集 ブロムシュテット/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管 A-B

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R.カプソンのラロとブルッフ

2019-07-11 14:40:33 | 音楽

最近のe-Onkyoでは定期的にワーナーの安売りが行われている。時々新譜なのに海外より安く購入できる場合があるのでチェックしておいたほうが良さそうだ。このスペイン交響曲とブルッフの1番もセールで1700円ぐらいで売り出されていてまあ、このぐらいの値段なら良いか、と購入したら直後に1100円ぐらいに値下がりしていた(怒。その後は安売りで1700円程度というラインは変わらないので何故その時だけ1100円程度になったのがよくわからない。正直、国内では価格競争もないのに(笑)セール中に価格を変更するのはどうかと思うが・・・。最初に買った人が損をするやり方はどうかと思う。電子機器のように次第に価格が下落していくものではないのだから。

さて、人気があるせいかセールに載ることが多いカプソンであるが録音点数も順調に増加中。室内楽を加えれば毎月なにか出ているような状態だ。録音で聴く限りは本当に音色が美しいので人気があるのも当然と言えるだろう。

ただ、スペイン交響曲についてはちょっと懸念があった。この曲に関する限り私の理想とする演奏はキリッと引き締まったハイフェッツである。どう考えてもハイフェッツとカプソンでは持ち味が違いすぎる。ハイフェッツ以外のヴァイオリニストで満足する演奏に出会ったことがないからカプソンが悪いというわけではないけどやはり予想に違わずテンポ遅めで音色で聴かせる演奏。この曲はテンポが速めで鋭さがあった方が楽しく聴ける。手練手管を駆使した挙げ句、うざいという印象を与えてしまったデュメイよりは好感が持てる演奏だったが満足はできなかった。カプソンで外したと思った録音は少ないが、これは数少ないその中に入るだろう。

一方、ブルッフのほうは音色が美しければそれだけでも楽しく聴ける。こちらもハイフェッツの引き締まった演奏があってとてもいいのだけどこちらではカプソンも負けていない。スコットランド幻想曲の録音も聴きたくなった。この人の演奏には畑違いだけどジャズ・ヴァイオリンのステファン・グラッペリと通じるような(通俗的な)楽しさがある。カプソンを聴くといつものように対極に位置するように思えるテツラフで同じ曲を聴きたくなるのだがOndineは最近全く安売りしてくれない(笑)。

なお、伴奏はP. ヤルヴィ指揮のパリ管というなかなか豪華な組み合わせになっている。

ラロ スペイン交響曲、ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番 R. カプソン P. ヤルヴィ/パリ管 A

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BR-Klassiksのブルックナー交響曲全集

2019-07-01 20:16:59 | 音楽

e-Onkyoの売上げランキング上位に顔を出していて慌てて買ったもの。全集で2500円という廉価。みんな目ざとい(笑)。

バイエルン放送響に客演する主な指揮者によるアンソロジー形式で統一感はない。主席のヤンソンスについてはいずれ改めて単独の全集として纏められるだろう。ただ、この「全集」も値段と指揮者の顔ぶれを考えるととてもコスパは高い。

1,2番がマゼール、5,6番がハイティンク、9番がブロムシュテット、3,4,7,8番がヤンソンスという構成になっている。マゼールで予定されていた分をマゼールの急逝でハイティンクが受け継ぎ、目玉として人気のあるブロムシュテットを無理して押し込んだという感じか。

*後でBR-Klassiksの本家を調べたらマゼールはバイエルン放送交響楽団でブルックナー全集を完成しており、この演奏は同じもののようである。そうだとすると録音年代もそこそこ古く、ハイティンクがマゼールの急逝で代役に立てられたということはない。ハイティンクの演奏は最近のものだったはずである。マゼールのブルックナー全集、ハイティンクのPortrait(バイエルンとの最近のライヴ録音はほぼ全部入りのお買い得音源)もe-Onkyoで発売してほしいものだが、マゼールやハイティンクの日本での人気を考えたら難しいのだろう。

一番面白かったのはマゼール指揮の1,2番だろう。マゼールはブルックナーを敢えて普通の交響曲として指揮して成功を収めている。ブルックナー指揮者?それってクエンノカと言わんばかりのメリハリの効いた普通の指揮が痛快。1,3,4番についてはこういうアプローチもありではないだろうか。では2番が駄目なのかというとそんなことはなく、マゼール特有のとても透明感のある響きが特徴的。やっぱり指揮は上手かったのだなぁと痛感させられた。もちろん、この手のアプローチに否定的な意見もよく分かるが、こと1番についてはこれほど面白く聴けたことはこれまでなかった。

ハイティンクの録音は危なくレギュラープライスで買ってしまうところで助かった(笑)。もうすぐ引退が表明されたようだが、宮崎駿と同様にこの人も以前に引退騒ぎを引き起こしており、今回もすんなり引退するかどうかは疑わしい。ただ、齢90に到達しており、ブロムシュテットもスクロヴァチェフスキも90ぐらいで限界が来たことから今回は本当に引退になってしまう可能性も高そうだ。演奏は・・・普通でした。同じバイエルンのオケを指揮したミサ・ソレムニスのような高みには到達していない演奏。ブルックナー指揮者として知られているハイティンクにしてはイマイチの録音と言っていいだろう。いつものようにハト派であるが、良い時ならば感じ取れる柔らかな美しさ、ゆったりと盛り上がっていく高揚感もあまり感じ取れなかった。そもそも5番はハイティンクに向いている曲とは思えない。ウィーンPoとの旧録音でハイティンクにしては珍しく小細工を沢山施していたのは構築的で力強い5番に苦手意識があったからではないだろうか。

ブロムシュテットは91歳でさすがに引退が近いと想定され売り時と考えられたのか(笑)、ハイレゾでも沢山の録音が廉価で売りに出された。CDより安いものも多く、お買い得である。ただ、この9番の演奏の方はハイティンク同様平凡である。巨匠晩年の貴重な記録ではあるが、愛聴盤にはなりそうもない。元々ブロムシュテットの生真面目なアプローチは私にはあまり魅力的ではない。日本に縁があって実力派の巨匠であることは確かなのだが、好みでないのは仕方がない。

多くの曲を担当しているのは当然ながら主席のヤンソンス。ヤンソンスのブルックナーはRCOでの演奏をかなり集めており、極端なハト派のイメージだった。今回の演奏は4番が重心を低く取ったメリハリの効いた演奏でマゼールの1番同様の面白さ。マゼールと意見を統一したなどということはないのだろうが、ブルックナーにしては普通の交響曲である4番にはこういうアプローチもあり得ると思う。ただし、3,7,8番はいつものハト派ヤンソンス。丁寧な演奏には好感が持てる。

さて、録音の方だが、これが残念。BR-Klassiksは音が良いイメージなのだが、この全集に関する限り特別秀でてはいない。絶賛していないのはこの録音への不満が大きい。解像度低めでCDでも実現できそうなレベルの録音だ。

ブルックナー 交響曲全集 A-B

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