Prestoでαレーベルの40%オフセールが開催中。αレーベルはCBSのサブブランドで若手中心のレーベルだが、インマゼール、クリヴィヌといったベテランの録音もラインナップに載っている。元々ミッドプライスという格付けになるわけだが、嬉しいことにセール中は更に安くなる。気に入った若手アーティストがいる人やインマゼール、クリヴィヌのファンは要チェックだ。フランスのNaiveレーベルに録音されていたインマゼール、クリヴィヌの録音がαで廉価盤としてリイシューされているようだからNaiveレーベルがCBSに吸収されてαに看板が変わったということなのかな?
今回購入したものは
ベートーヴェン 交響曲全集 インマゼール / アニマ・エテルナ CD音質
モーツァルト 後期交響曲集 インマゼール / アニマ・エテルナ CD音質
モーツァルト 協奏曲集 インマゼール / アニマ・エテルナ CD音質
ベルリオーズ、ドビュッシー、ラヴェル、プーランク フランス音楽集 インマゼール / アニマ・エテルナ CD音質
ドヴォルザーク 交響曲第9番、ヤナーチェク シンフォニエッタ インマゼール / アニマ・エテルナ 24bit / 96khz Flac
ガーシュイン キャット・フィッシュ・ロウ、ラプソディ・イン・ブルー インマゼール / アニマ・エテルナ 24bit / 96khz Flac
R. シュトラウス ティル・オイレンシュピーゲル、ツェムリンスキー 人魚姫 クリヴィヌ / ルクセンブルク・フィル 24bit / 96khz Flac
バルトーク ヴァイオリン協奏曲第2番、管弦楽のための協奏曲 テディ・パパヴラミ / クリヴィヌ / ルクセンブルク・フィル 24bit / 96khz Flac
メシアン 我ら死者の復活を待ち望む、忘れられた捧げもの、微笑み、キリストの昇天 P. ヤルヴィ / チューリヒ・トーンハレ管 24bit / 96khz Flac
24bit Flacは1280円でほぼ一律のお値段だが、CD音質の音源はかなり価格にブレがある。一枚物は530円となかなか高いが、組物はかなり安い。枚数が増えれば増えるほどお得。ベートーヴェンはCDにして6枚分で2260円。フランス音楽のセットは5枚組で1860円。尼やHMVの激安ボックス・セットと比較すれば高いが、録音が新しいので損ではない。むしろ、どうしてこんな新しい録音をCD音質で売るのか理解に苦しむ。Naiveで売られていたものはリイシューで廉価盤扱いだからということだろうが、古いもので2005年、ほとんどが2010年以降のものなのだから少々高くなってもハイレゾで売って欲しいものだ。Naive録音はリイシューだから廉価盤、廉価盤なら安くないと売れない、ということなのだろうが杓子定規すぎる。
ハイレゾとCD音質の違いを聴き分けるならこのαレーベルが分かりやすいかもしれない。Naive録音も決して悪くない。しかし、αになってからのハイレゾ録音とはシャープさが全く違う。インマゼールは古楽器使用でクールというのが特徴でその特徴は録音が良くなれば良くなるほど分かりやすい。ハイレゾのドヴォルザーク、ヤナーチェク、ガーシュインを聞いた後にベートーヴェン、モーツァルトを聴くとこもっている、もっさりしているという感覚は拭えない。オケものより室内楽のシューベルティアーデの方が分かりやすいかもしれないが。こちらはe-Onkyoでやたら安く買えるのが嬉しい。ハイレゾの5枚組で2500円というのは海外でもなかなかお目にかかれない。
軽く演奏に触れるとベートーヴェンはあれだけ話題になったインマゼールのベートーヴェンの新録なのに全く話題にならなかった。チャンネル・クラシックの録音から時期をほとんど置かずに再録してしまったからだろう(インマゼールはもう若くないので慎重になりすぎてハイドンを録音しきれなかったブリュッヘンの轍を踏みたくなかったのだろうと思う)。Naiveよりチャンネルの方が録音的にハイレゾ、古楽、インマゼールのクールさがわかりやすかったように思うし。C. デイヴィスのシベリウスあたりと同じで無理して新録を買う必要はないように感じた。ただし、安いので両方持ってて損はない。モーツァルトも悪くないが、面白いのは交響曲より協奏曲の方。フランス音楽集も良いのだけれどクリヴィヌ / フランス国立管の海、管弦楽のための映像を聴いた後だとかなり見劣りがした。古楽器使用といっても作曲時期的に弦以外はかなりモダンに近いものを使っているはずだし(ベルリオーズ以外は近代)、ラヴェルはモダン仕様のほうが絶対にいいと思う。
ドヴォルザーク、ヤナーチェク、ガーシュインは録音がとてもいいので一瞬騙される。だが、よーく聴くとアニマ・エテルナをもってしても技術的にトップクラスのモダン楽団には及ばないのが分かってしまう。もちろん、楽器の能力による限界もあるのだろうが、それは承知の上で敢えて同時代楽器を使って近現代の音楽をやっているのだから言い訳になるまい。アーノンクールも近現代をやるときはウィーン・フィルやヨーロッパ室内、アムステルダム・コンセルトヘボウを起用してたものね。古楽器ならではの味もあるが、ハイドンと違ってモダン楽器が有利な土俵と感じた。近現代音楽の古楽器使用録音ではスミソニアン・チェンバー・プレイヤーズのメタモルフォーゼンや弦楽のためのアダージョは素晴らしかったけど、あれは弦楽合奏でしたからね。
クリヴィヌのが2枚。バルトークはヴァイオリニストのパパヴラミがプチ・テツラフという風情。あそこまでキリキリ厳格ってわけではないですが、客が喜ぶサーヴィスなしの曲の本質に切り込む演奏(w。音楽は楽しくあれという人は避けたほうが良いかもしれません。まあ、この曲を甘ったるくやるのは今時カプソンぐらいかもしれませんが。管弦楽のための協奏曲の方は・・・。クリヴィヌの良さは柔らかいのに鮮明という一般的に相反する要素が同居しているところにあると思うのですが、ストラスブールのオケの実力がフランス国立より劣ること、曲が本来全然柔らかくないことからミスマッチの感が拭えませんでした。2枚目もどうして選曲がティルなの?メタモルフォーゼンや死と変容、管弦楽のためのソナチネみたいにクリヴィヌの良さが生きる曲がいくらでもあるでしょうに(すみません、ティル大嫌いなんです)。もちろん柔らかいティルになっているんですが、この曲はショルティみたいに剛直な一筆書きの方が様になると思っているんで。まあ、ショルティですら滅多に聴きませんけどね(w。ツェムリンスキーの人魚姫は私が大好きな曲。シャイー、コンロンと買ってきているのですが、今の所これがベスト。薄靄の中から波間に人魚姫が現れるような幻想に囚われます。もちろん録音も鮮明。
メシアン、ヤルヴィの組み合わせは・・・。録音はかなり良いです。しかし、比較するほど曲に思い入れもなく同曲異演も持っておりませんし、聴いておりませんので勘弁してください。ヤルヴィのラフマニノフは聴き直してみたらかなり印象が変わりましたし、以前のようによくわからん・・・から実力はあるんだろうな、にヤルヴィのイメージは変わりつつあります。