
























せっかくPrestoのセール中なのに前回買った点数が少なかったと感じて追加購入。ChandosとERATOの録音は24bit / 96kHz、ApexのショスタコだけがCD音質である。
Chandos
バルトーク ピアノ協奏曲全集 バヴゼ / ノセダ / BBCフィルハーモニック A
バルトークのピアノ協奏曲は未だに愛聴盤がアンダ / フリッチャイ。あまりに古すぎるので新しいのを見繕いたくなった(ポリーニ / ブーレーズがあるだろうって?冗談はよせ*)。シャンドール(初演者 CBSの新盤)は録音時には高齢すぎて腕が落ちていたし、アシュケナージはこの曲には向いてない。コワセヴィッチは好みでなかった。そこで最近では評判のいいバヴゼを手にとったのであるが・・・。うーん、オケがあかんわ・・・。1番、2番ではピアノの技巧も大切だがオケが大人しいとツマラナイ。だって薬物でドーピングした運動選手が暴れているような曲でしょ?この曲について東ドイツ(昔そんな国があったのだ)のオリンピック選手がドーピングした肉体で健康そうな勝利の雄叫びを上げているような姿とかいう評論があったのが忘れられない。ノセダはイギリスでは大評判らしいが、LSOでのショスタコ(5番)も良くなかった。イギリスで活躍している関係上、ChandosやLSO、BBCといったレーベルでやたら見かける指揮者なのだが、私とは相性が悪そうだ。バルトークやショスタコを大人しく振る指揮者は嫌い**(笑)。ピアノは健闘してるだけに惜しい。BBC響と比べるとBBCフィルハーモニックの腕が落ちるんだろうけど、ノセダは指揮者によっては化けるロンドン響を振ったショスタコも駄目だった。パッパーノ、P. ジョルダン、ゲルギエフ同様、私にはなぜ人気なのか良くわからん指揮者。ついでに録音もChandosにしては秀でてない。
*ちょっと調べた所、ノセダはとても勤勉で仕事熱心な人らしい。来日も多いようだ。昔でいうとケンペ的な人気かな。性格も悪くなさそうでオケや歌劇場からみると仕事しやすい人なんだろうな。トレーナーとして実力があってもベームやラインスドルフ、マルケヴィチ、デュトワ、ガーディナーみたいなのが来ると地獄だもんな。このクラスの扱いにくい指揮者だと今でもたまにいるようだ。さすがにトスカニーニ、セル、ライナー(罵詈雑言、全権掌握)みたいなのは過去の話になったけど(笑)。少し昔のヴァントやチェリビダッケはあれだけ気難しいのに何故かオケの人には好かれていたようだ。実力で認めさせた、というところか。厳しい(トスカニーニ、ヴァントあたり)のと性格が悪い(デュトワ、ガーディナーあたり)のはまた違いますからね(笑)。セル、ライナー、ベームはダブルパンチという感じ。
プロコフィエフ ヴァイオリン曲全集 エームス / ノセダ / BBCフィルハーモニック S
プロコもオケがノセダ / BBCフィルハーモニック(笑)。ヴァイオリンのエームス、ピアノのバヴゼはChandosの看板奏者なのに何で組むのがノセダなのか。N. ヤルヴィは前に他の奏者と組んで大抵の曲を録音してるから避けたいだろうし、A. デイヴィスはバルトークやプロコ向いてなさそうだもんな。Chandosの主要指揮者だともう一人はガードナーか。ガードナーはあまり聴いたことないな。せめてオケをBBC響にしてくれないかな。バルトークもプロコもソロだけじゃなくてオケの役割が大きいんだから。バルトークと続けて聴いたのでテンションが大きく下がった。
ただし、こちらはヴァイオリン曲全集といった形なのでオケ伴奏の他に独奏、室内楽があるのが救い。エームスのヴァイオリンは美音だがあまり個性的とは言えない。カプソン、テツラフといった魅力のある個性派がいる中で敢えてエームスを買うかというと考え込んでしまう。この人の録音を積極的に集めたいとまでは思わない。ミンツ、F. P. ツィンマーマン、シャハムも似たような印象。こういった上手いんだけど個性の薄いヴァイオリニストはメジャー()レーベルにゴロゴロしているような気がする(売れ行き重視で若い美形の女流が多い)。αでバルトーク弾いてたパパブラミの方が良かったかな。なお、録音はバルトークよりずっと良いので伴奏がノセダ / BBCフィルハーモニックでもまだ我慢できる。
サン・サーンス チェロ協奏曲集、動物の謝肉祭 モルク / N. ヤルヴィ / ベルゲンPo A
モルクのチェロが聴きたくてサン・サーンスを購入。しかし、このときのモルクはイマイチであった。サン・サーンスのチェロ協奏曲はよく取り上げられる割にドヴォルザーク、ショスタコ、エルガーあたりのチェロ曲と比べるとあまりおもしろい曲と感じない。むしろこの音源の聴きものは動物の謝肉祭。イキイキしている。ヤルヴィはもういい歳なのに演奏が老け込まない。動物の謝肉祭のように作曲家がふざけ倒している曲を真面目にしかめっ面で演奏する人たちがいるが、何を考えているのだろう?ベルゲンPo自体はBBCフィルハーモニック同様格落ちのオーケストラなのだろうがヤルヴィが振ってるときはそこまで悪くない。面白くなかったブゾーニは曲が退屈だったのだろう。
ERATO
ラヴェル ピアノ協奏曲、ボレロ、スペイン狂詩曲 ミュンシュ / パリ管 B
ミュンシュのラヴェルはブラームス、ベルリオーズ同様にCDの悲惨な音質から普通の音質に改善。改善と言っても60年代後半の録音として普通のレベルになったというだけだが。聴き苦しくなくなっただけでも以前より良い。ラヴェルのピアノ協奏曲は音が悪かったら聴くに耐えない。他の管弦楽曲もかなり改善している。
APEX
ショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲集、ピアノ・ソナタ第2番 レオンスカヤ / ウルフ / セント・ポール室内管 A
最後はレオンスカヤのショスタコ。ソ連時代から活躍しているピアニストなのだから鉄板だろうという思い込みで購入。ところがどっこい、曲に何の思い入れも持っていなさそうな「お仕事」であった。録音は新しく(1991年)廉価盤なのに音質的ハンディがないだけに余計に惜しい。何の思い入れもないショスタコは極めて不気味に響くのであった。ユーモアとか皮肉、諧謔を廃したショスタコって何よ?ムラヴィンスキーやショルティみたいにユーモアや皮肉を全く解さない人でもオケをバキバキにキメてくれたらそれなりの面白みもあるけど。若い指揮者たちの良くあるクールなショスタコーヴィチに通じるつまらなさだった。
品揃えはともかく、音質への拘りや安売りという点ではあまりパッとしないPresto。それでも良い所はある。ハイレゾのセールは通常売れ線や旬の過ぎた古い録音がピックアップされたセールであってレーベルの音源全体がセール対象になることは少ない。その点Prestoはレーベルの音源全部が対象のセールを度々行っている。マイナー作曲家、演奏家音源入手の大チャンスなのだ。ただし、ハイレゾDL音源を含まないCDやSACD限定だったり、MP3限定だったりすることもあるので注意が必要だ。ユニヴァーサルの高音質DL音源全体をセールすることはまずない。対象になるのはこのChandos、Naxos、BISといった中堅レーベルとオーケストラ自主レーベル、古楽レーベルだ。メジャーでは極稀にワーナーが対象になる(ただし、CD、SACDのみの場合がほとんど)。クラシックの高音質音源の場合録音を積極的に行っているのはこれらの会社であって、ユニヴァーサルは録音点数を極端に絞っているからセール対象にならなくても痛くない。私の好きな演奏家もほとんどいないし。厳選された新進気鋭の演奏家(イケメン、美女ぞろい大成しないけど)と権威ある演奏家()の厳選された録音()。ブッフビンダーが今更のようにユニヴァーサルに移籍したのは痛かったが。今後はブッフビンダーの録音も減るんだろうな。
今回購入したのは以下の録音
Chandos
ディーリアス アパラチア、高い丘の歌 A. デイヴィス / BBC響 24bit / 24bit / 96kHz S
ディーリアス ブリッグの定期市、パリ A. デイヴィス / ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管 24bit / 96kHz S
フィンジ チェロ協奏曲、大ファンタジアとトッカータ A. デイヴィス / BBC響 24bit / 96kHz A
ブゾーニ 管弦楽曲集1, 2 N. ヤルヴィ / BBCフィルハーモニック 24bit / 96kHz A
ERATO
ブラームス 交響曲第1番、オネゲル 交響曲第2番 ミュンシュ / パリ管 24bit / 96kHz B
ベルリオーズ 幻想交響曲、ラヴェル ダフニスとクロエ第2組曲 ミュンシュ / パリ管 24bit / 96kHz B
MPO
ショスタコーヴィチ 交響曲第15番 ゲルギエフ / ミュンヘンPo 24bit / 96kHz S
LSO
ベルリオーズ・オデッセイ C. デイヴィス / ロンドン響 CD音質 B-S
Chandosの4点は気になっていたけどe-Onkyoでは高い(2500円)と感じて買っていなかったもの。イギリス物ではA. デイヴィスに安定感がある。曲目もディーリアスとフィンジとデイヴィス向きのものを選んだ。もう1点は以前から気になっていたブゾーニの管弦楽曲集。ヴァイオリン協奏曲やソナタはアルゲリッチのルガノ音楽祭で取り上げられており、バッハのピアノ編曲等も以前からよく耳にする機会があった。ただし、管弦楽は印象が殆どない。演奏会のプログラムにもめったに載らないのではないか?指揮者は広大なレパートリーを誇り(よく言われるハイティンクどころではない全集魔)、著名でない曲への対応力も高いN. ヤルヴィと問題ない。ただし、オケのBBCフィルハーモニックはあまり聴いたことがない。歴史は古く、BBCから支援を受けた地方オケが(半ば勝手に)BBCを名乗っていたところ、後にBBC直営のBBC響ができて一旦はBBCの名を取り上げられたらしい。その後またBBCの支援を受けて目出度く正式にBBCを冠することができるようになったのだとか。曲は正直言ってあまり面白くない。モダンでもないし、ロマンでもない、新古典主義と言われるが、サバサバもきっちりもしてない。ピアノ曲、ヴァイオリン曲ほど取り上げられないのも納得だ。同時代の管弦楽曲の作曲家はマーラー、R. シュトラウス、バルトーク、ストラヴィンスキーを筆頭に新ウィーン楽派、ヤナーチェク、シマノフスキ、ツェムリンスキー、エネスコ、アイヴズ、ヒンデミットと多士済々の時代であった。埋もれるのもやむを得ないと感じた。捻くれた作曲家ばかりになっている現代なら話は違ったかも知れない。普通の曲を書く人っていないもんね。
ミュンシュの2点はもう何回目の購入かわからないが、ハイレゾにしては廉価(520円)だったので購入。元々の録音自体が良くないので音質には期待していなかった。予想に反し思ったより音は良い。ノイズ感が減ってクリアな音質になっている。とにかくカサつきがあって荒かったCDのイメージは払拭。解像度が良くならないのは仕方なかろう。60年代後半の録音であるにも関わらずボストン響時代の録音(50年代)と互角だったCDの音質に対して今回のリマスター音源は同じく24bit / 96kHzでリマスターされたクリュイタンスのラヴェル録音に近づいた感じ。値段も安いしCDで持っている人でも買い替えを考えて良いかも。ただし、レーベルがワーナー、後からミュンシュ / パリ管全部入りのBOXセットが出てくるのはほぼ確実なので推奨まではしない(笑)。
次は何度買っても裏切られるゲルギエフ(笑)。今回はハイレゾで690円という廉価だったので購入。MPOの最新録音の音質も知りたかった。このレーベルでは既にチェリビダッケを結構買っているがこれは高音質化したところで・・・という音源なので参考にならないだろう。このゲルギエフは音質も演奏も無難。V. ペトレンコもこのゲルギエフも昔の豪快なロシア(ソ連)指揮者とは全く趣が異なる。V. ペトレンコはおとなしい中にも深い瞑想が見られとても気に入った録音だが、ヤンソンス、A. ネルソンス、このゲルギエフのショスタコーヴィチは箱庭的(良く言えば純音楽的)というだけで面白みがない。老人特有の苦いユーモアを全く無視して鋭く厳格な表現のムラヴィンスキーの方が面白い(作曲者の意図とは完全にズレていると思うが)。
最後は本家LSOではCD、SACDのみで発売のベルリオーズ・オデッセイ。これはC. デイヴィスがロンドン響と行った晩年のベルリオーズ・ライヴ録音全部入りだと思われる。2000年から録音が開始されており初期の録音はDSDマスターではない。DSDマスター以外は極力ハイレゾDLでは売らない方針であるLSOでは直販されていない。Prestoが売ってくれるのはありがたいのだが、2000年代後半、2010年代のDSDマスター録音もCD音質なのは如何なものか。録音状態が良さそうなものも含まれているので惜しい。総計17時間、トラック数217にも及ぶが3380円と非常に廉価。全部ハイレゾなら20000円ぐらいは取られそうですね。曲目は幻想交響曲、劇的交響曲ロミオとジュリエット、ファウストの劫罰、トロイアの人々(ヴェルギリウス アエネイアスより)、ベアトリスとベネディクト(シェークスピア から騒ぎより)、イタリアのハロルド、ベンベヌート・チェッリーニ(ミケランジェロの弟子 自伝より)、キリストの幼時、テ・デウム、レクイエム。気になっていたけど買うのは高いとか、どこにも売ってなかったなんて作品が盛り沢山ではないでしょうか。管弦楽曲、オーケストラ伴奏付き歌曲が少ないですが、大作は葬送と勝利の大交響曲、レリオ以外はほぼ含まれます。これ1セットでベルリオーズは十分。後は気に入った曲を掘り下げるだけ。ベルリオーズの派手な性格を反映して演奏、録音に費用のかかる作品揃いなのでなかなか同曲異演を揃えることはできませんが。幻想、イタリアのハロルドがおとなしい録音で残念。ロミオとファウストは録音、演奏共々なかなか良いと思います。そう感じるのは声楽が入るとLSOの録音が良くなるというのが大きそうです。