五輪シーズンが終わって一段落したからか、今シーズンはジュニアGPへの関心はそれほど高くはなかったが、やはりトゥルソワ先輩は面白かった。
シェル子やナーヤ様も、見ていて腰を抜かすほど凄い選手だが、正統派で優等生の美少女よりも、クレイジーな異端児を見るほうがワクワクするのかもしれない。
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左からキム・イエリム、トゥルソワ、シニツィナ
大会結果抜粋
大会結果サイト
ショートの衣装は黄色と黒のパンツスタイル。衣装にこだわりはないので、この衣装はセンスが良いのか悪いのかはわからないが、これまで通りエテリ組の御用達のオリガ・リャベンコさんの製作だ。
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こんなカマキリみたいな表情でも可愛く見えるのはなんでだろう。
SP キルビルと布袋寅泰の曲のミックス
2A 3F(r) CCoSp4 / 3Lz(r)+3Lo FCSp4 StSq3 LSp4
コストルナヤの2Aほどの「高さ、幅、滑りに溶け込むような流れ」があるわけではないものの、トゥルソワ先輩の2Aもよい。ジャッジはオール4をつけている。しかしトゥルソワ先輩はアクセルは得意ではないので、3Aは16年11月のデモで披露(転倒)したが、試合では挑戦しないだろう。
続く3Fも繋ぎ大盛りで高いジャンプ、しかも両手上げ。
ロッカー→カウンター→スリー→3F(r)→スリー
3Lz+3Loは14歳の時のザギトワよりも軸が細く高速回転しているように見える。こちらの方が見ていて安心。ジャンプを音に合わせて跳んでいるのか!?
今回はクリムキンイーグルをジャンプではなくスピンの入りに使ってきた。もはや昌磨を超えている。
クリムキンイーグル→ランジ→ウィンドミル→LSp
最後は、ジャッジ席に振り向き、鋭い視線を向けてフィニッシュ。振付師グレイヘンガウスは、目つきの悪い不良少女の特徴をよく理解している!
ジャンプのトゥルソワであるが、実はスピンも1年前のJGP豪州大会と比べると質が向上していて、動画で違いが分かるくらいだ。(あまり)レベル4を取りこぼすことなく加点がだんだん増えている。しかしまだまだナーヤ様のほうが綺麗なスピンだ。
ステップは今回はレベル3ではあるが、某氏が言うように「エッジが浮くことなく上体をよくコントロールして」いる。昨季はナーヤ様よりレベル4を多く取っていた(はず)。
ジュニアのSPはルールにより3Aも4回転も跳んではいけないので、他の選手たちとほぼ同じジャンプ構成になるが、トゥルソワ先輩は高難度ジャンプの基礎点に頼らなくても演技の完成度が高く(=出来映え点を10点以上獲得し、PCSも7点台後半が多く)、自らが昨年のJGPファイナルで打ち立てた73.25点を更新、ジュニア世界最高点74.74点を獲得した。
(このレベルで競い合うことができる選手はエテリ組のシェル子、ナーヤ様、来年ジュニアデビューのカミラ・ワリエワちゃんだけなのだろうか?)
ジャッジの評価は4と5が多いが、私の通知表のほうが良かったかな(本当なのか!?)
「ジャンプ後半ボーナス点」のルールは残してほしかった。やはり体力勝負の後半にジャンプをバンバン跳ぶ、手に汗握るプログラムこそが面白く、私にとっては「ウェルバランス」だと感じるプログラムだからだ。皆が同じ構成、順序なのはつまらない!次シーズンにこのルールを復活させてほしい!
フリーの衣装は、映画フィフス・エレメントの赤毛の主人公や青いコーラスお姉さんをイメージした衣装のようだ。こちらもオリガ・リャベンコさんの製作。
FS フィフス・エレメントと布袋寅泰の曲のミックス
4LzUR 4Tfall 4T+3T 2A FCCoSp4 / 3Lz(r)+3Lo 3Lz(r)+1Eu+3S CCoSp4 3F(r) FCSp4 StSq3
冒頭のマイムは映画フィフス・エレメントのワンシーンを演じている。赤毛の異星人女性がパンチでガラスを突き破るシーンだ。ジャッジの目の前でこんなことをできるのは(目つきの悪い)トゥルソワ先輩くらいだ。シェル子やナーヤ様のようなエレガントな選手には似合わない。
今季はフリーで4Lz(UR)、4T(fall)、4T+3Tの3クワドに挑戦した。異端児はこれだから面白い。常人には考えの及ばないことを平気で実行に移す。
エレメンツを書きながら演技を見ていたが、クワドのすぐ後でバレエジャンプか何かと見間違えた2Aは、後から遡って書き足した。2Aは、+1〜+5と評価が分かれている!
クワドで転倒もあり、体力を消耗しているはずの後半に、3Lz+3Loをしっかり跳び、触手をイメージした指先の動きのクリムキンイーグルから3Lz+1Eu+3Sを跳び、最後にステップを踏むイカれたプログラム。
こういうプログラムこそ「面白い」のだ!
昨シーズンは世界ジュニア選手権でクワド2本のプログラムを完成させたように、今シーズンも世界ジュニア選手権でクワド3本のプログラムを完成させてほしい。ケガには十分に気をつけて!
ジャンプの神様ドュダコフコーチが愛するのはジャンプの申し子トゥルソワだ。演技終了後に長い抱擁を交わしていた。ドュダコフが選手を抱きしめるのは非常に珍しい。
(昨季エテリが自分の膝に乗せて座らせたのはナーヤ様、足をケガしたシェル子を自宅に見舞ったのはグレイヘンガウス。ジャンプの子、滑りの子、踊りの子、コーチそれぞれが愛している選手たち。)
クセニア・シニツィナ(ロシア)
今季3人目のスノーレパード所属の選手の出場。(他は第2戦のアリョーナ・カニシェワとアンナ・クジメンコ)
SPでは3Lz+3Loを成功させた。FSでは3Lz+3Loをミスしたが3Lz+3T+2Tを跳んだ。曲調の変化に合わせた滑りや、キャメルスピン、ステップが素晴らしい。
エカテリーナ・リャボワ(アゼルバイジャン)
ロシアから移籍した選手だが、練習拠点はモスクワのプルシェンコ・アカデミー。2014年ロシアノービス選手権(ノービスB)優勝。
引率はアレクサンドル・ボルコフコーチ。
アリーナ・スピヤン(イスラエル)
ロシアから移籍した選手だが、練習拠点はサンクトペテルブルクのFSCモスクビナだ。引率はベロニカ・ダイネココーチ。
アナスタシア・アルヒポワ(ウクライナ)
綺麗なスピナーであるが昨季に3-3ジャンプをマスターし、ウクライナのチャンピオン(シニア、ジュニアとも)だ。180点越えと表彰台を目指していたが、少し悔しい結果に終わった。
最後に再び元気なトゥルソワ先輩の写真を見る。