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スイス経済に暗雲 通貨高と外貨準備高の大幅減少で

2011年09月04日 19時07分46秒 | 金融危機


ユーロ諸国や米国経済だけでなく、永世中立国として君臨し続けて
いるスイス経済に本格的な陰りが見え始めた。

最もよく報道されるものとして、急激なスイスフラン高だ。
スイスフランは過去5年間で、ユーロとドルに対し、約25%も上昇し
ている。
しかしこれだけの話しなら、日本円はそれ以上に高くなっている。
両国における決定的な違いは、GDPにおける輸出の割合である。

スイスの輸出割合はGDP比で約30%。
5年前と比べればやや割合は減ってきているが、それでも3割という
数字はとても侮れない。
ちなみに日本の輸出割合はGDP比で16%程度。
主要先進国では米国に次いで低く、G20でも米国、ブラジルに次ぐ
低さである。

最近のスイスフラン高で、同国の輸出産業は大打撃を被っている。
工作機械、腕時計、医薬品はスイスの輸出全体で5割を占めている。
こういった下請けを含めた企業が、今まさに悲鳴を上げている状況だ。
労働力の国外依存が増してきているといえる。
日本の比ではないといえよう。

こういった中、政府は先月中旬、フラン高対策として20億フランもの
緊急支援を発表した。
日本円で約1900億円であるが、国内向け企業などから相次いで
批判が起り、最終的に8億7000万フランの支援で決まった。
ユーロとドルが下落すると、最も買われやすいスイスフランと日本円
が上昇しやすい為、今後も両国通貨の上昇がやってくるだろう。

一方で日本円は、政府・日銀の円安介入が頻繁に行われていること
から、ある程度は一時的に抑えられている。
しかしスイスフランは介入という政策を基本的にとっていない。
最近では2009年3月に市場介入を実施してきたが、その後は為替
介入を中止してきているのだ。
そういった意味では、ナンダカンダと言って日本政府は円高対策を実
施してきたということであろう。
決して放置してきたわけではないのである。
(効果があるかないかについては別問題)

またUBSやクレディスイスといった銀行の損失も増している。
リストラも当然激しく、先日もUBSは3500人の人員削減を発表。
2013年までに実施するらしい。
同社は金融危機後、すでに1万4千人近くのリストラを断行していた。
後者のクレディスイスも同じく人員削減の嵐である。
同国の外貨準備高も2009年には1000億ドル近くもあったのだが、
翌年には220億ドル程度まで急減している。

スイスの市場介入は久しぶりに実施されそうだ。
日本ほど外貨は持っていないが、一定の介入には踏み切りざるお得
ないだろう。
問題は介入で手に入れたユーロやドルを何に使うかである。
主にユーロ諸国の国債や米国債に振り向けることしかないであろう。
このことはECB(欧州中央銀行)にとっても都合がいい。
自分たちに代わって、スイスがスペインやイタリア国債などを買ってく
れれば、自分たちはボロ屑債の購入を減らすことができるからだ。
果たしてそううまく問屋が卸せるだろうか...?


 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
スイスも大変ですね。 (みや)
2011-09-04 20:15:56
しかし、東日本は震災と原発事故で大きなダメージを受けました。土地の価格が下がり、企業が土地を担保に銀行から融資を受けることは難しくなりそうです。
野田総理になって増税はほぼ確実になりました。日本経済を活性化するのも大変だと思います。
返信する
容易ではありませんね。 (ヒルザー)
2011-09-04 22:04:57
ちなみに私は禁煙者ですから、たばこ税の増税なんかは反感を和らげそうです。
交通違反の罰金引き上げはどうでしょうか。

かける税金によって、見方や効果が違ってきますね。
返信する
miyaさんの言う土地の不動産価値の問題は、日本でも、あるかもしれません (Unknown)
2011-09-05 00:45:55
アメリカの日本化が報道されていますが、これは1990年代からリーマンショックまで「日本はダメだダメだ」と吹聴していた連中に「ダメなのはお前だ」と言うことを証明してくれそうです。しかし、資産デフレは、緩やかですが、日本にも東北以外でも進行しそうです。

私は昨年11月に行われた山形の地銀統合のスキームが、東北大震災の後、どうなるのか?と思っています。

無難に失敗の少ない日本の経済は、大事になる前に手当てをする官僚と経団連の能力が大きく関わっていると思っています。しかし近年韓国並に、中小の産業に介入して所得移動を行う傾向のある大企業には問題があると思っています。

韓国では法律で大企業が参入できない産業を作るほど大企業が中小企業の職域を侵食しているとの事です。また量的緩和をはじめとした大企業への所得移動のレポートは財務省・日銀・その他シンクタンクが出しています。

このまま行くと、地方の荒廃が進みます。そして1990年代のように相続税の物納が増えるのではと思っています。それは固定資産の着実な下落を意味します。更にそれは、銀行の自己資本比率の低下を意味し「失われた10年」の構図の再構築となります。山形の地銀統合を見た時に、財務省はそれを先取りしたと思い込んでいます。

長崎では、県庁が今の所から移転する話が決まってしまい、主要商店街である浜の町の荒廃が進むと懸念されています。その移転先がJRの隣となっています。これは市民の意見を無視していると反発がありますが、例のごとく、マスゴミの誘導で核心が、ボケています。(津波がアルの無いのと無意味な議論です)

これで儲かるのはJRだけです。(あとは愚劣な県議会全般)問題はそれです。

実は地方はJRのアミュプラザ付近だけが栄えて、それ以外が荒廃する構図が散見されます。JRは、これで利益を得ていると思っているようですが、最終的には、その他の固定資産が下がっていく傾向を強めるだけと思っています。

最終的に固定資産の評価額の低下は、日本有数の土地持ちであるJRの自己資本を減らすことにもなりえます。

加えてJR九州は博多駅への投資を補う為に、持っていた土地をマンションなどを建設して売り出しています。これ自身が不動産物件に影響を出しています。

JR博多駅の拡大は福岡の商業ビルのみならず、福岡の久留米、佐賀、熊本にマイナスの影響を与えると懸念されています。(長崎では、7月一杯で長崎大丸が閉店しましたが、博多駅の拡大と無関係では無いのです)

投資の結果、日本全体のGDPが下がるのでは?資産全体を見た時に国富は?と思うのですが…。どうせ考え過ぎでしょうが。
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ありがとうございます (THE5145)
2011-09-05 11:27:46
皆様の広い知識博学と御指導に感謝致します。
何にも知らない、日本の(日本語の)マスコミからの情報だけの何にも知らない無知蒙昧、お恥ずかしいかぎりです。
「おっさん」様始め皆様の御意見有り難く拝見、大変力づけられ元気がでました。
ありがとうございました。

次に日本と似たようなことがスイスでも・・・ですか。
そしてこの日本の製造業はもうどうしたものでしょうか、円高は防ぎようも無く 電力不足に加え国内需要は伸びず減少の一途。
新聞紙上では 本日は物作りの根幹である金型業までインドネシアに集団移転との事。
中小企業まで雪崩をうって海外へ進出(脱出)
トヨタも本腰で中国へ注力、かなりの最先端部分まで展開するようですね。

日本は本当に優秀な若者には理系の勉強研究に邁進させ、海外の工場を指導できる人材を開発すべきです。
若者の生き方はこれからは「差」が今よりもっとハッキリ出てくるんでしょうね。
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