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英国(イギリス)経済が深刻過ぎる アイルランドと一蓮托生。

2011年07月07日 22時34分24秒 | 金融危機


今更言うまでもないが、あのユーロ以上に下落している通貨といえば、
英国ポンド。
ここへきて深刻の度合いを増してきている。

現地時間6月31日には、総合保険機関ロイズが再びリストラを発表。
今回も1万5千人の削減を断行するという。
同機関はリーマンショック後、これで4万人を削減することになった。
さらに顧客の減少からHSBCも同国で700人の追加削減。
同国は首が回らないどころか、完全に切られた状態といえるだろう。

最新の情報で、英国の対外債務は389%にも上っている。
つまり10兆ドルである。
主要国で最も少ない日本の53%と比べると、今もそうだが、将来を
見据えても同国がいかに危機的状況であるかがわかる。
英国政府は、すでに同国GDPと同じ金額を出動させているのだ。

英国の問題は自国だけに限らない。
隣国アイルランドに莫大な資本を出していることだ。
これが英国の深刻度をもう一段引き上げているという悲惨な実情。
アイルランドの対外債務は、これも最新情報で1113%。
皮肉にも両国でワースト1、2位を誇っている。
ちなみにワースト3位がポルトガルである。

つい昨日から再びユーロが大きく下落し始めた。
前日比、対円では1円以上のユーロ安である。
この時期に欧州では何が起こっているのかまでは不明。
ポルトガルが再び危機に瀕しているという話だが、国債償還について
はこの時期と重なってはいない。
一方でポルトガルとアイルランドの国債利回りが、このたった1~2日
間で垂直のように急上昇しているのだ。
非常に不気味である。

ギリシャの支援だけでも精一杯なのに、アイルランドの銀行リスクが
再び襲ってくると、ドイツといえどもギブアップ宣言を出さざるを得ない
だろう。
そして英国も同様だ。
私はかつてギリシャとポルトガルだけなら、何とか凌げることができる
だろうと書いてきた。
しかしアイルランドは不良債権の規模から考えても、ムリな話だ。
連鎖破綻が一気に加速していくだろう。
とにかく欧州諸国だけの援助だけではニッチもサッチもいかない。

今年冬に日本がアイルランド向けに支援を表明したのは、こういった
あまりにもヒド過ぎる事情があったからだ。
日本は欧州金融安定化債の2割相当(1120億円)の購入を決めた
のだ。
しかし内部情報をみると、日本も厳しい注文を突きつけていたんだな...
ということがわかった。
何と受け取る利子は、ドイツやフランスを上回るものらしい。
案外日本もお人好しではなかったということか。。。
ただし忘れてはいけない。 将来ジャンク債になることは確実である。

アイルランドに対する投資額は、英国が1392億ポンド。
ドイツをも上回る。
まさにとんでもない数字だ。 もはや投資額の回収は不可能に近い。
米国の連邦債務上限引き上げ問題も、いよいよ切羽詰まってきた。
あと3週間である。
今は連邦職員の退職金と年金を徐々に食いつぶし、やっとこさっとこ
生き延びている状況。
2002年当時のアルゼンチンと同じ道を辿っているではないか。
引き上げが決まらなければ、今年の9月は恐ろしい破綻劇として襲っ
てくるだろう。
しかも金融機関の破綻だけでは済まなくなってくる。

欧州で残された道は、ECBによる大規模な国債買い取りしかない。
まだまだ米FRBと比べれば、買い取りは桁違いに少ない。
ただし米国と違ってEUは、自国の国債を自国の中央銀行が買い取る
ことはできない決まりになっている

ここはユーロを極端に安くし、その経済的担保としてECBが積極的に
買い取ることが必要だろう。
それしか手がないような気がしてならない。


 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者



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2 コメント

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Unknown (おっさん)
2011-07-08 12:51:02
それでは「たかじんの委員会」で宮崎哲也や勝谷雅彦の主張する「中央銀行による大量の国債買取」がなされるわけですね。

連中は「お気楽に吹聴した持論」がいかなる結果をもたらすか分る事になるでしょう。少しは静かになると良いのですが。

日銀の白川総裁は、前回の量的緩和に於いて、そのステートメントの中に「これら非伝統的金融政策をマネタイズととられないように配慮していきたい」との一文がありました。

しかしこれは、その「マネタイズ」と取られて仕方が無いのではないでしょうか?

これにより戦前・戦中・戦後一貫して「金融政策の第一は国内通貨安定、なかんづくインフレ対策」と言う、態度が破綻すると思います。

今後、通貨政策による資金増大が発生すれば、それは国内景気が刺激されて、活況になり需要が増えたため物の価値が上がるのと違い、通貨価値が下落する事により、物の価値が上がるということになります。

その結果スタッグフレーションの問題が全世界に波及するのではないでしょう。

私は来年あたりアメリカが怪しいのでは?と思っていたのですがイギリスの駄目になり方は相当に酷いので、どうなるものか?と思っています。

また全ての金融悪夢はフォークランド紛争から来たものです。

あの仕組まれた戦争で、瀕死のサッチャー政権は人気を得て、ビッグバンをやり、その後人頭税で退陣するまで、今の金融ビジネスの基本を作りました。

今の惨状は、その時から始まったのです。

一方、その元凶の地・フォークランドは今も紛争の火の手が燻っています。

あの時もアルゼンチンは戦闘は勝ちました。ただ戦争に負けたことになっているだけで。第一次世界大戦のようなイギリス勝利です。

イギリスは色々な戦いに勝利し、色々なものを手にしたはずなのに、今何を持っているのでしょうか?

それを思うととても空しい。
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Unknown (ヒルザー)
2011-07-09 18:24:35
資金供給は国債買い取りのほかに、担保物件を握って資金援助する方法もありますが、
長期に渡ることから、回収が確実になされるかどうかは怪しいです。
一度国債の買い取りをすれば、なかなか売ることはできません。
過去に指摘した通りです。

英国についてですが、世界2番目の債務大国でありながら、やはり戦後から貯めてきた
「金(ゴールド)」を多く保有しています。
こういった担保があるからこそ、今でも信用が落ちないのでしょう。

ちなみにポルトガルの外貨準備の大半は、ゴールドです。
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