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英国(イギリス)経済危機 金融機関の不良債権と財政赤字の膨張

2011年05月06日 23時11分17秒 | 金融危機


英国経済も公的債務と銀行の不良債権で呻吟している。
財政赤字は9800億ポンド(117兆円)に達しており、対外債務に
至ってはGDP比の4倍近くもある。
単年度赤字だけでも、あのギリシャを上回っているから大変だ。

英国は昨年5月、キャメロン新政権が発足した。
しかし浮かれている余裕はなく、財政赤字の削減を真っ先に進めた。
児童手当を3年間中止、年金支給年齢の開始を引き上げ、それから
公務員の昇給も2年間凍結させた。
民間企業のほうはユーロ圏や米国同様、リストラの嵐が続いている。

最新の失業率は7.7~8%。 ここ1年間ほとんど変わっていない。
しかし経済成長率は金融危機後も低迷したまま。
2010年の成長率は1.25%で、G7の中では最も低い成長率だった。
G20でもスペインに次ぐ低い成長で、昔の英国病を思い出させるかの
ような状況である。
ちなみに昨年の日本の成長率は3.94%。 G7では最も高い。

この英国であるが、隣国のアイルランドに膨大な銀行債権を有している。
これが直近で最も厄介な問題といっていいだろう。
PIGS4カ国に融資している額全体の5割以上をアイルランドに貸してい
るのだ

残りの約3割がスペインだから、まもなく両国が一緒に危機にはまれば、
不良債権が一気に膨張することは不可避である。
一方で対外債務における長短比率においても、全体の3分の2が短期。
英国の本格的な危機は、いよいよ今年やってくる運命にある。

そして金融機関の赤字も膨れ上がっている。
金融危機後に国有化されたRBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)
の第1四半期決算は5億2800万ポンド。
前年同期比2倍以上の赤字となった。
ロイズという金融グループも、ほぼ数カ月ごとに大規模なリストラを進め
ていることから、RBSもまもなくリストラを再実施するだろう。

英国は中国、日本に次ぐ世界3位の米国債保有国である。
しかしここ3年間、毎年6月にほぼ全額の米国債を売り払っている。
だがその分、他国が順調通り買い進めていることもあって、それほどの
危機は持ち上がらなかった。
今年は米国が6月一杯で量的緩和策を終了させることになっている。
これが英国以外、とりわけ日本や中国を含めたBRICs諸国にどう影響
を与えるかが見ものだ。
いずれにしても英国は今年、去年の2倍の債務返済が訪れることから、
大きな試練を受けることになる。


 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「しかしここ3年間、毎年6月にほぼ全額の米国債を売り払っている」とありますが… (miya)
2011-05-07 00:47:00
なぜ、日本は英国のように米国債を売ることが出来ないのでしょうか?
政治家がアメリカの圧力に負けてしまうのですか?
アメリカのデフォルト回避に向けた最終期限見通しは8月2日に延長されました。その日以降は中国、日本が保有している巨額の米国債はどうなるのですか?あるいはその前に、債務の上限引き上げなどを再度行い、延命措置を講ずる?瀕死の病人にありとあらゆる手を打つみたいに…。
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Unknown (ヒルザー)
2011-05-07 21:18:06
>なぜ、日本は英国のように米国債を売ることが出来ないのでしょうか?
政治家がアメリカの圧力に負けてしまうのですか?

そういった理由もありますね。
また自分たちが先に売却し、米国破綻のきっかけを生んだと言われたくないこともあるでしょう。
黙っていても米国が早晩破綻することは、政治家も役人も承知していますから、
それなら敢えて手を出すこともない・・・という考え方もしているでしょう。

現実的にデフォルト宣言後でないと、各国も引き揚げることはしないと思います。
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