雨の灯台

ポケモン擬人化を取り扱っています。
参加企画関連の記事メインです。

バトンの回答から浮かんだネタ

2009-03-11 13:04:15 | R.N!/SS
雨が窓を叩く音を聞きながら、ナイフをホルスターに収め銃をそっと撫でる。
背後でカタリと音がして、手を止めた。
存在を知らせるようにわざと物音を立てたのが誰か、振り返らずともわかる。
「どこ行くつもり、オネーサン」
「ジャックに関係ない」
「俺の口から言わせたいの?」
「……知ってるなら聞かないで」
トリルの口調はかなり硬い。
視線も銃に落としたままだ。
ジャックは溜息をついた。
「単独任務。行かせないよ」
「仕事だから」
「別に緊急性があるなら俺だって止めない。止められる理由自分でわかってるでしょ」
「……」
「急ぎじゃない、次の日でもいいような任務をわざわざ雨の日に決行してる。しかも単独任務に限って」
「だから、何。雨の方が向こうだって戦いづらい」
「オネーサンが雨での戦い得意なら好きにしたらいい」
「……」
「でも最近増えてる怪我はどう説明するの」
「……軽傷しかない。命に関わるような怪我はしてない」
「トリル」
ジャックの声に怒気が含まれ、トリルはほんの少し身を震わせた。
「無理するなって言ってるんだけど」
「して、ない、よ」
嘘だ。
自分の声を聞くまでもなくトリルだってわかっている。
雨の日に敵と戦うなんて、自分を痛めつけにいっているようなものだ。
「……ごめん。でも少し位平気だから。お願い、行かせて」
「行かせない」
「ジャック!」
焦れたように振り返る。
表情に色濃く表れていたのは、焦り。
「行かなきゃいけないの!」
「……理由は?」
「わかんないっ、わかんないけどじっとしてられない! いてもたってもいられないの、雨だからって動かないのは嫌!」
駄々っ子のように叫びながら、何を言っているのか自分でもわからなくなってくる。
「限界を見たくない、自分に負けたくない、じっとしてたら駄目になりそうで怖い……!!」
「何が、そんなに怖いの」
「……わかんない」
力なく首を振る。
以前はこんな事はなかった。
雨の日はむしろじっとしているのが常だったのに。
何かが崩れてきている気がしてならない。
「もういいでしょ、行かせてよ……」
「そんな状態で行っても危ないだけってわかる?」
「……わかってる、でも」
「わからず屋」
つかつかと歩み寄ってトリルの腕を掴む。
「怖いなら一緒にいる。だから、行くな」
低い真剣な声が、高ぶった精神を少し静めてくれた。
真っ直ぐに見つめられて力が抜ける。
銃をそっと机に置いた。
「……ねぇ、抱き締めて」
呟くような声が望んだ通りに抱き締めると、トリルの体は小さく震えていた。


ジャック君お借りしましたっ
何だこれ終始不穏!
トリルが散々怖がっているのには訳があるのですが、そこも含めると凶悪な長さになるので別に書きます。
トリルシリアスシリーズ第一弾という事で(爆)
瑠璃色ちゃんごめんね、自重は今ちょっと家出中なんだ←

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