雨の灯台

ポケモン擬人化を取り扱っています。
参加企画関連の記事メインです。

「自重」……じじゅう?←

2009-04-09 21:44:53 | R.N!/SS
そんなの持ってないよ^^
という事で(え?)、絵茶の余韻に浸っていたら浮かんだネタを上げます。
クラウディアちゃんをお借りしまして、クロチェとのカップリング設定な話です←←←
直接的(?)な描写はありませんが、結構深い仲というつもりで書きました。
大丈夫な方はこのまま読み進めて下さい。
例の如くシリアスですよ!←


生死をたゆたう

「――……」
驚いて出そうになった声は喉に詰まった。
ぎゅっと力をこめられた腕がまるで縋るようで、密着した体は震えていたからだ。
応える代わりにそっと背に手を回すと、微かな声が名を呼んだ。
「クラウ……」
頼りなさげに響いたその声に、今度は口に出して返事をする。
「どうしたノ?」
「……怖かったんだ」
ぽつりぽつりとクロチェが語り、クラウディアは静かにそれを聞く。
「夢を、見て。別に珍しくない夢なのに、今日はだめで……どうしても、一人じゃいられなくて……」
「……どんな夢か、聞いてもイイ?」
少し間を置いて、小さく頷いたのが肩越しにわかった。
「街中が、死の匂いに包まれる夢。オレは誰も助けられなくて、みんな……死んでいって、最後には……匂いが全部、オレを取り巻いてて、」
「ゴメンッ」
掠れたクロチェの声を遮る。
「ゴメンネ、思い出したくなかったヨネ」
そんな夢を見ていたなんて知らなかった。
いつもクロチェは多くを語らないから。
その裏で一人で抱え込んで――けれど今、それを自分に打ち明けてくれて。
「……でも、話してくれて、ありがとう」
背に置いていた片手をそっと頭に持っていく。
そういえば、抱き締める事はあっても髪にはあまり触れないかもしれないとふと思った。
指を埋めながら、大丈夫だと伝える。
「大丈夫だヨ。ボクもクロチェも死んでない。ちゃんと生きてる」
そう言われ、クロチェの震えが少し治まった。
(……あったかい)
抱き締めてくれる腕。
生きていると教えてくれる声。
そして、伝わってくる彼女の心音。
とくん、とくん。
規則正しいそのリズムが、クロチェを落ち着かせてくれた。
そしてクラウディアもまた、クロチェの鼓動を感じ取る。
大丈夫。
ちゃんと生きている。
ここにいる。
もう言葉はいらなかった。
抱き締め合ったまま、ただ互いの存在に安堵する。
沢山の死を見て身近に感じているからこそ、生きている今がこんなにも愛おしい。

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