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中国に低姿勢の米国

2009-11-18 10:28:54 | 日記
 
 就任後初めて中国を訪れているバラク・オバマ米大統領(48)は17日、北京の人民大会堂で胡錦濤(こきんとう)国家主席(66)と会談し、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議への早期復帰を求めることで一致した。地球温暖化対策では温室効果ガスの削減に向けた協力強化を確認。両首脳は「新時代における米中関係の進展」をうたった共同声明を発表した。

 中国をG8(主要8カ国)に加えるべきか議論されたのはつい数年前だったが、今回の米中首脳会談は、G2時代到来を予感させた。米中が世界規模の問題に共同で対処する体制をいい、中国では「中米共治」と呼ぶ。実態はともかく、米国の一極支配終結を象徴する会談、と受け止められている。

 オバマ、胡両首脳の記者会見は、オバマ氏の低姿勢ぶりが目立った。かつて訪中した米国の大統領は、中国の人権抑圧や人民元レートを含む通商問題などで改善を迫ったものだが、オバマ大統領は中国側とチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の特使との対話再開を求めながらも、「チベットは中国の一部であることは認める」と中国側に配慮を示し、為替問題にも踏み込まなかった。

 それに対し胡主席は、人権問題では「国情」を主張した上、(米国の)保護主義に反対を表明。気候変動対策でも国際協力の必要を強調しながら「各自の能力を基礎に」と付け加え、成長を阻害する数量規制には反対する立場を守った。

 北京大学の王逸舟教授は中国誌の取材に、中国が米国の市場と資本に依存していた時代は受け身に立たされてきたが、いまや立場は変わり、中国が主導権を握ったとの認識を示す。

 中国は断トツの外貨準備高を誇り、8000億ドル前後の米国債も保有して、米財政を支えている。金融危機後、世界が景気低迷に悩む中で、中国は大規模な内需拡大策で今年も8%の成長率を確保する見通しで、中国市場が世界を救うとの期待さえ広がる。

 オバマ大統領は中国との信頼関係増進を最優先し、中国に応分の国際的責任を担わせる一歩にしようとの意図をうかがわせた。その結果、大統領は国際社会が懸念する中国の軍事的脅威にも言及を避け、台湾問題でも「一つの中国」の立場を明確にした。

 このままいけば、東アジアのパワーバランスが変わることは確実だ。鳩山政権は米中蜜月を指をくわえて見つめ、中国が盟主となる「東アジア共同体」に国民を導くのだろうか。