整列機とは?

部品供給方法、部品供給装置のいろいろ

整列機から並んだ部品を取り出す(自動機対応編)

2017-08-31 10:13:41 | 効率アップ
先日、ウエステックの整列機で部品を並べた後、
それを取り出す方法を幾つか紹介しました。

その中に、整列治具を整列機から外さずに、
吸着やマグネットで、並んでいる部品を取り出す、
というのがありました。

て事は、自動機で取り出す事もできるんじゃないか、
とお考えの方もいらっしゃる事でしょう。

結論から申し上げると、確かにできます。

只、標準仕様の整列機そのままではダメで、
自動化に対応させる改造(追加工事)を
行わなくてはなりません。

どういう事か、と言いますと、整列機は標準仕様では、
停止位置精度が出ていないからです。

横振動式整列機の場合、振動の振幅が3mmとか5mm
ありますが、整列機が停止した時、その振幅の範囲内で、
どの位置に止まるかが分からないのです。

整列機は、モーターの回転軸に偏芯カムを連結させる事で
振動を発生させ、更にそれをリニアシャフトでガイドした
振動テーブルに連結させる事で、直線振動に変換しています。

振動テーブルが必ず左右の端の位置や、
装置の中央で止まってくれれば良いのですが、
整列機のモーターはサーボモーターや
ステッピングモーターではありませんので、
回転が終わった所が、すなわち停止位置、
になってしまいます。

制動ブレーキは付いていますが、これは回転を切った時に、
できるだけ早く駆動を止めるためのものであって、
停止位置とは関係ありません。なお、メカブレーキは
付いていません。

止まる位置が3mmとか5mmぶれて定まっていないと、
自動機ではそこから部品を取り出す事はできません。
下手をすると、隣に並んでいる部品を取ってしまい、
一番端の列の部品が取り出せずに残ってしまう、
なんて事にもなりかねません。

整列機は元々、整列治具のセットや取り出し、
並んだ部品の取り出しなどを人が行う想定で
設計されているからです。

では自動機に対応させるにはどうするか。

振動が停止した後、原始的な方法ですが、
振動テーブルをエアシリンダーで押して、
反対側に寄り切った位置で止めるようにします。

実際には偏芯カム自体を押すわけではありませんが、
説明しやすいので、偏芯カムで図示しますと、
このようになります。



寄り切ったかどうかは、位置センサーで
検知します。

但し、原始的な方法であるが故に、
幾つか注意点も有ります。

偏芯カムの偏芯位置が、エアシリンダーに対して
ちょうど真逆の位置に運悪く有ると、
押しても動きません。



センサーからも、寄り切れていないとの
信号が返って来ます。

しかしご心配なく。整列機が止まった直後に、
緩い振動で偏芯カムを回転させ、偏芯位置を
ずらすモードを用意しています。

この緩い振動の後、再度シリンダーで押せば、
よほど運が悪くない限り、寄り切りが完了します。

万が一また寄り切れなくても、その信号が返って
来ますので、寄り切れるまで緩い振動を繰り返します。

なお、当然ですが、緩い振動を発生させている間は、
エアシリンダーは待避させておかなければなりません。

さて、振動方向の位置は、これで出ましたが、
揺動方向はどうでしょうか?

整列機は、整列動作が終わった後、揺動していた
振動テーブルが水平に戻って停止します。

その角度のズレがどのくらいかという事ですが、
ズレの範囲は、±1°です。

角度の検出はロータリーエンコーダーで
行なっていますが、分解能は1°あたり2パルスです。

つまり、水平状態から2パルス以上検出して、
はじめて傾きが1°と表示されます。2パルス目が
検出されるギリギリ手前ですと、ほとんど1°
なわけですが、表示上は0°のままです。

よって、水平(0°)であっても、ほぼ1°に近い
場合もある事から、停止角度の精度は±1°
という事になります。

こちらは拾い上げる自動機側の方で対応して戴く
しかありません。

エア機器メーカーから、コンプライアンス
モジュールという、横方向のズレを±1mm程度、
角度方向のズレを±2.5°程度、吸収してくれる
機器が販売されていますので、これを吸着ヘッドの
根元に付けるなどして、対応して下さい。

ちなみに、コンプライアンスモジュールは、
ズレた位置でロックする機能を持っていますので、
その状態を保持できます。

なお、振動方向のエアシリンダー押し付け改造は、
ウエステックで対応可能ですが、
整列機のコントローラの方は、
外部からの入力で、起動・停止・一旦停止・
整列プログラムの切り換えなどが標準仕様のまま
できるようになっています。

また、整列機からは、運転中・動作完了・異常などの
信号を取り出せるように、これも標準仕様で
なっています。

これらを組み合わせて、シーケンス回路を組めば、
並んでいる部品を整列機から取り出したり、
整列機に部品を補充したりといったところを
自動化できます。

但し、部品の多数個同時取り出しの自動化は
難しい場合が多いので、細心の注意が必要です。