【四季】 (2013/11/1)
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「減反」廃止論議がかまびすしい。規模の小さい、いわゆる小農への助成をやめて海外農業と競争できる大農 を育成する農政へかじを切るということか▼小農論といえば、その草分けは大隈重信が「農業党の先鋒者」と畏敬した横井時敬の『小農に関する研究』。書架の奥から先日取り出した。奥付には「昭和二年五月十五日発行」とあるから亡くなる半年前の出版。言ってみれば、農業界への遺言ともなったような著書だ▼「現在の農業経済学が大農経営の本義とする所の資本主義的営利経営を以(もっ)てその指導原理となし、これを経営の主義を異にする所の小農経済にまで宛て嵌(は)め、凡(すべ)てを一律の下に論定したる、その欠陥を指摘する」と緒言で謳(うた)う▼東京帝大農科大学の教授として農学の確立に尽くし、東京農大の初代学長でもあった。塩水選種法の創案者といった方が親しみやすいかもしれない。農政学者の東畑精一は、英国のヨーマン(独立自営農民)への憧憬(しょうけい)があったと、ある本に書いている▼自作農を農村から失ったならばと問い、「農村が遂(つい)に衰退に陥るに至るべきは勿論(もちろん)、国家は其(その)中堅を失うて、悔ゆとも及ばざるの憂いにあるに相違ない」と国民新聞に寄稿した(1916年)。横井博士が亡くなって今日で86年。魂が泣いている。
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「減反」廃止論議がかまびすしい。規模の小さい、いわゆる小農への助成をやめて海外農業と競争できる大農 を育成する農政へかじを切るということか▼小農論といえば、その草分けは大隈重信が「農業党の先鋒者」と畏敬した横井時敬の『小農に関する研究』。書架の奥から先日取り出した。奥付には「昭和二年五月十五日発行」とあるから亡くなる半年前の出版。言ってみれば、農業界への遺言ともなったような著書だ▼「現在の農業経済学が大農経営の本義とする所の資本主義的営利経営を以(もっ)てその指導原理となし、これを経営の主義を異にする所の小農経済にまで宛て嵌(は)め、凡(すべ)てを一律の下に論定したる、その欠陥を指摘する」と緒言で謳(うた)う▼東京帝大農科大学の教授として農学の確立に尽くし、東京農大の初代学長でもあった。塩水選種法の創案者といった方が親しみやすいかもしれない。農政学者の東畑精一は、英国のヨーマン(独立自営農民)への憧憬(しょうけい)があったと、ある本に書いている▼自作農を農村から失ったならばと問い、「農村が遂(つい)に衰退に陥るに至るべきは勿論(もちろん)、国家は其(その)中堅を失うて、悔ゆとも及ばざるの憂いにあるに相違ない」と国民新聞に寄稿した(1916年)。横井博士が亡くなって今日で86年。魂が泣いている。