② 小沢一郎を嫌いな人も読めば分かる政治の話。週刊朝日より
(週刊朝日 2013年6月7日号配信掲載) 2013年5月29日(水)配信
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/asahi-20130529-01/1.htm
──もうひとつ政策の話をしますと、脱原発の考えは変わらないのですか。
小沢 変わりません。
──自民党は今、再稼働に向けて力を入れ始めているように見えますが、再び本腰を入れて反対していかなければいけないですね。
小沢 そう思います。しかし、本当に自民党がわからない。
僕らだって、自民党時代を含めて原発依存の政策を採ってきた責任はあるが、現在、福島で大変な事故を起こして、これだけその深刻さがわかったわけですよね。
原子力は、高レベルの廃棄物も何とか処理できるっていうことでスタートしたんです。
ところが40年たっても、処理できないってことがわかったわけです。今ね。
そうなると、これはもう原発とさよならするしか方法がない。
──そのような基本的な政策を訴えていくわけですが、7月の参議院選挙はどうでしょうか。
小沢 実を言うと、これが難しい。
新しい受け皿ができるかと言うと、今の状況ではもう無理でしょう。
維新とみんなの党は、なんだか基本政策はみんな自民党と一緒でしょう。
そうすると野党代表としては民主党だけれど、民主はなんていうか思考停止状態でしょう。
憲法でもTPPでも、全然結論を出せない。
選挙協力について民主党に呼びかけたんですが、出てこない。
民主は結局、意思決定できない。
このままだと参院選までには受け皿の構築は無理ですね。
そうすると、これまた去年と同じように自民党に対する積極支持はないけれど、最終的に自民党が勝つということになるでしょうね。しかし、まあそこからですね。
──勝負はそこからということですか。
小沢 と思います。僕は3年後には、絶対また政権交代になると思っています。
そのために小選挙区制にしたんだから。得票率、得票数が変わらないのに3分の2取れるということは、小選挙区制だからです。
4年前はその逆だったんです。今度また3年後に再逆転するということは必ずできる。
むしろ容易なことなんです。
年末の惨敗の結果、みんな今、くしゃっとなっちゃっていますね、青菜に塩みたいに。
しかし、そんなことではいけません。
自由党と民主党が合併したときと同じような勢力になったということです。
振り出しに戻っただけのことです。
次の総選挙で再び政権を奪取すればいいのです。
──改憲と並んで、アベノミクスの評価が参院選後の勝負を分けますよね。
小沢 結論が出るのにそうはかからないと思う。安倍さんは早々につまずくんじゃないかと思います。
安倍さん自身がつまずくと同時に、一方で国民のほうが冷めてくると思います。
──冷めますか。
小沢 アベノミクスって何だっていう話です。
具体的には何もやってない。従来の自民党と同じ、公共事業を増やして、日銀が国債をむやみやたらと買い入れるだけの話だから。
日銀買い入れの国債をぼんぼん増発するということは、制度的には禁止されていることなんです、本当は。
それでカネがジャブジャブしてきたから必要な庶民に貸せばいいんだけれど、絶対に零細企業なんかには貸さない。
そうすると、結局、株か不動産に流れるわけです。
またバブルですよ。株が上がって、じゃあどれだけの国民が儲かってるんですか。
──一部ですよね。
小沢 ほんの一部でしょう。為替は円が安くなっている。
それで誰が儲かってるか。
消費税も払わない輸出大企業だけです。
円安でガソリンは上がる、漁業、農業の燃費は上がる、飼料は上がる、食料は上がる、化学製品は上がる、みんな値上げになります。
円安はちょっと歯止めがきかなくなる可能性があります。
そうすると日常の物価上昇がものすごいことになる。
アベノミクスで
国民格差は拡大
結局アベノミクスは、格差をどんどん大きくする。
大多数の国民は所得は上がらないままに物価高に苦しむという話になるんです。
僕は今年中にそうなると思う。
ですから、アベノミクスという幻想は近いうちに崩れてしまうと思いますね。
──なるほど。
小沢 安倍政権はこの参院選まではもつでしょうけど、そう長くはもたないと思います。
──そして次の総選挙に向けて政治はまた大きく動いていくということですね。
小沢 そう思います。だから一番のポイントは、やっぱり民主党です。
──しかし、今の民主党はTPP賛成、原発OKっていう方々なのでは。
小沢 大多数の民主党の人たちはそうではないと思います。
ただ、幹部の中に自民党志向の人たちが多いわけです。
だから、民主党の中で考え方の相違がいずれ出てくるんじゃないかと思います。
今でもそれはわかりきってることなんですが、具体的な動きとして出てくる。
そうするとやっぱり、ある意味で政界の新しい再編になるのではないかと思います。
──民主党には連合の問題があります。中心を担う電力総連は原発推進ですね。小沢さんたちは脱原発の立場ですから、折り合いが難しいですね。
小沢 今、連合は、組合員と意識が乖離してるんじゃないですか。
農協もそうです。
TPP反対で、これに賛成する人は政治家でも断固落選させると言っていた農業団体が、自民党を応援してるんだもの。
そんなばかな話ないでしょう、人をばかにしてる。
それと同じで、連合だって消費増税賛成、原発も推進、TPPも賛成でしょう。
これ、経団連と同じですよね。
勤労者の代表の連合も、経営者と同じ話になっちゃってる。
ですから、このような状態が続けばいずれ必ず破綻します。
農協も同様です。いつまでも国民をだませるものではありません、私はそう思う。
──選挙も近づいていますが、普段の生活は健康に気をつけてエンジョイされてますか。
小沢 はい、そうですね。僕は選挙のことで地方出張するのが仕事だから。東京では別に何というわけでもないんですが、地方に出て、それぞれの地域の人たちや伝統的な文化に触れるのが楽しみですね。
構成 本誌・佐藤 章
(週刊朝日 2013年6月7日号配信掲載) 2013年5月29日(水)配信
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/asahi-20130529-01/1.htm
──もうひとつ政策の話をしますと、脱原発の考えは変わらないのですか。
小沢 変わりません。
──自民党は今、再稼働に向けて力を入れ始めているように見えますが、再び本腰を入れて反対していかなければいけないですね。
小沢 そう思います。しかし、本当に自民党がわからない。
僕らだって、自民党時代を含めて原発依存の政策を採ってきた責任はあるが、現在、福島で大変な事故を起こして、これだけその深刻さがわかったわけですよね。
原子力は、高レベルの廃棄物も何とか処理できるっていうことでスタートしたんです。
ところが40年たっても、処理できないってことがわかったわけです。今ね。
そうなると、これはもう原発とさよならするしか方法がない。
──そのような基本的な政策を訴えていくわけですが、7月の参議院選挙はどうでしょうか。
小沢 実を言うと、これが難しい。
新しい受け皿ができるかと言うと、今の状況ではもう無理でしょう。
維新とみんなの党は、なんだか基本政策はみんな自民党と一緒でしょう。
そうすると野党代表としては民主党だけれど、民主はなんていうか思考停止状態でしょう。
憲法でもTPPでも、全然結論を出せない。
選挙協力について民主党に呼びかけたんですが、出てこない。
民主は結局、意思決定できない。
このままだと参院選までには受け皿の構築は無理ですね。
そうすると、これまた去年と同じように自民党に対する積極支持はないけれど、最終的に自民党が勝つということになるでしょうね。しかし、まあそこからですね。
──勝負はそこからということですか。
小沢 と思います。僕は3年後には、絶対また政権交代になると思っています。
そのために小選挙区制にしたんだから。得票率、得票数が変わらないのに3分の2取れるということは、小選挙区制だからです。
4年前はその逆だったんです。今度また3年後に再逆転するということは必ずできる。
むしろ容易なことなんです。
年末の惨敗の結果、みんな今、くしゃっとなっちゃっていますね、青菜に塩みたいに。
しかし、そんなことではいけません。
自由党と民主党が合併したときと同じような勢力になったということです。
振り出しに戻っただけのことです。
次の総選挙で再び政権を奪取すればいいのです。
──改憲と並んで、アベノミクスの評価が参院選後の勝負を分けますよね。
小沢 結論が出るのにそうはかからないと思う。安倍さんは早々につまずくんじゃないかと思います。
安倍さん自身がつまずくと同時に、一方で国民のほうが冷めてくると思います。
──冷めますか。
小沢 アベノミクスって何だっていう話です。
具体的には何もやってない。従来の自民党と同じ、公共事業を増やして、日銀が国債をむやみやたらと買い入れるだけの話だから。
日銀買い入れの国債をぼんぼん増発するということは、制度的には禁止されていることなんです、本当は。
それでカネがジャブジャブしてきたから必要な庶民に貸せばいいんだけれど、絶対に零細企業なんかには貸さない。
そうすると、結局、株か不動産に流れるわけです。
またバブルですよ。株が上がって、じゃあどれだけの国民が儲かってるんですか。
──一部ですよね。
小沢 ほんの一部でしょう。為替は円が安くなっている。
それで誰が儲かってるか。
消費税も払わない輸出大企業だけです。
円安でガソリンは上がる、漁業、農業の燃費は上がる、飼料は上がる、食料は上がる、化学製品は上がる、みんな値上げになります。
円安はちょっと歯止めがきかなくなる可能性があります。
そうすると日常の物価上昇がものすごいことになる。
アベノミクスで
国民格差は拡大
結局アベノミクスは、格差をどんどん大きくする。
大多数の国民は所得は上がらないままに物価高に苦しむという話になるんです。
僕は今年中にそうなると思う。
ですから、アベノミクスという幻想は近いうちに崩れてしまうと思いますね。
──なるほど。
小沢 安倍政権はこの参院選まではもつでしょうけど、そう長くはもたないと思います。
──そして次の総選挙に向けて政治はまた大きく動いていくということですね。
小沢 そう思います。だから一番のポイントは、やっぱり民主党です。
──しかし、今の民主党はTPP賛成、原発OKっていう方々なのでは。
小沢 大多数の民主党の人たちはそうではないと思います。
ただ、幹部の中に自民党志向の人たちが多いわけです。
だから、民主党の中で考え方の相違がいずれ出てくるんじゃないかと思います。
今でもそれはわかりきってることなんですが、具体的な動きとして出てくる。
そうするとやっぱり、ある意味で政界の新しい再編になるのではないかと思います。
──民主党には連合の問題があります。中心を担う電力総連は原発推進ですね。小沢さんたちは脱原発の立場ですから、折り合いが難しいですね。
小沢 今、連合は、組合員と意識が乖離してるんじゃないですか。
農協もそうです。
TPP反対で、これに賛成する人は政治家でも断固落選させると言っていた農業団体が、自民党を応援してるんだもの。
そんなばかな話ないでしょう、人をばかにしてる。
それと同じで、連合だって消費増税賛成、原発も推進、TPPも賛成でしょう。
これ、経団連と同じですよね。
勤労者の代表の連合も、経営者と同じ話になっちゃってる。
ですから、このような状態が続けばいずれ必ず破綻します。
農協も同様です。いつまでも国民をだませるものではありません、私はそう思う。
──選挙も近づいていますが、普段の生活は健康に気をつけてエンジョイされてますか。
小沢 はい、そうですね。僕は選挙のことで地方出張するのが仕事だから。東京では別に何というわけでもないんですが、地方に出て、それぞれの地域の人たちや伝統的な文化に触れるのが楽しみですね。
構成 本誌・佐藤 章