2011/04/18日本農業新聞第一面「論点」掲載
《問われる日本の選択》「住民投票で原発廃止 米国」
評論家 内橋 克人氏の記事 (抜粋)
1989年、米国・カリフォルニア州の州都、サクラメント市で住民投票が行われ、サクラメント電力公社のランチョ・セコ原子力発電所の閉鎖が決まった。それまで14年間稼働してきた原発が市民の自由な意思で廃止された。
[転換には3条件]
「エネルギー転換」を可能にするには「理念」「政策」「制度」の三位一体が欠かせない。
78年、カーター政権下、一つの法律が米国議会の下院を通過して成立。
第一に、一定の条件さえ満たせば、誰でも小規模な発電所を創業できる。
第二に、既存の大電力会社はこの新しい発電所から「買電」を要求されると拒否することができない。
第三に、各州政府は「公益事業委員会」を設け電力の売買価格、その他、法律適用に必要な細目を決めなければならない。
「Public Utility Regulatory Policies Act of 1978
略して「PURPA法」と通称される。同法によって認定される新しい発電所は「適格発電所」と呼ばれた。
重要な点は「アポイデッド・コスト」の考え方にある。新しい適格発電所からの「買電」を義務付けられた大手発電会社は、その買電価格をどう算定するのか。「PURPA法」の神髄がここに示される。
仮に、新しい「適格発電所」がなければ、既存の電力会社は従来通りの方法によって火力(石炭、石油)、あるいは原子力を熱源とした発電所を新設しなければならないだろう。当然、相応のコストがかかる。
しかし、現実には「適格発電所」があるおかげで、そのコスト分を免れる。この「免れた(避けられた)コスト分」、つまり「アポイデッド・コスト」は適格発電所からの買電(電力買い取り価格)に充てるべきだとする考え方だ。
[買電を義務付け]
同法では、自社の発電コスト以下で買電してはならないと義務付けている(実際の買電価格は、はるかに高い水準に設定された)。わずか3年でエネルギー転換を遂げたサクラメント電力公社は、世界のモデルとなった。
地震、津波に原発事故が追い打ちをかける。放射能汚染の進大地。私たちは「取り返しのつかないもの」を失った。「日本の選択」が世界の厳しい目に射すくめられている。
(water所感)
*アメリカのオバマ大統領は原発増設を表明していたが、現実にこうした動きがあると言うことは、国民の行動を無視して進めることになるのか。そのほかの州がどのような取り組みになっているかは調べてみないと解らないのだが。
カリフォルニア州には太陽光発電、風力発電の同じような風景にしばしば出会うそうだ。行ってみたことがある方は御存知のことでしょうが。
日本でも地域エネルギー政策として取り組んで行くべきと思う。これが新たな産業振興になり雇用増大に結びつくものであると私は思えるのだが。
《問われる日本の選択》「住民投票で原発廃止 米国」
評論家 内橋 克人氏の記事 (抜粋)
1989年、米国・カリフォルニア州の州都、サクラメント市で住民投票が行われ、サクラメント電力公社のランチョ・セコ原子力発電所の閉鎖が決まった。それまで14年間稼働してきた原発が市民の自由な意思で廃止された。
[転換には3条件]
「エネルギー転換」を可能にするには「理念」「政策」「制度」の三位一体が欠かせない。
78年、カーター政権下、一つの法律が米国議会の下院を通過して成立。
第一に、一定の条件さえ満たせば、誰でも小規模な発電所を創業できる。
第二に、既存の大電力会社はこの新しい発電所から「買電」を要求されると拒否することができない。
第三に、各州政府は「公益事業委員会」を設け電力の売買価格、その他、法律適用に必要な細目を決めなければならない。
「Public Utility Regulatory Policies Act of 1978
略して「PURPA法」と通称される。同法によって認定される新しい発電所は「適格発電所」と呼ばれた。
重要な点は「アポイデッド・コスト」の考え方にある。新しい適格発電所からの「買電」を義務付けられた大手発電会社は、その買電価格をどう算定するのか。「PURPA法」の神髄がここに示される。
仮に、新しい「適格発電所」がなければ、既存の電力会社は従来通りの方法によって火力(石炭、石油)、あるいは原子力を熱源とした発電所を新設しなければならないだろう。当然、相応のコストがかかる。
しかし、現実には「適格発電所」があるおかげで、そのコスト分を免れる。この「免れた(避けられた)コスト分」、つまり「アポイデッド・コスト」は適格発電所からの買電(電力買い取り価格)に充てるべきだとする考え方だ。
[買電を義務付け]
同法では、自社の発電コスト以下で買電してはならないと義務付けている(実際の買電価格は、はるかに高い水準に設定された)。わずか3年でエネルギー転換を遂げたサクラメント電力公社は、世界のモデルとなった。
地震、津波に原発事故が追い打ちをかける。放射能汚染の進大地。私たちは「取り返しのつかないもの」を失った。「日本の選択」が世界の厳しい目に射すくめられている。
(water所感)
*アメリカのオバマ大統領は原発増設を表明していたが、現実にこうした動きがあると言うことは、国民の行動を無視して進めることになるのか。そのほかの州がどのような取り組みになっているかは調べてみないと解らないのだが。
カリフォルニア州には太陽光発電、風力発電の同じような風景にしばしば出会うそうだ。行ってみたことがある方は御存知のことでしょうが。
日本でも地域エネルギー政策として取り組んで行くべきと思う。これが新たな産業振興になり雇用増大に結びつくものであると私は思えるのだが。