マンガのプロ【プロデビューまでの道のり編】

日々のマンガ制作状況や同人活動などを、その日起こった事の傍ら綴って行きたいと思います(日々の出来事がメインなのか?)。

妄想プロローグ

2009年04月01日 23時59分26秒 | シナリオ
一日

 午前五時起床。今日もバイト。バイトも、もう一週間、連続で出ているので、さすがに起きるときは体が疲れている。気温もそれほど高くない、だけど雨が降っていて、少し憂鬱だ。

 出掛ける準備を整えて、家を出る。駅までの十五分間の道のり、雨を避けるように傘を広げて歩く。曇り空を、大きな傘が覆い隠すから、僕は自然と、地面へ視線を落とす。地面に当たって弾けた雨粒が、僕の足を少しづつ濡らしていく。僕は、それをジッと見た。まるで、日々の生活に、少しづつ染み込む、摩擦を見ているかのような、感覚。

 そこで、僕の思考は、軽い衝撃と共に中断された。人がぶつかってきたのだ。衝撃で、普段からの僕の気持ちみたいに、緩んでいた眼鏡が地面へ落ちた。

 「あっ」と言う、高くて、小さな声が聞こえた。軽くて重力を感じさせない、声質だった。僕は反射的に声のした方を見た。しかし、僕の視力の90%を担う、眼鏡は地面に落ちて、仕事を放棄している。だから、僕は正面にいる人の顔を、ぼんやりとしか確認できなかった。紙が長くて、少しウェーブが効いている。赤いコートを着た、たぶん、女性。小雨だからか、傘をさしていない。 

 『ごめんなさい!』

 僕と彼女は、同時にそう口にした。僕は一瞬シンクロナイスドスイミングを、イメージしたけど、口に出すのは止めておいた。そんな事言ったら、きっと人格を疑われるかもしれない。たぶん、正しい判断だと、自分に下した。

 「わたし、よそ見してました。すいません」

 彼女は申し訳なさそうに、そう言った。よそ見をしていたのは、僕も同じなので、そんなことを言われると、僕の方こそ、悪い気がしてくる。

 「いえ、僕の方こそ、よそ見を…」

 僕がそこまで言った時、足元で何かが割れるような、軽い破裂音がした。この人にぶつかるまで、地面を見ていたので、分かっていたのだけど、僕が観測した限りじゃ、そんな音がするような物は、落ちていなかったと思う。以上の境界条件から弾き出される結果を、僕は瞬時に理解した。ぼんやりして良く見えないけれど、たぶん、ぶつかってきた女性の足の下にあるのは、僕の安い眼鏡だ。仕事を放棄した報いが来たのだろう、労働の尊さを知るが良い。眼鏡よ。

 「あぁっ!ご、ごめんなさい!」

 そう言って、彼女はふんずけていた、眼鏡を拾い上げた。レンズはヒビが入り、フレームはくしゃんと、歪んでいる。蘇生不可能、ご愁傷さま。僕が心の中で合掌を挙げていると、女性は、頭を下げて謝る。

 「その弁償します!」

 そこで、彼女が近寄ってきた。予想以上に美人だった。うわ…ちょっと、どきどき。
 
 「いや、別に構いませんよ。それ、安物だし、もう度が合ってなかったですし」

 「駄目です!安くても、弁償はさせてください。そうだ」

 そこまで、言って女性は小さなバックから一枚の紙を取りだし、僕の手を取って、その紙を握らせた。その手はひんやりと冷たく、柔らかな感触だった。そして、僕は受け取った紙を見る。普段、そう言った物に無縁な僕はそれが何か一瞬解らなかったけど、すぐに名刺なのだと気づいた。しかし、名刺と言うには情報が少なかった。名前と携帯電話の番号。それだけ。

 「あなたの電話番号も教えていただけませんか?」

 ぼくは、はっきり断ろうとしたが、どうした事か、急に気分が変わり、ポケットに手を突っ込んで、携帯を取り出していた。正直自分でもびっくりした。

 「えっと、これです」

 携帯の液晶を女性へ向けて、見せる。

 「わかりました。わたしから連絡を入れますので、都合の良い日はありますか?」

 「あ、いや、夕方以降ならいつでも…」

 「では、今日にでも、連絡しますね。本当にごめんなさい」

 彼女は笑顔でそう言った、かもしれない。良く見えなかった。…ちくしょう。

 「いえいえ、こちらこそ」

 彼女は坂道を駆け出した。そんなに速度を上げたら、コーナでアンダーステアになって、壁にぶつかるぞ、と思ったけれど、僕は口にしなかった。変な人と思われたくなかったからだ。どうして、そう思ったのかは分からない。彼女に嫌われたくないのだろうか?僕は。

 ふと、右手を見る。そこにはまだ、彼女の冷たい指の感触が残っているような気がした。そして、いつもより鼓動が速い。きっと坂道のせいではないだろう。だって下りだし。

 僕は改めて、坂道を下る。いつも乗っている電車には間に合わないだろう。だけど、特に気にならなかった。そう言えば、いつの間にか、雨による憂鬱も無くなっていた。むしろ、ワクワクしている。

 そして、僕は携帯を見た。

 「夕方の予定は空けておかないと」




 



 と言う、嘘を思い付いたので、書いてみたけれど、どう見ても、ただの妄想か虚構にしかならなかった(所要時間三十分)。ま、エイプリルフールって事で。

 バイトなのは本当。今日は早く終わったので、実家に寄って、デジタルカメラを回収。桜を撮ろうかと。家に帰ってからは、落書き。そして就寝。そんな一日。




 ↓こんな嘘、悲しくなるだけですよ。
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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (通りすがりの元キング)
2009-04-04 18:29:27
エイプリルフールのネタって・・・
おみゃーさん実際載せてるの4日や~ん。
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