テレビに出てくる芸人で千鳥が一番面白い

最近テレビでよく見るようになったのが人気沸騰急上昇の千鳥だ。大悟の野性味とノブの平衡感覚がタイミング絶妙のツッコミで何故か疲れた神経を優しく和らげて笑わせてくれる。有吉やマツコやのようにやたらと毒づいたりしないし、さんまやたけしのような古臭いセンスではつまらない。ヒロミや坂上忍は知ったかぶりが鼻につくし、吉本の芸人のような下品やドタバタ、れに「ひょっこりはん」のような無意味な一発芸は、見ていて気持ちが悪いだけで一つも笑えない。それに比べて千鳥の良いところは「常識」があって、立派な社会人でありながら笑わせてくれる「上品さ」である。体を張った危険な芸や相方を罵倒したりバカ食いを披露したり、非常識な行動で笑いを誘う手法にはもう飽きてきたのだ。

今回は志村ケンと伊豆を探索という１時間ものの番組で、「なんてことはない自然な感じ」が見ている我々にも伝わってきてリラックスでき、実に楽しく最後まで見られた。やっぱりノブはいいとこの坊っちゃんの味がよく出ている。日頃のハードな仕事を終えてたまの休日に二人が一日観光で遊ぶという設定のようで、志村のヨボヨボ姿がちょっと痛々しいがまあ良いとしよう。番組はこれと言って盛り上がりがないまま進行するが、千鳥がやると人間性がじんわり出ていて「ほんわかムード」で見てられる。たまに挟まる「ノブの驚きツッコミ」がまた面白くて、シリーズでやってくれるなら毎回見てみたい番組である。ネットでスケジュールを調べたら、あした水曜日の深夜０時１５分からテレビ朝日で「イッテンモノ」という番組をやっているみたいだ。サンドウィッチマンや三四郎も出ているので面白そうである。

有田哲平の「夢なら覚めないで」も私が好きな番組だ。大橋未歩がお好みでもある。まあこれはゲストの売れない崖っぷち芸能人を有田がいじる「もろ深夜枠の番組」だが有田の軽妙なトークとツッコミが秀逸である。上田と一緒だと有田は「悪い方」の役目だが、こういう番組では「良識派を代表するかごとき上から目線」がドロップアウト的な有田のイメージと相反して上質な笑いを醸し出す。落ちこぼれゲストの真実味溢れる苦労話を、正統派ブラックジョークとでも言ってしまいたい有田の見下ろした言い方が、「全て設定の上の会話」であることを一瞬忘れそうになる程に大笑いしてしまう。隣で聞いている大橋未歩もたまに口を挟むが、トークは別にして「やっぱり綺麗な女性は見ていて楽しい」のだ。病気してから少し太り気味なところがまた「大人の色気ムンムン」としていてたまらない。私、現在一押しの女性タレントです。

話が横道に逸れたが、まあ私が見る「今一番面白いタレントは千鳥」だ、というのが衆目の一致するところと言えそうである。お笑いの質も、馬鹿げた低脳芸人のしょうもないドタバタから「常識人」の品のある知的な笑いに変化していると言うことか。千鳥のこれからの活躍に、大いに期待したい。