わんわんず

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書評 ヨーロッパ史における戦争

2024-04-29 | 最近読んだ本
 ヨーロッパで戦争はどのように行われていたのか。その社会・文化的な背景はどのようなものだったのかが読みやすくまとめられている。
 封建領主が行う戦争と国民国家が行う戦争は、時代が違うことから戦場の様相が異なることはもちろん、社会制度の発達により戦争が指し示す範囲を大きく変えていた。

 どうしても自分が知っている社会環境を想定してしまうわけだが、封建領主は現代の大統領や総理大臣と異なり、徴税吏員すら常設していなかった。当然、常備軍を整備することは不可能だった。しかし、当時の技術力を考えると、それでも役に立っていたということだ。
 戦争という事件を歴史の中に置くということは、その時代の社会制度や文化的基盤を知ることにもなる。

 そして、エピローグでは、戦争は、それだけを取り出して議論することが出来ないことを、文化的背景を共有しない者同士で行われたベトナム戦争とイラク戦争で明らかとしている。
 最後には、「諸君は戦争に関心を持たないかもしれないが、戦争は諸君に深い関心を持っているのだ」という引用で締めくくられる。

 ウクライナと中東で戦争が続いている。内戦を含めると東南アジアでも継続中だ。これだけ世界が深く結び付けられている現代は、戦争のほうが勝手にこちらに関心を持つ機会も増えているのだろう。
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