読み通すのに思ったより時間がかかりました。
第2次世界大戦中に暗号解読に従事した女性たちの貢献を明らかにした良書だと思う。アメリカから見た第2次世界大戦なので、対独戦と対日戦の両方が扱われている。
最初の感想は、アメリカにとっても楽な戦争ではなかったということだ。少々考えてみれば当たり前なのだが、アメリカから見た1940年ごろの状況は自由主義陣営が劣勢で、大西洋航路にはUボートが出没していたわけだ。本書で初めて知ったことだが、ワシントン周辺でも灯火管制が行われていたとか、物資の欠乏が市民生活を圧迫していたという。
どうしても太平洋戦争に関心が行きがちで、かつ、ミッドウェー海戦から始まる日本が敗戦するまでの流れしか知識が無かったので、米軍が比較的楽な戦争をしていた印象しかなかったので、まさに蒙を啓かれた感じだった。
同じ流れのことになるが、男性が戦地に向かうために女性が職場で働くことが求められるほどアメリカでも人材が不足していたわけだ。
逆に、非常事態であったからこそ女性が才能を認められたという面もあるわけで、「~には向かない」という固定観念を打ち破るためには平時では難しいことも感じた。実際、戦争が終わるとアメリカ政府の方針として女性は職場を去ることが打ち出され(戦地から戻った男性に職場を明け渡すよう求められた)、旧弊打破は簡単にいかないことも感じた。
女学校の生徒が軍需工場で働いていたわけだし、日本国内でも同じようなことが起きていたはずだ。寡聞にして戦争遂行に協力した女性についてまとめた書物を読んだことが無い。
戦争中に起きていた多様な出来事を描くことで、様々な感想を持つことができる本だと思う。