うざね博士のブログ

緑の仕事を営むかたわら、赤裸々、かつ言いたい放題のうざね博士の日記。ユニークなH・Pも開設。

浦安の液状化を見に行く--その3 マンションの被害

2011年04月16日 05時58分42秒 | 東日本大震災のこと
浦安の液状化を見に行く--その3
 ここには地縁があり土地鑑もある。場所は千葉県浦安市内の東京湾に近く、特にわたしが関係していて7年前に竣工した工事物件は新浦安にある高洲中央公園に接したマンションだが、ここは海から距離約300mほどの位置にある。近くに県立浦安南高校があり、現在、そこは一時的に使用不可になっている。また、近くを境川が流れているが、川や護岸のPC法型枠ブロック敷きそのものには異状がないように見受けられる。わたしなりに気になっていたので、このたび見てきた。3月11日に起きた今回の大震災の爪痕を身近に感じるためにである。
 浦安市は、かつて大衆小説家の山本周五郎の「青べか物語」にとりあげられたように、昭和の時代には江戸前の海苔で知られた小さな漁村、それから以後、日本全体の高度経済成長の波に乗り大規模な開発が始まったものである。
 この辺は、工業地帯を意図した土地開発計画によって千葉県企業庁が海底の浚渫から埋め立て事業として大規模におこなわれた。近くにある東京ディズニーランドのあるエリアと同様に、多分、今から45から60年前に造成された。現在の高架のJR京葉線も本来は貨物線で予定していたものである。その基礎も原状地盤である海底深く届く既成の鋼管杭だったり現場造成PC杭基礎で建設された。今回の震災は長い周期のヨコ揺れでは破壊していない。押したり引いたりする横向きの地中にはたらく巨大な力にはあまり影響されずにすんだようだ。
 一方、住宅地については個人住宅に比較しマンションなどの大型の建築物は被害を受けていない。これは建築地盤に乗っている建築物自体の重量[建物荷重+(積載荷重)]が大きいのと杭基礎を併用した半地下ピット状の平面的なベタ基礎の構造による。
 しかし、個人住宅についてみれば、スウェーデン式サウンディング試験を行い事前に支持力、地耐力を調べて施工したに違いないが、今回は地盤の隆起と沈下が広い範囲にわたり想定以上の事態が起きた。せいぜい二階建てのその建物の基礎は根入れの浅い布基礎(逆T型)とベタ基礎であり、ちょうど水面に浮かぶ船のようであって、傾いたことによってひび割れが出来たり家屋全体が傾いたり、あるいは倒壊したものである。当然のことながら、より簡単な構造のL型基礎やベース基礎のみの門や塀の基礎は直線的であり、たとえ控え壁を設けていても構造上弱いことになる。補修方法については、土質や地盤問題のコンサルタントや専門業者は地盤改良として一般的にはセメントミルク注入工法をすすめているが、如何せん、その場合、大掛かりになり工事費用も高額になる恐れがある。いったん、事前に、家屋を解体して組みなおすか、一時的に他の場所へ移動させる為にクレーンや大きな器械であるキリンやカグラサンとコロを用いて曳家(ヒキイエ)作業をすることになる。
 ここは敷地面積が43,534㎡、8階から19階立ての入居戸数764戸のこの大型マンションである。そこでは、高層棟エントランス入口周りの基礎地盤隆起が起こり、広場部分のプレイロットの芝生地、ぞれに緑地の端部、が液状化し縁石が変形していることが見てとれる。
 後述になるが、この物件でわたしは某ゼネコンの設計部門の要請を受けて、マンション新築工事に耐潮性ある植物をとりいれた緑化計画を企画して、造園設計をしたり、その施工にも携わったのだ(当時、わたしは海浜の植栽計画を得意としていた)。
 ここでは、見てきた画像を個別にではなく、アップすることにした。
 なお、写真上でクリックすると画像を拡大して見ることができます。

 撮影日時: 平成23年3月28日(月曜日) 16:00→17:30
 天候: 晴れ 無風



 少し、技術的に専門領域外の箇所がありますので、不十分な点がありましたらコメントをください。液状化被害の書き込みはとりあえず今回の3回目で終了。また、時日が経過したら記していくことになるでしょう。ちなみに、このサイトの左側のカテゴリー“東日本大震災のこと”をクリックすると、また、今までのこと、これからの記事が読むことができます。
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