良峯安世とその子・良峯宗貞
臣籍を賜った皇子・皇族を賜姓王氏という。桓武平氏や嵯峨源氏が代表的であるが、良峯氏や在原氏も見逃せない。 桓武天皇が下級女官である永継(ヨウキョウ)に産ませたのが後の良峯安世王といって嵯峨天皇とともに平安文化に生きた逸材である。 母・永継は藤原内麻呂の妻として冬嗣・真夏を産んでいるが、真夏は安殿親王(後の平城天皇)側に、冬嗣は賀美能親王(後の嵯峨天皇)側についた。 学問好きの安世は、そのうち賀美能親王から誘われて御所に出仕するようになると、安世は親王にその学才を見抜かれてかわいがられたのである。 母・永継の大らかな性格を受け継いだ良峯安世王は臣籍に下り、なかば桓武天皇に見捨てられた運命を悲観することもなく、 藤原氏の時勢もあり大納言まで進んだ。 その子・良峯宗貞は815年の生まれで、仁明天皇の寵愛を受けて蔵人頭の職を得ている。 ところが仁明天皇40の賀を催したばかりというのに逝去すると、良峯宗貞は出家して遍昭と名乗った。遍昭と同じく出家した天皇の子・常康親王は旧居を雲林院と変え、遁世歌人の交友の場となった。僧正遍昭の息子・素性法師と由性法師もその中に加わっている。
遍昭出家後比叡山で修行を積んだあと、名僧として再び宮廷に迎え入れられ、後の陽成院となる皇太子・貞明親王の護持僧に任じられたが、それは陽成院の生母・高子の仕業である。 後に陽成院が廃され、光孝天皇が即位するが、光孝は遍昭の母を乳母として育っており、遍昭は益々厚遇を受けることとなった。 この厚遇はこうした巡りあわせだけではなく、天台宗からでた初めての僧正である遍昭の手腕であることはいうまでも無い。 遍昭の後半生の華麗なる活動の中で、和歌は生み出されたのである。
僧正遍昭:天つ風雲のかよひ路吹きとぢよ乙女のすがたしばしととどめむ
素性法師:今こむといひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな
実は、この遍昭僧正の墓ですが、偶然みつけることができました。 東福寺から藤原順子が眠る安祥寺へ向かう途中のことです。カーナビの地図に写った遍昭墓の文字に思わず喜び、向かいました。 住宅地の中へ少し入ったところにあり、思わず通り過ぎるようなところにありました。
蘇我娼子娘
┣ 武智麻呂(南家)680-737
┃ ┃ 軽皇子(42代文武天皇) 701-756 縄主
┃ ┃ ┃ 多治比真宗769-813 ┣娘
┃ ┃ ┃ ┣ 葛原親王786-━高望王 薬子┃
┃ ┣ 仲麻呂706-764 ┃ ┃是公娘・吉子-807 ┃┃
┃ ┃ ┣ ┃ ┃┣ 伊予親王 -807 ┃┃帯子(百川娘)
┃ ┣ 巨勢麻呂 房前娘 ┃ ┃┃乙牟漏皇后 760-790 ┃┃┃伊勢継子
┃ 貞姫 ┃ ┃┃┣ 高志内親王789-809 ┃┃┃┣高岳親王
┣ 房前 (北家)681-737┃ ┃┃┣ 安殿親王774-824 (51平城天皇)
┃ ┣ 永手714-771 ┃和新笠┃┃┣ 賀美能親王786-842(52嵯峨天皇)┣阿保
┃ ┣ 魚名-783 ┃ ┃┃┃┃ ┣業良親王 ┣正子 藤子 ┃
┃ ┃ ┃ ┃┃┃┃ 高津内親王 橘清友┣54仁明810-850 *
┃ ┃ 坂上田村麻呂┃ ┃┃┃┃ ┣橘嘉智子┣55文徳帝(道康)
┃ ┃ 登子 ┗広野┃ ┃┃┃┃ ┗橘安万子順子┗56清和天皇
┃ ┃ ┣ ┃ ┃┃┃┃ 真作┃ ┗貞数親王
┃ ┣ 真盾━内麻呂-812┃ ┃┃┃┃種継 ┣三守 ┣女
┃ ┃ ┣ 真夏774┃ ┃┃┃┃ ┗藤原東子-807┗美都子 * ┏文子
┃ ┗ 鳥養 ┣ 冬嗣775┃ ┃┃┃┃ ┣ 甘南備内親王800-817 ┣在原行平
┃ ┃ 永継 ┣長良┃ ┣山部王(50代桓武天皇)737-806 ┣在原業平
┃ ┃ ┣良房┃ ┃ ┃┣良峯安世785-830 ┣ 伊都内親王
┃ ┃ ┗順子┃ ┃ ┃永継 ┗良峯宗貞815- 平子(乙叡娘)
┃ ┗子黒麻呂-794 ┃ ┃ ┃ヨウキョウ ┗素性法師 正子皇后
┃ ┃ ┃ ┃ ┣恒貞親王(皇太子)
┣ 宇合ウマカイ(式家)694-737┃ ┃ ┣ 大伴親王786-840(53淳和天皇)
┃ ┣ 広嗣 諸兄に対乱 ┃ ┃百川娘・旅子 759-788
┃ ┣ 良継 白壁王支持 ┃ ┣ 早良親王750-785(崇道天皇 大伴家持派)
┃ ┃ ┣ 乙牟漏 ┃白壁王709-781(49代光仁天皇)
┃ ┃ 阿部古美奈-784 ┃ ┣ 他部親王761-775
┃ ┣ 百川 道鏡追放 ┃県犬養広刀自┣ 酒下内親王754-829(斎宮)
┃ ┃ ┣ 緒嗣774-843 ┃ ┃ ┃ ┣朝原内親王779-817(斎宮)
┃ ┃ ┣ 旅子-788 ┃ ┃ ┃ 桓武天皇 ┣
┃ ┃ ┗ 帯子-794 ┃ ┣ 井上内親王717-775 平城天皇
┃ ┗ 清成 ┃ ┣ 不破内親王
┃ 賀茂比売 ┣首皇子(45聖武天皇)701-756
┃ ┣ 藤原宮子 ━━┛ ┣ 基皇太子727-728
┃ ┣ 長娥子(長屋王妾) ┃
藤原不比等 659-720 ┣ 阿部内親王(46孝謙/称徳718-770)
┣━━━━━━━━ 安宿姫701-760(光明子・皇后)
県犬養(橘)三千代-733