うりぼうのシネ煉獄

映画・ゲーム・テレビ・本の感想をまったり書きます。

うる星やつら/ビューティフル・ドリーマー

2013年06月12日 | 日記
 押井守監督による1984年のアニメ作品。


 「1作目は原作に(比較的)従順に、2作目は自分の好きにやる」スタイルであるとか、2つの異なる世界の境界が曖昧になる物語とか、理屈っぽい独り語りが多いとか、ある意味、押井守のスタイルを決定づけたとも言える作品で、うる星やつらが原作であることを除いても物語として傑作だと思います。

 それでもこの頃はまだそれぞれのキャラクターや世界観を生かしつつみたいなところもあってほどよく観られる作品です。同じように「2作目は好きにやる」タイプの「パトレイバー2」「イノセンス」では本当に押井の好きなキャラで好きな世界観で物語るので原作ファンにもキツかったろうと思います。個人的には押井守作品が好きなのでいいんですが。


 物語の設定になる”永遠に終わらない学園祭前日”とかそういうノリはマンガでも「究極超人あ~る」のような「こういう逃げ場所のような部活がずーっと続けばいいなぁ」というようなのがあったし、同じゆうきまさみの「パトレイバー」でも”埋立地に島流しにされたお荷物部隊”の登場人物たちという設定で持ち越されています。
 本作ラストで「実は”終わらない夢”は続いている」ような解釈が許されているのは原作自体登場人物たちがずっと年を取らない設定だったことを踏まえているんでしょうね~。「永遠に学園祭前日を繰り返す」のも「永遠に高校2年生である」のも一緒じゃないか、と。

 それはけっこう意識的に演出されているようで、作中面堂が他の仲間に怪異に注意を払うようにいいつつも先刻折れたはずの刀がいつの間にか元に戻っているのに気づいていなかったり、同じシーンでさくらが「3階建ての校舎がいつの間にか4階建てになっている」と指摘するのに、実はそのシーン以外では校舎は2階建てであるのにさくら自身気づいていなかったりと”うる星やつら”の登場人物自体が永遠に繰り返す夢にすでに飲み込まれているのを匂わせています。


 ともあれ、
 本作はうる星やつらを知っていても知らなくても楽しめる傑作だと思うし、少なくとも後年の押井作品よりも観やすいという意味でもオススメ。


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