うりぼうのシネ煉獄

映画・ゲーム・テレビ・本の感想をまったり書きます。

ダークナイト・ライジング

2012年07月30日 | 日記
 今年の目玉映画の一つ、新バットマン3部作の最終話「ダークナイト・ライジング」を観てきました!

 つくづく残念なのは、やはりヒース演じるジョーカーが出ないってことでしょう(ネタバレじゃないと思うので書きますが、生前の未使用フィルムを含めてジョーカーの登場シーンなし)。
 今回の敵役ベインによってゴッサムシティが無法地帯になるという話なので当然ジョーカーが再び野に放たれる、みたいなシーンもあってよかったと思うんですが(ジョーカーが本筋に絡むと話が複雑になるので共闘を求めるベインに対しジョーカーが「俺は俺の好きにやる」とか言ってどこかへ去っていく・・・みたいなシーンがあったらなぁ)ジョーカーにはまったく触れられませんでした。「バットマン・ビギンズ」を意識している作品なのでスケアクロウの驚きの登場シーンとかあるのに。

 2作目からタイトルに「バットマン」という呼称を使わなくなったノーラン監督なのですが、面白いのはアン・ハサウェイ演じるキャットウーマン。実は作中自他ともに”キャットウーマン”と呼ばれることがない。エンドクレジットは確認しませんでしたが、公式サイトでもキャットウーマンとは書かれていません(クリスチャン・ベイルは「ブルース・ウェイン=バットマン」と書かれている)。
 かように、ノーラン版バットマンではいかにも”キャラです”って感じの登場人物は実は少ないですよね。強いて言えばバットマンとジョーカーくらいで、他のキャラは特に見た目にはこだわらない。キャットウーマンはほとんど猫っぽい衣装じゃないし、スケアクロウもあの覆面はしているシーンの方が少ない。強引にあだ名をつければ・・・くらいの印象でしかないですよね。
 第1作の架空の都市ゴッサムからもはや普通にニューヨークで撮影されているこのシリーズなので、監督は現実に起こりうる正義と悪との闘争をできるだけおとぎ話にせずに描くってことがテーマなんだろうなぁって思います。バートン版のようなゴッサムだとやはり「マンガの世界の話」って感じになっちゃうので。


 さて、
 実際のところ、面白かったかというと面白かったです。特にキャットウーマン絡みのシーンは良かったです。しかし「ダークナイト」に比べるとそこまでじゃない。3部作の完結編という意味ではこれでいいと思うってことで。
 あと長い・・・3時間近くあるのでバットマンに思いいれのある人を連れてのデートムービーというわけには行かないでしょう。観たことなくても男なら楽しめるかもしれませんが、興味のない女性を連れて行ったらおそらくケンカになります。そこは「海猿」で行きたいところ。

 ともかく評判は前作ほど良くはないでしょうが(ヒースのジョーカーが良すぎたので)3部作でこれだけのクオリティを保てたってのはかなりすごいって思います。できれば公開中にもう1回くらいは劇場に観に行きたいですね~

リーグ・オブ・レジェンド

2012年07月30日 | 日記
 アベンジャーズだと思って観たらリーグ・オブ・レジェンド!

 それはウソですが、テレビでやっていたので観ました!ショーン・コネリー主演はこれがいまのところ俳優としての最後の作品となっています。2003年の映画。


 「キング・ソロモンの秘宝」のアラン・クォーターメインからトム・ソーヤーまで様々な小説の登場人物がクロスオーバーする冒険活劇!「アヴェンジャーズ」のネタ元みたいな話です。原作自体が「ウォッチメン」などのアランムーアのコミックです。ちなみに原作にはディズニーが映画化した「ジョン・カーター」も登場してるんですね~


 あれ?
 たしかDVDではラスト、墓の中からクォーターメインの手がザッ!と出てくるシーンで終わるはず(”アフリカはあなたを死なせない”という伏線があり、呪い師が魔術で復活させる?シーンで終わる)なのにそのシーンカットされていますね、テレビ版。まぁいらんと言えばいらないシーンですが・・・・。


 ともあれ、
 こういうオールスターみたいなお祭り的な話って面白いですよね~仮面ライダーも勢揃いとか戦隊もの全員集合みたいなのもよくあるし。「アヴェンジャーズ」ももちろん楽しみです。

ガタカ

2012年07月29日 | 日記
 評判がいいってのは知ってたんですが、観ていなかったのでふと思い立ってブルーレイをレンタルしてきました。97年の映画。


 面白れ~!!

 SF映画ですが、ほぼSF的なところはなく、設定くらいでしょうか。
 科学が発達し、産まれたばかりの赤ちゃんの血液の分析で大体の寿命や将来発症するであろう病気などが分かるようになっています。その世界では国や肌の色ではなく遺伝子によって公然と差別されている世界。
 主人公のヴィンセントは心臓に障害を持っていて30までしか生きられないとされています。逆に弟のアントンは1000人に一人と言われるくらいのエリート遺伝子の持ち主。
 未来有望なアントンの影で”出来損ない”として育てられるヴィンセント。しかし宇宙飛行士の夢(一流の遺伝子を持つものしかなれない)をかなえるべくエリート遺伝子の持ち主ジェローム(ジュード・ロウ)の身分を買うのですが、宇宙局のガタカで殺人がおき、不注意にもヴィンセントのまつ毛が付近で発見されてしまうのでした…。


 全体的に落ち着いた映画で、現在暑いのが非常に残念。秋とか涼しい季節に見ればよかった。

 監督アンドリュー・ニコルの関わった作品全部観てた!(本作が最後の一つだった)けっこう好きな作風の監督なのかも。それにしても出身地のパラパラウムって…(ニュージーランドの地名らしいです)変な名前!

Mr.インクレディブル

2012年07月25日 | 日記
 テレビ放映しているのを観ましたよ!

 アメコミヒーローの世界をネタにしたピクサーのアニメ作品。2004年の作品。・・・ってこれですらもう10年近く前の映画か~月日の流れるのは早いものです。
 監督は去年「ミッションインポッシブル・ゴーストプロトコル」で実写監督デビューするブラッド・バード。やはりストーリーに定評がありますね。


 様々な能力をもった家族が活躍しますが、やはり本作の”爽快感担当”長男ダッシュが好き。彼の活躍のシーンは観ていて気持ちいい。あと一家の旧友という役柄のフロゾンも一家と違って能力を工夫して使っている感じがしていいキャラだと思います(字幕版ではフロゾンはサミュエル・L・ジャクソンが声を担当)。

 ラストに出てくる新たな敵が”地底人”ってのもファンタジックでいい!
 DVDは持ってますが、改めて観ちゃうくらい好きな作品で満足です~

華氏911、フェア・ゲーム

2012年07月25日 | 日記
 「それは自由が燃える温度」

 なんて秀逸なキャッチコピー!
 「華氏911」のキャッチです。タイトルの”華氏911”がブラッドベリの小説「華氏451度」(政府が国民をバカにしておくために書物を禁止した世界を描いたSF小説で、華氏451度は紙が発火する温度のこと)と911テロを掛けて付けられているから。


 そして奇しくも同じくイラク侵攻の事実を扱った映画「フェア・ゲーム」も同時に見ましたよ~。「華氏911」は2004年、「フェア・ゲーム」は2010の映画。


 「華氏911」の方はブッシュをはじめとするオイルでドロドロになったホワイトハウスが911テロからイラク侵攻までの政府としての違和感のある行動に至ったのか、そして彼らが私腹を肥やして自分たちの周りだけに便宜を図った結果、国民やイラク人にどれだけの被害を与えたのかを描いたドキュメンタリー。恐るべきは、これだけ話題になったのにも関わらずその後の大統領選でブッシュが再選したってこと!結果、ブッシュは史上最低の支持率を記録した大統領として歴史に名を残しました。

 そして「フェア・ゲーム」は、イラク侵攻でよく知られた出来事の一つ、「イラクには大量破壊兵器がある」との情報で戦争に踏み切ったものの、実はそんなものはなかった…のみならず、以前から「ない」との分析結果を受け取っていた(のにもみ消した)という事件の当事者である元CIA工作員の回顧録を映画化したもの。


 どちらも911テロ、イラク戦争を扱った作品で、きわめて政治的。
 普段政治に興味がないので右でも左でもないんですが、これほど自分の国の現職の大統領をこき下ろすってすごい心臓!って思います。しかしそれだけに観る価値のある映画だと思います。果たして自分の国の政治に対してこれほどの熱量で何かをすることができるだろうかって思います。
 「フェアゲーム」の方は主演がナオミ・ワッツとショーン・ペンでややフィクション風味にしているんですが、元ネタは実話。
 これも政府はすでにシナリオを決めていてそれに見合う情報を集めていただけ、ってのがわかりますね。

 社会派ドラマを続けて2つ見たのでちょっと重かった…
 しかし日本の政治に対してもこういう作品が出てくればいいのになぁって思います。

Dr.パルナサスの鏡

2012年07月24日 | 日記
 テリー・ギリアムは大好きな監督。もちろん彼の母体であったモンティ・パイソンも好き。

 なのにタイトルの「パルナサス」が”パルナサス”なんだか”パルキッソス”なんだかいまひとつ判然としません…2009年の公開。

 ということでハリウッドも不景気でコアなファンを持つ”鬼才”にお金を出す余裕がないらしく、本作はイギリスとカナダの資金で作られているようですね。デビッド・リンチの映画「インランド・エンパイア」もほとんどインディーズのような形になっています。

 
 才能はあるのに映画の女神に徹底的にそっぽを向かれているという奇特な監督ですが、本作でも主演のヒース・レジャー(「ダークナイト」のジョーカー役の人です)が撮影途中に急逝し、今回も完成が危ぶまれたものの、ヒースの親友であった3人の役者が”鏡の中の世界のヒース”を演じて事なきを得たようです。

 しかし、
 個性的な監督がアメリカで映画を撮れないという状況は、もしかすると他の国にとってはチャンスなのかもしれませんね。
 日本でも面白い映画を撮る監督を呼んで映画を撮ってもらうとかできないんですかね~もちろんハリウッドとかに比べたら予算は少ないけども…

ランボー/最後の戦場

2012年07月24日 | 日記
 本日はスタローンの監督・脚本・製作・主演によるまさにランボーの決定盤「ランボー・最後の戦場」を観ましたよ!2008年公開。


 原題もシンプルに「Rambo」。これからもシンプルでパワフルな「これぞ!」って映画を作ろうって心意気が見えてきます。ちなみにランボー1作目のタイトルは「First Blood」でした(日本の配給会社が邦題を「ランボー」として、逆に本国アメリカ側が「こっちの方がいいや」ってことで2作目以降「Ranbo~」というタイトルになったという経緯がある)。


 本作と「エクスペンダブルズ」はスタさんが監督していますが、スタローン監督のバイオレンスアクションには早くも独特な個性がありますよね。
 端的に言えばどちらも「重い」。
 音も重厚だし、殺戮描写も”派手”じゃなくて”重い”・・・。
 たとえば手榴弾が爆発するシーンなら普通は爆煙がドーン!ってなって土が撒き散らされる、みたいな描写ですが、スタローンの映画だと土煙少な目で飛び散る肉片が多め、みたいな雰囲気。
 全体的に弾に当たると痛そうという印象が強いです。
 スピルバーグがリアリティを出すために頑張った「プライベートライアン」のオマハビーチの件を娯楽アクションに流用したような感じでしょうか。特にヤマ場の戦闘シーンではランボーが重機関銃で敵をなぎ倒しますが、弾が当たったところは”貫通”じゃなくてその部位が”吹っ飛ばされる”感じが怖い。

 ということで、
 劇場で観れば相当迫力があるスタローン監督作品。
 今年は「エクスペンダブルズ2」が公開なんですが、残念なことに「2」は監督でもなければ脚本も、プロデュースにすら参加していないようなので完全に作品を手放した形。作品自体も薄味になっているかもしれません、残念。
 本作と「エクスペンダブルズ1」はオススメ。

マイティ・ソー

2012年07月23日 | 日記
 ワケあって観ることになったのでDVDで観賞。

 壮大なる「アベンジャーズ計画」関連作の1本。
 それにしてもこれくらいになるともうアメコミヒーローもどうでもよくなるというか、どれがどれだかワケがわかんなくなりますね。もう「グリーンランタン」と本作、若干混ざって記憶しています。

 改めて見直すと「アヴェンジャーズ」にも登場するホークアイ(「ハートロッカー」のジェレミー・レナー。弓矢の名手というヒーロー)チョイ役で出てるんですね~劇場で観たときは気がつかなかった。あとムジョルニア(ソーの武器のハンマー)調査してるのはシールズだったのか!

 他のヒーローと違って基本神様なので現実味がないっていうか、苦悩が浅いような気がします。
 しかしなんでかナタリー・ポートマンとかレネ・ルッソとか、アンソニー・ホプキンスとかアベンジャーズジャック中のサミュエル・L・ジャクソンも含めればけっこうな豪華キャスト…なんで?って思います。どうせアメコミヒーローものに出るならもっと他にメジャーなのがあったろうに。監督ケネス・ブラナーの人脈かな?とか思ったりしました。

 ということで、
 「アベンジャーズ」観るならやっぱり押さえておきたい作品の一つでしょう。まぁお祭りみたいなもんだし。単品として見るなら俗世の悩みを超越しているという点でおとぎ話的に楽しめるとは思います。神話みたいなもんだし。

ドラゴンエイジ -ブラッドメイジの聖戦-

2012年07月20日 | 日記
 人気テレビゲーム「Dragon age」をアニメ化した作品、2012年公開。

 監督の曽利文彦という人の作る作品は興味深く、「アップルシード」(2004)「ベクシル」(2007)本作とキャラクターの造形がほぼ一緒。

 マンガではよくどの作品でも描き方一緒ってのはありますが(あだち充とか)アニメ作品では珍しい方なんじゃないでしょうか。
 特にフルCGなのでキャラの造形なんて本当実写同様どうとでもできそうなものなのに。あえて監督の”個性”を出すために似せてるんでしょうかね~。


 さて、話は中世風ファンタジー世界を舞台に、陰謀を巡らせている悪役を主人公たちが倒してハッピーエンドというまとめてしまえば実も蓋もない内容。
 なんというかゲームとしては楽しめるかもしれませんが、映画としてはオーソドックスすぎるかなぁという気がしました。ヤバさという意味では「ベルセルク」の方が惹きつけられる内容と思いました。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版・序+破

2012年07月19日 | 日記
 2007年と09年に公開されたエヴァンゲリオンの劇場版新シリーズ第1作と第2作。DVDで久しぶりに観ました。

 今年公開予定の第3作目ですが、先ほどのインタビューで総監督・庵野秀明さんは、

 旧作の「エヴァ」では、僕が「娯楽」としてつくったものを、その域を越えて「依存の対象」とする人が多かった。そういう人々を増長させたことに、責任を取りたかったんです。作品自体を娯楽の域に戻したかった。ただ、今はそれをテーマにするのは引っ込めています。そういう人々は言っても変わらない。やっても仕方がないことが、よく分かりました。


 と語っていますね。
 まぁわかりますわ。当時はオタクから心理学者まで本当に病的と言っていいほどにハマっていたし。おそらく庵野監督自身も追い込まれてたんでしょうね~語り草になっているテレビシリーズ25・26話とか、劇場版で客席のオタクをスクリーンに映してみたりとか、オタクにとってのアイドルキャラの一人であるアスカに「気持ち悪い」って言わせてみたりとか、もともとの暗い内容にさらに気分が悪くなるようなネガティブなシーンが目白押しでした。

 で、新劇場版では監督がその後実写映画撮ったり結婚したりで精神的に良くなったのか、それとも大人になったのか同じシーンを描いていても(新劇1ではテレビシリーズとストーリーはほぼ同じ展開を見せている)前向きというか見ていて苦痛じゃない感じがよかったです。
 新劇場版を観てから旧シリーズを思うとやっぱりどのキャラクターも他者に対して心を開いていなかったんだなぁって思いますわな。

 話は相当マニアックな感じだし、アニメ作品だしで誰が観ても楽しめるってことはないのでオススメはしませんが、劇場版アニメとしてはもはや数少ない大予算映画だし、クオリティも文句なしに高いので日本のアニメ技術の質はここまで来てんだ!という意味では観てみる価値はあるかも。