うりぼうのシネ煉獄

映画・ゲーム・テレビ・本の感想をまったり書きます。

羅生門

2011年11月29日 | 日記
 言わずと知れた黒澤明の名作「羅生門」。
 NHK-BSでデジタルリマスター版をやっていたので観てみました。1950年公開。

 黒澤作品はいくつか観ていたものの、SFX世代の映画ファンである俺はそこまで古典を観ていないんですね。で、「羅生門」を観るのは今回が初めて。


 で、正直に言えば「羅生門」、傑作すぎる!<emoji id="009">

 原作は芥川龍之介の「藪の中」。もちろんタイトルにもなっている「羅生門」の要素も入ってます。

 ストーリーは、豪雨の中、朽ち果てた羅生門の下で雨宿りする杣売りと旅法師。そこに下人がやってくる。二人はとんでもない事件に遭遇したといい、下人は暇つぶしにその話を聞く。
 殺された武士を巡る話は、殺害の犯人とされる多襄丸、殺された武士の妻・真砂、そして霊媒師によって引き戻された武士の魂、さらに実は一部始終を見ていた杣売り。それぞれの証言は矛盾しており相容れない。
 果たして真相とは?実際その時何があったのか?


 というような内容。
 時間は88分と短いながらも無駄のない脚本や切っ先鋭い映像美はさすがって感じがしました。古い方は観たことないんですが、映像を修復したせいでなおさら美しくなっているのかもしれません。

 最初はあまりにも大げさすぎる多襄丸役の三船敏郎の演技も、実は後半のアレ、…いやもう古典なのでネタバレもくそもないと思うので書きますが、前半の証言での武士と多襄丸の斬り合いと杣売りが見た真相とされる斬り合いの対比になってるんですね。杣売りが見たのは情けなくみっともない殺し合い。多襄丸も刀を持つ手が震えてるし。

 登場人物のまるで舞台のように少ないし、場面によっては全然動かなかったりもして、これは素人の俺が見てもすごいって感じました。
 これを観ると「TAJOMARU」(2009年公開。小栗旬主演)ってなんだったんだろうね、って思います。原作の映画化で本作のリメイクではないですが。

 こういう映画を観ると全盛期の黒澤作品のような映画を撮る人はきっともういないんだろうなぁって思いますね~
 いまさらながら傑作なのでぜひオススメ。

2012

2011年11月25日 | 日記
 ご存知エメリッヒ監督のディザスタームービー「2012」。
 マヤ暦の一区切りが2012年になっているという話を基点に太陽系の惑星が直列するとかなんとかもっともらしい出だしはともかく地球が大変なことになって人類は滅亡しますよって話。


 たまに観たくなります。
 実は158分もあるのになんでたまに観たくなるのか?それは「内容が薄い」から。な~んにも考えずに観ることができるからでしょう。逆にいろいろ考えされられたり、テーマが重い中身が詰まった映画ってのはそうそう見返せるもんじゃありません。

 エメリッヒはもともといかにもなハリウッドディレクターで見た目重視のど派手で旬を取り入れた娯楽作が得意で、本作でももちろん科学的な考証だとかは全然無視しているし、映画としての作りにもそれほど工夫はありません。
 ストーリーは「ノアの箱舟」の話を踏襲しているかのような展開になります。主人公の一人であるジョン・キューザックの息子はそのもの”ノア”って名前ですが、別にこの子が一番早く異状に気づくわけじゃないし、箱舟までの冒険の中心になってるわけでもない。とかね。一応それっぽく登場人物の一人にノアの名前を付けてみただけ、みたいなね。


 聖書の出来事を科学的に考えてみるような本でもしばしば言われていますが、果たしてヒマラヤ山脈の上の方しか出ないほど水位が上昇することがありえるのか(たとえ北極・南極の氷がすべて解けたとしても)と謎は残りますが、そんなことはどうでもいい!後半のお涙頂戴は面白くなくなっていくんですが、前半のひたすら陸地が崩壊していく様(そして主人公たちはつねにギリギリで脱出!)は現代のCG表現とも相まって映像の快楽に満ちています。
 ぜひとも映画館でリバイバル上映とかしてほしいな~これは家のテレビで観るのと映画館の大画面で見るのとでは迫力が違うからな

 レンタルしたブルーレイ版には「もうひとつのエンディング」というのがあり、そちらの方がよりご都合主義的なラストになっているのですが、さすがに監督もくどいと思ったのか結局はあっさりめのラストになっていてよかったです。

 冷静に見るといろいろ不満もある映画ですが、なにも考えずただ映像のすごさに観惚れるための映画として観てほしい。そんなオススメ映画です。

スカイ・クロラ

2011年11月23日 | 日記
 押井守監督のいまのところ最新作の長編アニメ。2008年公開。
 原作は森博嗣の同名小説。


 公開時は「イノセンス」ほど没入できない作品だなぁ、と思っていたんですが今見直してみるとそれほどヒドくもなかったな、という印象。

 当初「若者に向けて作った」みたいな感じでアナウンスがされていたので正直「はぁ?」って思った人も多かったような気がしますが、箱を開ければいつもの押井作品。ボソボソしゃべり覇気が感じられない登場人物たちや一般的な意味での盛り上がりどころのないストーリーはいつもどおりでした。


 結果的にキルドレという設定自体がそういうことなので覇気がないのもしかたなしってとこですね。
 押井作品に関しては詳細な分析をしているファンも大勢いるので改めて考えるのもどうかと思いますが。たとえば戦闘機をメインにした空中のシーンはリアルなフルCGで、キャラクターがメインのシーンはアニメ絵。普通はアニメとCGの組み合わせに違和感が出ないようにマッチングをするのでしょうが、本作ではあえて意識的にそれをしていない。それはキルドレの価値観、戦闘機に乗る空中こそリアル(=死の可能性を持つ生の世界)とリアリティのない日常(=日常では死ぬことも成長することもない)の対比でもあります。

 しかも死んでも同じようなのがすぐに補充されてくるという設定が、虚構の戦争という設定とあいまってなおさらゲーム感を強調します。
 スーパーマリオでマリオが何度穴に落ちて死んでも次のマリオがスタートするのを、”同じマリオなのか似ているけど違う人なのかわからないという怖さ”というような表現のしかたをしているんですね。おそらくマリオにもクッパを倒してピーチ姫を助けている時以外にも日常があるんでしょうが、そのマリオの日常はキルドレの日常同様「死の可能性のないリアリティのない世界」なんでしょう。つまりキルドレたちの日常は酒を飲もうと女と寝ようと「プレイヤーがゲームを起動している以外のマリオの世界」でもあるってことですね。


 あまり細かい設定は明らかにされていませんが(小説は未読)、重要なキャラである”ティーチャー”。人間であり不敗のパイロット。キルドレが倒すべき究極の敵。おそらくは彼らに死や成長を与える存在。
 主人公のユウイチの最後のセリフは、字幕では「ティーチャーを撃墜する」ですが、実際には「Kill my father.(父を殺す)」と言っているのも興味深いところです。ユウイチのDNAはティーチャーなのか?ティーチャーの血を受け継いでいるからこそクサナギはユウイチに惹かれるのか?


 と、深読みすればキリがない作品なのでこのへんでやめますが、いままでの押井作品に比べればそれほど難解風でもないし、中だるみもないように感じます。しかしシーンが静かなのが多いので眠くはなりますが。
 これを機にDVDを買ったのでぜひまたそのうち見直してみようと思いますね~

デンジャラス・デイズ:メイキング・オブ・ブレードランナー

2011年11月20日 | 日記
 BS-NHKでやっていた「ブレードランナー」のメイキング作品。アマゾンで見てみると単体では販売しておらず、「ブレードランナー」のブルーレイ特別版にのみ特典として入っているものらしいので、放映してくれたのは実に嬉しい限りです。
 ただ、ブルーレイの特典のは「3時間半を越す…」と書いてあるんですが、今回の放映は2時間半。カットされているのかわかりませんが、カットバージョンだとすればちょっと残念ですね。


 しかしまず「ブレードランナー」を観たことある人、好きな人にしか興味のない作品なのは確実ですが、これはもうSFの傑作のひとつですから!ぜひとも観なければなりません。だって「ブレードランナー」以後近未来SFはすべて雨の降る夜が舞台になったくらいです。


 前から噂にはなっていましたが、やっぱりハリソン・フォードとショーン・ヤングって仲が険悪だったんだ!とか、ラストの森の中を走る車の空撮はキューブリックから「シャイニング」で使わなかったフィルムを借りていた!とか面白い話が聞けました。あと作中では語られていませんが、「スターウォーズ」のファルコン号とスターデストロイヤーがビルとして再利用されているってのも有名な話。
 あとは予算がなくてありもののセットにデコレーションして近未来の都市を作ったためあまりにも見た目がショボく、それをごまかすために夜(そして雨や煙)の設定にした、とか裏話はあまりに面白すぎます。


 とにかく「ブレードランナー」ファンならぜひとも観ておきたい作品でした。メイキングやコメンタリーの類はあんまり興味のない俺ですが、本作に限っては楽しめた!の一言。CG以前の最後の名作SF作品ということで勉強になりますね~。

ホットファズ

2011年11月20日 | 日記
 評判が良くて観ようと思ってはいたんですが、なかなか手が出なかった「ホットファズ」をやっとレンタルで観ました!「スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団」のエドガー・ライト監督による2007年の作品。


 監督はハリウッド映画ファンらしく長編デビュー作はゾンビ映画、「スコット・ピルグリム~」は格闘ゲーム、そして本作ではハリウッド風ポリスアクションをテーマに映画を撮っています。ちなみにイギリスの人です。


 で本作はと言うと、優秀すぎて鼻持ちならない主人公・エンジェルが周りから反感を買って犯罪なんて全然起こらないど田舎に左遷されるんですが、そこでも法をがっつり守ろうとするのでのんびりやっている田舎の警察の人たちとはまったく合わない。しかしそこで出会ったのんびり屋の警官とコンビを組むうち次第に肩の力が抜けてきて…

 という内容。
 しかしヒューマンドラマではもちろんなく、田舎なのに「リーサル・ウェポン」のように万引き少年を追い掛け、「ダイ・ハード」のように銃撃戦!!という「場違いモノ」コメディ。
 本作のすごいところはこの手のコメディでは前半が笑えて、ストーリーが本題に入ると笑えるシーンは少なくシリアスになっていくものなんですが、この映画は最後の方までちゃんと笑わせようとしているってところですね。

 さすが評価が高いだけある!と納得した作品でした。
 寒くなってきたこの季節。ひと笑いしたいという人にはぜひおすすめの作品です。

コンテイジョン

2011年11月17日 | 日記
 ハリウッド版「感染列島」


 監督のソダーバーグは「オーシャンズ」シリーズで有名ですが、実は他に「エリン・ブロコビッチ」「トラフィック」「チェ2部作」なども作っているのでけっこう社会派でもあります。

 そんな監督が作ったのがこの「感染列島」。
 話は未知のウィルスが爆発的に世界中に蔓延。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の長官(「マトリックス」のモーフィアス)らが事態の収束に奔走するという内容。


 はっきり言ってこの映画を観た後「感染列島」見たらきっと自分が監督したんじゃないのに恥ずかしくなります

 CDCはもちろん専門家などに綿密なリサーチをしただけあって、この映画はすごくカッチリしてます。お前はマジメかってくらい。
 ウィルスが蔓延した時、国やCDCの人たちはどう動くのか、国の、国民の反応は、人々の心理や行動はどうなるか?そこらへんをちゃんと考えて作られています。だから主人公のヒーロー医師が一人でがんばってハッピーエンド、みたいにはなりません。


 ちょっとだけネタバレになりますが、ジュード・ロウが出てきます。”自称”ジャーナリストで最初期の感染者・東京のサラリーマンがバス内で倒れるところがyoutubeで流されており、それにいち早く気づく、という役。この人はひどくてその後民間治療みたいなのを吹聴したり、国は製薬会社と結託してとっくにできているワクチンを公表していない、とかデマを流して混乱に陥れたりする人なんですが、実は普通のハリウッド製娯楽作のパニックものだったらこの人が主人公なはずなんですね。
 フリーランスで仕事をしているジャーナリストで、事件の重要性にいち早く気づき周りに警告するも無視されるキャラクター、その後事件が大事になってくると国の支持に反抗して独自に仕入れた解決法を啓蒙。国はワクチンを隠蔽してるがそれに屈せず立ち向かう男。しかも演じてるのはジュード・ロウだし。
 しかし本作ではこのキャラは徹底して国を混乱させる厄介者として描かれています。もちろん自業自得の結果もあるんですが。
 この映画で活躍するのはCDCをはじめとした”まっとうな”専門家たちなんですね。そのへんはリアルに描かれていて、経路を調べ、感染源を調査し、拡大をできるだけ防ぎ、ワクチンを早急に開発するべく注力する。
 当たり前だけど、ちゃんとみんながんばって事態の収拾にあたっているのが好感が持てます。

 まぁちょっと映画と距離を置いてみると、「こういう時、国は誠実に一生懸命がんばってますよ、なにも隠してませんよ」っていうプロパガンダっぽくも見えなくもないですが…。

 ともかく、
 最後まで見るとオチの因果応報っぽい感じとか、皮肉っぽい感じも含めてしっかりよく出来た映画だな、って思いました。派手なアクションもヒーローも登場しませんが、みんな自分の持てる力を発揮していて見たあといいものを観たって気持ちになれました。社会的な問題を扱う映画が大丈夫な人にならオススメ。

イリュージョニスト

2011年11月17日 | 日記
 俺は子供だからわかりませ~ん(泣)<emoji id="006">


 前作「ベルヴィル・ランデブー」がとても気に入ったので本作もDVDをレンタルしてきました。

 話は手品師のおじいさんがひょんなことから若い娘・アリスと一緒に生活することになり起こる絆・愛・出会い・そして別れ…

 みたいな内容で、こう書くとあっさりしてますが、作風としては極力セリフを排した詩のような大人向けの絵本のような作品。

 フランスの監督らしく反ハリウッド的というか派手なアクションやはっきりした起承転結がない作品。つまりは娯楽作ではないということ。
 終始悲しい結末になるんでは…とハラハラするんですが、実際ラストになると案外カラッとしていて意外と胸が痛くはならないのはうまい出来と言えます。

 この作品はジャック・タチという映画好きには有名人らしい人の未映画化脚本を映像化したもので、そもそも主人公の名前がタチシェフとジャック・タチと同じ名前だし、作中主人公が迷い込む映画館ではジャック・タチの映画(実写)が流れているという念の押しよう。


 今回も徹底した世界観が美しすぎます。
 もの悲しげな雰囲気も作品の時代設定同様、古き良き時代へのノスタルジーという気もします。

 あ、忘れてたけど冒頭の文句ですが、作品がかようにわかりやすい娯楽作ではないため、監督が何を言わんとしているのか、手品師と娘の関係とは結局なんだったのか、そのへんがいまのところまだうまく咀嚼できていないってことですね。
 わかりやすいハッピーエンドでもないし、かといって悲劇でもない。
 喜怒哀楽のようなわかりやすい気持ちではなく微妙にいろんな気持ちがミックスされたような後味。それが大人の味ってやつか。

 しかしいい映画であることは確か。
 この監督は1作公開されるまで何年も掛かるので、ぜひとも新しい作品を作って欲しいですね

インモータルズ

2011年11月15日 | 日記
 インモータルズとは直訳すると「不死者たち」、不死である神々のことを主に指します。

 個人的なランク付けだと「300」よりは下、同じギリシャ神話ものだと「タイタンの戦い(2010)」よりは上といったところでしょうか。


 本作ではテセウスの話をざっくり映像化。

 昔々、神々とタイタン族との間に天を賭けた戦いがあり、負けたタイタン族は密かに幽閉されていたのですが、悪い人間の王・ハイペリオン(ミッキー・ローク)がタイタン族を解き放って地上を支配しようと画策。そのためにはどこかに封印されている神の武器である弓が必要になるため、行方を知る巫女を拉致しています。
 そこにゼウスにこっそり寵愛されている青年・テセウスがひょんなことから関わることになり、”神に選ばれた者”として人類の危機を救うハメになるのですが…って話。


 「300」の製作チームと「落下の王国」の監督がジョイン!
 ということでどうしたって映像には期待が高まるってもんです。

 「300」が動く宗教画って感じですごく好きな映画だったので、本作はちょっとそれに比べると残念、
 どうしてCGを使うとやたらと遠景が多くなるんでしょうね?CGで荘厳な風景を作ると見せたくなるんもんなんでしょうか。「スターウォーズ」とかはもうそればっかりだったし。
 広々とした風景ばっかり見せられると逆に映像的にスカスカ感がするように感じるんですが。逆に顔のアップばっかりもうっとうしいけど。

 一応、有名な「ミノタウロスの件」も出て来るんですが、ああいう風にアレンジしてるのはちょっと良かった。ヤマ場を際立たせるためか極力ファンタジックな表現は控えめにしているのがいいところですね。そういうセンスは好きです。

 そのヤマ場、戦いが3重構造になっているのもまた良し。
 神々VSタイタン。テセウスVSハイペリオン、ギリシャ軍VSハイペリオン軍。
 神々の戦いはCGバリバリでいかにも人間ではできない戦いを見せている。これぞ神の戦い!って感じ。テセウスとハイペリオンの戦いは逆に下手に手を加えず肉体のアクションで見せる。軍隊は、まぁ大乱闘<emoji id="278">
 3つの戦いがテンポよく変わって見せられるせいで飽きずに見られました。
 あと時間は前後するけど、人間の争いに神は介入しちゃいけないってゼウスに言われているのに介入しちゃうシークエンスは「神すげえ!!!」って本当に思いました。そりゃあ介入したらダメだわ、反則だわ。って思います。


 そう思い返してみるとなかなかに面白かったんですが、どうしても無駄のない「300」を思い出してしまう。
 それがなければ本作はけっこういい出来。映像も美しいし3Dで見るほどかどうかはともかく楽しく観られました。<emoji id="004">

マネーボール

2011年11月14日 | 日記
 娘の歌がいい!!!!
 これだけお金を払う価値がある~♪

 ブラピがプロデューサーにも名を連ねる主演作。

 主人公のブラピは元メジャーリーグの選手で今はアスレチックスのGM(ゼネラル・マネージャー)。スカウトのリーダー?みたいな感じ。
 金持ち球団に看板選手を引き抜かれて最悪という今期。代わりになる目玉選手をどうするか?ってことでスカウト陣は喧々諤々なんですが、ブラピはもううんざりしていた。「なんだよ?うちは金持ち球団のための選手発掘・養成施設か?」
 そこでたまたま出会った職員のピーターが傾倒している理論に興味を持つ。
 これは球界人の経験から来る評価ではなく、客観的に選手を数値化。特に”出塁率”を重視して、「人からは低評価(つまり”安い”)が思ったより塁に出てる(つまり得点の可能性のある)選手」を発見すること。
 これだと”高い”人気選手を無理して買うより”安い”そこそこ使える選手で勝負できる!
 さっそくチーム再構成を図るブラピ。しかしまわりの風当たりは強く…


 という作品で、面白いのはよくある根性モノではなくどっちかというとID野球とか人をゲーム攻略の駒としかとらえない冷たい理論ととられがちな話なんですが、ここは主人公のブラピがうまいこと演じています。

 いや、そんなことよりブラピの娘役の子、よくある離婚していて娘とはたまに会えるって設定の娘が、楽器屋でギター弾き語りでブラピに恥ずかしそうに披露するオリジナル曲?が良すぎる!

 話的には一筋縄ではいかない話で語りたいことも多い作品。単なるハッピーエンドじゃないし。
 しかし!ここはぜひ娘の曲(ネットで調べたら「The show」という曲らしい)を聞くためにもオススメ。劇中の曲で惹かれたのは初めてかも、あ、あと「シン・シティ」のオープニング曲は好き。

ルネッサンス

2011年11月10日 | 日記
 2006年のアニメ映画。

 モノクロ処理によって特殊な映像を生み出す映画というのは「シン・シティ」の成功によっていくつかのフォロワーを生んでいます。ゲームでもWiiの「マッドワールド」とかあります。あと「シン・シティ」の原作・監督フランク・ミラー自身も「ザ・スピリット」で同じ手法を再度使っています。


 で、本作はフランス発のモノクロ・フィルム・ノワール・アニメ。
 アニメと言ってもモーション・キャプチャーによって実際の人間の映像をアニメ化した作品。
 内容は近未来のパリを舞台に刑事カラスがある誘拐事件を追ううち、巨大企業の陰謀に巻き込まれていくというような感じ。


 絵はすばらしい!
 さすがはバンドデシネの国からの刺客。
 ひとつひとつのカットが丁寧に描かれたイラストのような美しさ。うっとりするような映像美です。

 しかし、いくら観ても(今回2度目の鑑賞)内容が全然頭に入ってきません<emoji id="024">
 モノクロにしたせいで絵が単調になっているのか、話が単にありがちで毒にも薬にもならないようなもののせいか、まったく作品世界に入っていけないんですね~。劇場だったら寝ていたかもしれません。

 時々は見たくなる。しかし実際見ると面白くない…そんな映画。
 アート系という認識なのかあんまり話題にもならなかった(たぶん)し、近所のレンタル店にもあるかどうかすらわかりませんが、ぐっすり寝たい時にはオススメ!