プラチンブリの風 第30章 2011年洪水 By Harry H.
昨年10月にも、“洪水”と題して投稿しているが、今年は、50年ぶりの記録的大雨で、北部・中部を中心に、洪水による大きな被害が出ている。首都バンコクの北100KMに位置するアユタヤ県、その南にあるパツンタニ県にある7つの工業団地は、全て冠水してしまった。そこに働く労働者は、30万人を超え、日系企業は、400社を超える。
タイには、自動車関連産業が多く、TOYOTAのように工場は、冠水していないにも関わらず、被害を受けたところにある部品会社からの部品調達が出来ず、操業を中止しているところがある。SUPPLY CHAINの一部が欠損していることから、タイだけではなく、日本やアメリカの自動車生産にまで、影響は及んでいる。
北から南に流れるチャオプラヤ川(旧メナム川)の下流域に首都バンコクがあり、バンコク都の北部の8つの地区は既に浸水している。政府の必死の防水作戦で、中心部への浸水は、かろうじて免れている。
日本の川のように急峻ではなく、平坦な土地を流れる川は、山から海に流れ込むのに時間がかかる。チャオプラヤ川は、380KMの距離で、高低差が僅か20メートルしかない。
11月になり、乾季に入ったタイでは、これから大雨の可能性はないものの、川の水位は上がったままで、チャオプラヤ川の水が、海に流れ込み、被災地の水が引くまでには、まだまだ時間がかかる。アユタヤ県では、冠水した場所の水位が下がってきているそうだが、バンコク中心部の洪水の危険は、まだ残っている。
HARRYのいるプラチンブリ県は、バンコクの東150KMにあり、比較的被害は少なく、アパートのあるシーマハポート市は、高台にあり、近くに大きな川がないことから、洪水の危険はまったくない。それでも、北に30KMほど行った県庁所在地のあるプラチンブリ市では、町中のあちこちで水が溢れ、郊外の水田は冠水している。
HARRYの周りでも、洪水の影響は出てきている。
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ここからバンコクの大学院に通う留学生が居るが、大学が浸水していることから、休講状態
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HARRYが働いている会社は、TOYOTAの生産停止により、一部生産が停止している
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近くのスーパーでは、品不足のため、商品棚に空きスペースが増えている
乾季になって、空が抜けるような青空であるが、多くの国民の心は曇りがちである。(2011年11月3日記)