スイス ヴァリス アルプス 天空散歩記

2013年07月30日 | スポーツ・山歩き

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スイス ヴァリス アルプス 天空散歩記  By  山口 一史

   ブライトホルン(4,164m) アラリンホルン(4,027m)

        2013年7月19日~26日(8日間)

昨年年初の登山計画では海外はメキシコ最高峰オリサバ(5699m)を計画した。しかしツアーのメンバーが集まらず不催行、よってエクアドルのコトパクシ(5897m)に行先を変更した。今年も年度計画ではオリサバとしていたが再び振られてしまった。オリサバはよほど不人気らしい。第二希望の中国雲南省のハバ雪山も駄目。“仕方がないな、アルプス天空散歩にでも行くか”とて スイス ヴァリス アルプスの初心者向け4000m峰ブライトホルン(4164)とアラリンホルン(4027)に出かけることにした。

一行は国際山岳ガイドの熊田さん58、メンバーは42歳のOさん、52歳のSさんそして70歳の僕、親子ほどの年の差トリオの4人パーティである。

 

 

7月20日高度順応と時差ボケ解消ハイキング

ツェルマット(9:36)(登山電車)(10:10)ゴルナーグラート―(11:30)リッフェルベルグ(11:55)(13:30)サンネガパラダイス(14:40)=(全地下式ケーブルカー)=(14:45)ツェルマット

朝ゆっくりと食料買い込みなどした後、ツェルマット(1620)からアブト式登山電車(GORNERGRAT-BAHN)で一気にゴルナーグラート(3089m)まで上る。ここからはマッターホルンを正面に望み、左の谷ゴルナー氷河の向こうには3つもの小氷河を抱えたブライトホルンの岩壁が頭に真っ白の雪の帽子をかぶってそそり立ち、ゴルナー氷河を登り詰めたところにはこの山塊の最高峰モンテローザ(4634m)が大きく白くまぶしくそびえている。雄大な眺めである。電車を降りて山腹をトラバース気味に降りながら、フDscf5339baしている。僕もその仲間入りをして一枚。登山電車の途中駅リッフェルベルグで小休止ののち登山電車の線路沿いに下っているとき面白いことに気が付いた。アブト式電車の地上歯車が左右の歯のピッチを半ピッチずらして2列設置されているのだ。これは電車側の歯車が回転するときのスリップを他方の歯車で防止するためかななどと想像しながら通り過ぎた。

 

標高2300mほどのリッフェルボーデンからフィンデルバッハ谷の高巻にはいると斜面はお花畑になる。つつじの小株のようなピンク色のアルペンDscf5310baローズ、レンゲソウの花に似て濃紫色のタマシャジン、中央に黄色の花芯のある淡青色5弁のエリトリキウム・ナヌム、光沢のある黄色の花弁が卵型に巻いたキンポウゲ科のモニタヌス、一見サボテンを思わせる紅色のベンケイソウ科のセンペルビブム・モンタヌスなどなど、数えだしたらきりがないほどたくさんの花々。

2200mより下は針葉樹の疎林となるが唐松など松が多い、日本なら森林限界には這松が生えるがスイスには這松はないそうだ。

フィンデルバッハの谷を渡るころ上流にフィンデル氷河を見上げる。氷河末端が大きく後退し、そのあとの青みがかった灰色のザラ場の山腹にヒマラヤ襞のような細かい襞模様ができていた。地球温暖化の影響をまざまざと感じさせる光景だ。

サンネガパラダイスに到着。レストランのテラスでジョッキを掲げ、そしてマッターホルンを眺める。ここからのマッターホルンの眺めが最高だそうだ。登山電車を降りたゴルナーグラートからは三角形の矢尻の平面を見ているようにしか見えないが、ここからだとマッターホルンの背面のイタリア国境の峠から登る稜線も見えるのでボリューム感ある三角錐として見えるからだ。もう午後なので上部には雲が巻き、雲が動き完全な形では見えないがその山容は見飽きるということがない。ホロ酔い気分でザックを背に全地下式ケーブルカーでツェルマットへ下る。

下山後ツェルマットの街を散策。ホテル、レストラン、登山用具店、土産物店がランダムに並ぶメーンストリートの下側(川側)に長方形断面の角材を積み上げて造っDscf5321baた、納屋、穀倉、冬季の牛羊小屋、豚小屋及び家屋等16~17世紀のログハウス建物群が保存されていた。面白いことにライ麦など穀物用の建物は基礎石(束石)の上に広い平板石を置き、その上に角材を積み上げている、鼠返しなのだろう。屋根にも同様な平板石が並べられている。平板石はこの近くで産出するのだそうだ。

ガイドの熊田さんの話ではツェルマットの街はたった3人の地主のもので建物仕様なども厳しくこの3人が規制していて無機質なコンクリートの建物などは建てさせないとか。道理で街全体がダークチョコレート色のログハウス風造りの建物で統一され、どの建物の窓辺にも花が飾られ落ち着いた雰囲気を醸し出していると思った。

 

 

  (続く) 続編はこちら

 

 

 


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