『内訟録』 細川護煕総理大臣日記を読諒
初の非自民連立政権細川総理の平成5年8月9日から平成6年4月28日まで 263日の日記
全533ページの大部
「『内訟』とは 論語 『吾未だ能くその過ちを見て 内に自ら訟むる者を見ざるなり』による
孔子の言う『自訟』とは自己訴訟 つまり内訟ということで 自分の過ちを認め
自分で自分を責めることができるような人物は見たことがないと孔子が嘆息したところからきている
それができなければ 人様のことなどとやかく言えたものではないということだろう」と――
参考 <『子曰 巳矣乎 吾未見能見其過而内自訟者也』 論語集註 公冶長第二十七より>
総理を辞任 内閣を放り出したしたとき 「また祖父近衛文麿と同じやうに 殿様の気まぐれか」
と思つていたがそれは誤解であつた 事実は信念に基づいた出処進退であつたこと よく理解できた
日記は 漢文の素養を生かした文語体風の文章で論旨が明解で分かりやすい
いまこれだけの文が書ける政治家がいるか?
さすが戦国武将であり文化人であり教養人であつた細川藤孝(幽斎)の子孫
ただ「見事ッ」と感じ入るのみ
「記録を大事にする」というのが細川家の家訓とあり
また古人の言葉を大事にし それを折々の行動 感慨と併せ記し有り
始祖細川頼有に始まり論語 孟子からシェークスピア シャルル・ドゴール 西郷隆盛 小林秀雄と幅広い
以下 日付順に主なものを抜き書きして見る
「酣宴爛酔の余といえども一座の工夫なければやすむことなし」― 夢窓国師
「吾未だ能くその過ちを見て 内に自ら訟むる者を見ざるなり」― 論語
「私は行動で誤ることがあつても 歴史を見ることで誤ることはない」― シャルル・ドゴール
「運命の中に偶然はない 人間はある運命に出会う以前に自らがそれを作つているのだ」
― TW・ウイルソン(アメリカ合衆国第28代大統領)
「人の運のよしあしは 時代に合わせて行動できるか否かにかかつている」― マキャベリ
「一つの時代が終わつて
明確に一つの時代が始まつた
歴史のーページというよりも
一つの章が改まつた
一つの時代
一つの役割
一つの運命
歴史そのものを今強く感じている
身を縮めて天命に従うという
厳粛な気持ちです」
「人事を尽くして天命を俟たず 天命に安んじて人事を尽くすのみ」
― 細川護煕 (首班指名直後 記者団の質問に答えて)
「人を用うるの道はその長所をとりてその短所はかまわぬことなり
長所に短所はつきてならぬもの故 短所は知るに及ばず ただよく長所を用うれぱ天下に棄物なし」
― 荻生徂徠
「疑えばすなわち任ずるなかれ 任ずればすなわち疑うなかれ」― 司馬光
「イデオロギーなんてものはない あるのはその人の覚悟だけだ」― 小林秀雄
「天下の広居に居り 天下の正位に立ち 天下の大道を行ふ」― 孟子
「真に偉大だつた人々のことを私はいつも考える 生命の為に命を賭けて戦つた人々の名前を
心の底に情熱の炎を燃やしていた人々のことを考える
太陽から生まれた彼らは太陽に向かつてしぱらく旅し
その後に彼らの名誉を示す生き生きとした風を残した」― スティープン・スペンダー
「威信なくして権威なし 距離なくして威信なし」― シャルル・ドゴール
「民主主義は その形式や発達制度とは無関係に一つの取るに足りない技術的細目に健全さを左右される その細目とは選挙の手続きである」― オルテガ
「舌と口によつて 異民族の奴隷にされたときの苦しみを人々に教えてやるのは むろん
まちがつていない ただ 十分に注意しなければならないのは 人々に次のような結論を得させぬことである『してみると やつぱり俺たちのように自国民の奴隷でいたほうがましなわけだな』 」― 魯迅
「人を挙ぐるには須らく退を好む者を挙ぐべし」― 宋の名臣言行録
「権不十年」―
「棺を蓋いて事定まる」―
「何程制度力法を論ずるとも其人に非ざれば行はれ難し」― 西郷隆盛
「狂人走不狂人走」― 僧・無住 『沙石集』
「人生五十功なきを愧づ
花木春過ぎて夏すでになかばなり
満室の蒼蠅掃えども尽くし難し
去りて禅榻を尋ねて清風に臥せん」― 細川頼之 七言絶句
「こんど会うのは・・・・・・雷の鳴るときか 稲妻の光るときか 雨の降るときかに」― マクベスより
「できごとは もう結末がついたように見えるとき じつさいはやつと始まつたばかりのことがよくあるものだ」― ノヴァーリス
「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」― 細川ガラシャ(明智たま)
長くなつたが 当ブログにもつとも相応しい記述あり 以下に掲げる
「木村太郎氏の『国際通信』(東京新聞)は 昨年末のタイム誌(1月3日号)
『メン・オブ・ザ・イヤー』(複数となっているのが特徴)にアラファト ラビン
デクラール マンデラの4人が選ぱれた他に 準メンバーとしてエリツィン
ヒラリー・クリントン フジモリと並んで私が選ばれていることに触れ
私に関する『東京の新しいスタイルと実質』という見出しの記事が『(APEC首脳会議で)
日本の首相が長いマフラーをなびかせて登場すると
それは雑種の駄馬の群れの中に ≪サラブレッドが一頭≫ 紛れ込んだように見えた
このような優雅な振る舞いはかつてこうした場面では見られなかった・・・・・・』と述べていることを紹介」
初の非自民連立政権細川総理の平成5年8月9日から平成6年4月28日まで 263日の日記
全533ページの大部
「『内訟』とは 論語 『吾未だ能くその過ちを見て 内に自ら訟むる者を見ざるなり』による
孔子の言う『自訟』とは自己訴訟 つまり内訟ということで 自分の過ちを認め
自分で自分を責めることができるような人物は見たことがないと孔子が嘆息したところからきている
それができなければ 人様のことなどとやかく言えたものではないということだろう」と――
参考 <『子曰 巳矣乎 吾未見能見其過而内自訟者也』 論語集註 公冶長第二十七より>
総理を辞任 内閣を放り出したしたとき 「また祖父近衛文麿と同じやうに 殿様の気まぐれか」
と思つていたがそれは誤解であつた 事実は信念に基づいた出処進退であつたこと よく理解できた
日記は 漢文の素養を生かした文語体風の文章で論旨が明解で分かりやすい
いまこれだけの文が書ける政治家がいるか?
さすが戦国武将であり文化人であり教養人であつた細川藤孝(幽斎)の子孫
ただ「見事ッ」と感じ入るのみ
「記録を大事にする」というのが細川家の家訓とあり
また古人の言葉を大事にし それを折々の行動 感慨と併せ記し有り
始祖細川頼有に始まり論語 孟子からシェークスピア シャルル・ドゴール 西郷隆盛 小林秀雄と幅広い
以下 日付順に主なものを抜き書きして見る
「酣宴爛酔の余といえども一座の工夫なければやすむことなし」― 夢窓国師
「吾未だ能くその過ちを見て 内に自ら訟むる者を見ざるなり」― 論語
「私は行動で誤ることがあつても 歴史を見ることで誤ることはない」― シャルル・ドゴール
「運命の中に偶然はない 人間はある運命に出会う以前に自らがそれを作つているのだ」
― TW・ウイルソン(アメリカ合衆国第28代大統領)
「人の運のよしあしは 時代に合わせて行動できるか否かにかかつている」― マキャベリ
「一つの時代が終わつて
明確に一つの時代が始まつた
歴史のーページというよりも
一つの章が改まつた
一つの時代
一つの役割
一つの運命
歴史そのものを今強く感じている
身を縮めて天命に従うという
厳粛な気持ちです」
「人事を尽くして天命を俟たず 天命に安んじて人事を尽くすのみ」
― 細川護煕 (首班指名直後 記者団の質問に答えて)
「人を用うるの道はその長所をとりてその短所はかまわぬことなり
長所に短所はつきてならぬもの故 短所は知るに及ばず ただよく長所を用うれぱ天下に棄物なし」
― 荻生徂徠
「疑えばすなわち任ずるなかれ 任ずればすなわち疑うなかれ」― 司馬光
「イデオロギーなんてものはない あるのはその人の覚悟だけだ」― 小林秀雄
「天下の広居に居り 天下の正位に立ち 天下の大道を行ふ」― 孟子
「真に偉大だつた人々のことを私はいつも考える 生命の為に命を賭けて戦つた人々の名前を
心の底に情熱の炎を燃やしていた人々のことを考える
太陽から生まれた彼らは太陽に向かつてしぱらく旅し
その後に彼らの名誉を示す生き生きとした風を残した」― スティープン・スペンダー
「威信なくして権威なし 距離なくして威信なし」― シャルル・ドゴール
「民主主義は その形式や発達制度とは無関係に一つの取るに足りない技術的細目に健全さを左右される その細目とは選挙の手続きである」― オルテガ
「舌と口によつて 異民族の奴隷にされたときの苦しみを人々に教えてやるのは むろん
まちがつていない ただ 十分に注意しなければならないのは 人々に次のような結論を得させぬことである『してみると やつぱり俺たちのように自国民の奴隷でいたほうがましなわけだな』 」― 魯迅
「人を挙ぐるには須らく退を好む者を挙ぐべし」― 宋の名臣言行録
「権不十年」―
「棺を蓋いて事定まる」―
「何程制度力法を論ずるとも其人に非ざれば行はれ難し」― 西郷隆盛
「狂人走不狂人走」― 僧・無住 『沙石集』
「人生五十功なきを愧づ
花木春過ぎて夏すでになかばなり
満室の蒼蠅掃えども尽くし難し
去りて禅榻を尋ねて清風に臥せん」― 細川頼之 七言絶句
「こんど会うのは・・・・・・雷の鳴るときか 稲妻の光るときか 雨の降るときかに」― マクベスより
「できごとは もう結末がついたように見えるとき じつさいはやつと始まつたばかりのことがよくあるものだ」― ノヴァーリス
「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」― 細川ガラシャ(明智たま)
長くなつたが 当ブログにもつとも相応しい記述あり 以下に掲げる
「木村太郎氏の『国際通信』(東京新聞)は 昨年末のタイム誌(1月3日号)
『メン・オブ・ザ・イヤー』(複数となっているのが特徴)にアラファト ラビン
デクラール マンデラの4人が選ぱれた他に 準メンバーとしてエリツィン
ヒラリー・クリントン フジモリと並んで私が選ばれていることに触れ
私に関する『東京の新しいスタイルと実質』という見出しの記事が『(APEC首脳会議で)
日本の首相が長いマフラーをなびかせて登場すると
それは雑種の駄馬の群れの中に ≪サラブレッドが一頭≫ 紛れ込んだように見えた
このような優雅な振る舞いはかつてこうした場面では見られなかった・・・・・・』と述べていることを紹介」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます