HORSE SENSE を 往く ≫≫

 この道は いつかきたみち

  このみちを また駈ける

   このみちは 心は遠い ・ ・ ・ ・ に

名称 「盛土(もりど)」 所以

2016年10月26日 | Horse
「盛り土(もりど)」ではなく 「盛土(もりど)」と謂う(送り仮名は付けない)
これは大手ゼネコンの言う「業界用語」でもなく 金田一さんの言う「一般用語を使わず
仲間内だけに通じる特別な言い方をして仲間意識を高めたり 権威やヒエラルキーを
示したりすることがあるんですが これもその一種ではないでしようか」でもない
正しくは「土木技術用語」 もつと突きつめれば「公共土木工事発注用語」
「仲間意識を高めたり 権威やヒエラルキーを示したり」とは全き関係がない

土木では土のことを「つち」ではなく「ど」と云い これは漢文の「土工(どこう)」
あるいは「土木(どぼく)から来ている 故に土の字が付くものほとんどは「ど」と言う
例えば 山や地盤を切るのは切土(きりど) 外から土を持ってくるのは客土(きやくど)
土を捨てるのは捨土(すてど) 崩れて落ちたものは崩落土(ほうらくど)
積もつた土は堆積土(たいせきど) 土の性質を表す粘性土(ねんせいど)
砂質土(さしつど)・・・等々きりがない 唯一の例外は赤土(あかつち)くらい

公共工事発注図書(一式)には契約書 請負契約約款 工事費内訳書 仕様書
特記仕様書 設計図があるが このうち工事費内訳書には工事費用の内訳明細が
工事の種別ごとに工事項目 数量 単価 価格を一覧表記する
盛土工事は「盛土工」 切土工事は「切土工」となる ここには話し言葉(口語)の
「盛り土」「切り土」など送り仮名は付けない

昭和20年代から30年代の初めまで大量に文書を作成するPCやコピー機はなく
すべて手書きであつた(機器といえるものは和文タイプライターくらい)
特に公文書である工事費内訳書はカーボン紙3枚複写(正 副 控)で
大規模工事になると10数枚はあつた(紙撚り綴じ)
途中で1字1句でも間違えればまた最初から書き直しとなり その清書には多くの
労力と緊張を強いられた そんなこともあり工事項目は書き間違いをなるべく少なく
簡潔な名称にと 送り仮名も少なくする方向に進み定着した
これが建設業界にも汎まつたのであろう
以上「盛土(もりど)」名称の所以である