アマミクとシネリクの語源を解く
よく歴史の本や解説書にアマミク、シネリクが我々の始祖となったという神話が語られるが、アマミクとかシネリクという名前の意味を解明した者はいない。
四百年前の袋中上人の「琉球神道記」にも梵字でアマミキョ、シネリキョが琉球に下りてきた神話が記されている。梵字をここで紹介することはできないが、袋中上人は中国からの帰途に琉球に立ち寄り、ほんの数年滞在しただけだが琉球の神話を記録したものが「琉球神道記」だ。琉球でも梵字が使われていたことが判る。実際、戦前はかなりの梵字があちらこちらに残されていたが、今では数えるほどしかない。
それを解読できる者は一人もいないのが実情だ。四、五百年前の僧侶たちは梵字をスラスラ読んだり、書いたりしたのだろうが、今ではほんの数えるほどの梵字を書ける僧侶がいるだけだ。幸いにも、沖縄県立図書館には梵字辞典があり、それを徹底的に学べば梵字を解読できるだろう。
さて、今日は梵字の話ではなく、アマミキョ、シネリキョが梵語すなわち仏教語であることを君に知らせようと思う。
アマミキョとはサンスクリットの「アーマ ムキャ」(āma mukhya)が語源でāmaは”正に”、mukhyaは”指導者”のことで、漢訳では”正尊”のことだ。つまり「アーマ ムキャ」は”正に聖なる指導者”のことだ。
シネリキョとは「シューニャ ローカ」(śūnya loka)で空界すなわち”空(くう)の世界”を意味する。
「正尊」と「空界」という名の男女が我々の祖先だったことになる。
こうして「アマミク」「シネリク」と意味不明の始祖の名が明らかになったわけだが、これはほんの始まりにすぎない。琉球列島の地名、人名、年中行事の全てが梵語で解明されると断言してよい。
※パーランクーの語源について
先日、パーランクーの語源は中国語だと述べたが漢字で「抜浪鼓」と書く。現代の中国語では「ボーラング」と発音している。日本語では「デンデン太鼓」のことだ。逆に「デンデン太鼓」を日中辞典で引くと「抜浪鼓」が出てくる。発想を逆転することによって一つの謎が解明されることがよくある。