江利チエミファンのひとりごと

江利チエミという素晴らしい歌手がいた...ということ。
ただただそれを伝えたい...という趣旨のページです。

4)江利チエミのテネシーワルツ

2005年05月10日 | 江利チエミ(初期記事・本編)

これは様々な 異種混合 から生まれたものだったようです。

まず、このオリジナル...は、P・W・キング作のカウントリー・アンド・ウエスタンです。
チエミデビュー盤は 荒削り で 男っぽい といった印象を受けます。
前章でも触れましたが「な---んだ江利チエミって女なんだ」...といわれたエピソードもあります。
この男性が歌う失恋のCWが、お手本の1つに違いない...と思います。

テスト盤のさわりがTVでオンエアーされました。
When an old friend,I happened to see.
I introduced him to my loved one,and while they were... と歌います。
これはオリジナル盤でも、旧友=him に loved one=恋人 を紹介して...揚句に奪われる という男性用歌詞のままです。
--->しかし本番では him --->her に歌い替えています。
これはもうひとつお手本があったからに違いない!
パティ・ペイジ?? いえいえ...彼女のものも聴いたでしょうが、チエミさんは ジョー・スタッフォードのファンであったし、日本では本命「ワルツの女王/パティ・ペイジ」のものより先に、ジョー盤が発売されていたのです。
また、ほとんどのテネシーワルツが...
I was dancin' with my darlin'... and while they were dancin'... であるのです。
これはオリジナルのP・W・キング盤もそうです。
しかし、ジョー盤の方は ワルツを踊る ではなく、ワルツをワルツする...
I was waltzin' with my darlin' で  and while they were waltzin'...
このイギリス英語(?)的な歌詞なのです。
確実に手本としたのは、オリジナル盤とジョー盤だったと思います。

このレコードはチエミさんを可愛がってくれたケネス・ボイドさんというGIさんがプレゼントしたものだという記述までは書かれているのですが、誰の??というのはどの文献・文章にも残っていません。
しかし...わたしは絶対にこの2枚!って思っています。

もうひとつチエミデビュー盤は歌詞に謎があります。
それは後年のレコーディングには歌いかえられている部分。
Now I know just how much,I have lost...これは現在入手できるP.W.キング盤/パティ盤/ジョー盤もそうです。この部分を初回テイクのみ...
Only you know how much I have lost... と歌っているのです。
しかし...この歌詞は、カントリー&ウエスタンの歌手がこのパターンで歌う場合が多い...
昔、外国のものはなんでもかんでもJAZZだったころ、チエミさんとの競演も多かった黒田美治さんも昭和54年7月20日...これが最後のチエミさんとの共演だったと思われる「第34回ジャズフェスティバル(日比谷公会堂)」でもオンリーユーで歌っています。
 いま、しみじみ私は失ったのもものの大きさを噛みしめている...
      と
 ボクがどんなに大きなものを失ったか...それを本当に知っているのは君...
下手な訳詩ですが、どうもオンリーユーの方が別れたあとウジウジしがちな男らしい?歌詞で、
逆に上の歌詞は、過去は過去!...と心底ではけっこう割り切ってる女の人らしい歌詞...と感じます。

おそらく最初のP・W・キング盤もオンリーユーの歌詞だったのではないかな??と勝手にわたしは思っています。
(2つのバージョンが存在します。)

また歌詞ですが、チエミさんのキング入社をゴリ押しした初代/音羽たかし(訳詩のペンンネーム、歴代チエミさんの担当デレクターが襲名していきます)こと、和田寿三さんが「チャンポンで行こう!」というアイデアで英語/日本語チャンポンでのレコーディングとなりますが、最初に出来た歌詞がチエミさんにはどうしても納得がいかない...ようやく受かったキングの大デレクターに14歳の少女ははっきりと涙ながらに本番直前に訴えます!
「あの詩じゃ歌えない!あの詩はワルツにのらないの...」と...

そして本番直前、和田デレクター苦肉の即興であの歌詞が生まれます。

去りにし夢 あのテネシーワルツ なつかし愛の歌 面影しのんで今宵もうとう 麗しテネシーワルツ

思い出懐かし あのテネシーワルツ 今宵も流れ来る 別れたあのこよ今は何処 呼べど帰らない

...このリフレインの思い出~のフレーズは後年のレコーディングからは割愛されます。
それは、ジョー盤の影響とも思われますが、訳詩の部分の あのこ(あの娘)と、himからherへと歌いなおしている英語歌詞との「整合性のなさ」に後から気がついたのでは??というようにも思えます。

こんないっぱいいっぱいのエピソードがつまったデビュー盤は、大ヒットを飛ばします。
一躍江利チエミはスターダムを駆け上っていくのです。

注釈)P・W・キング=ピー・ウィー・キング です。

チエミ・デビュー盤
 https://www.youtube.com/watch?v=qEx8p8OIPmc

チエミ2度目のテイク
 https://www.youtube.com/watch?v=Ref05eIzNpI

チエミ3度目テイク・10周年記念盤
 https://www.youtube.com/watch?v=lhgVJLekpNY

ジョー・スタッフォード
 https://www.youtube.com/watch?v=4GUL4Rjv5KY

Pee Wee King
 https://www.youtube.com/watch?v=srdSXqXTamo


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