ばちかぶり季記 人生いきあたりばったり

なんとかなるもんよ。・・・・・・たぶんね。

映画「トゥモロー・ワールド」

2007年03月28日 | 映画
長いこと映画感想を書いてないが、依然として毎月8作品ずつ見ている。
ずいぶん溜め込んじゃったなぁ・・・・そのうち良かったのだけでも書きます。

今日は最新作を。

3月21日発売だった映画「トゥモロー・ワールド」のDVD。
発売日翌日にレンタルGETしておきながら、風邪で根性がなくて6日も放置してた。(延滞金はかからない。)
前知識なしだったので、普通のよくある近未来サスペンスアクションかと思ってた。
ところが、どっこい。なかなかの傑作だった。娯楽アクションではない。

これはね、例によってつまり宣伝が悪い。邦題も悪い(原題は「CHILDREN OF MEN(人類の子供達)」)。
「面倒だから、普通の映画のふりして見せちゃえ。」みたいな姿勢ですな。「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のアルフォンソ・キュアロン監督!という言いかたも誤解の元かも。
単純な娯楽映画が見たい人、想像力のない人は見てはいけない。


2008年(来年だ!)にインフルエンザが世界的規模で流行。その後、妊婦の原因不明の流産が続き、ついに世界中で子供がまったく生まれなくなって18年。希望を失った人類は荒れ、暴動により世界は荒廃した。かろうじて英国だけが強力な戒厳令と徹底した移民排斥で治安を保っている2027年。という時代設定。現代の英国の街がそのまま、パレスチナやイラクのように荒れているリアルさ。20年先なんて、ついすぐそこ、だ。

不妊の原因や“ヒューマン・プロジェクト”なる組織の実態はまったく説明がないが、私はそれでかまわないと思う。
原因がなんであれ子供が生まれないという事態は、あと数十年のうちに年々人口が減り人類が滅亡するということだ。「産めよ、殖えよ、地に満てよ。」も「祖霊供養」もチャラだ。若年労働人口は消滅し、社会は崩壊するだろう。少子化による年金不安騒動どころではない。人心が荒れて当然。
そんな中で唯一、対策を研究しているらしき“ヒューマン・プロジェクト”は希望の象徴。正体不明でもそこにたったひとつ希望があるらしい、という設定が重要なのだ。

ストーリーは、文化大臣を従兄にもつ男が元妻(反政府組織のリーダー格)の依頼で、不法移民の少女をある地点まで無事に送り届けようとする。その少女を政治的に利用しようとする勢力や警察、国軍、暴徒の手から逃れ続ける逃亡殉教劇。少女は妊娠していたのだ。

冒頭での爆弾テロや、暴徒の襲撃、終盤の市街戦などの衝撃シーンも多い。市街戦では8分もの長廻しや、カメラレンズに付着した血しぶきなどによる臨場感・緊迫感がすごい。実は長回しに見えるCG処理であるらしい(レンズの血もCG)。おそらく各所にCGが多用されているのだろう。それがコケオドシではなく、壮絶にリアルに感じる。

少子化・テロ・移民排斥問題etc. 現代社会の歪がそのままここにある。だからこれはSFでもない。
出演はクライヴ・オーウェン 、ジュリアン・ムーア 、マイケル・ケインなど。

主人公が犬や猫になつかれるのは何の暗喩か? “ヒューマン・プロジェクト”の船は箱舟か?また、反政府組織の名“フィッシュ”とは、やはりキリストの代名詞か? 聞いてみたいことは多い。“ピエタ像”が破壊された理由はわかるけどね。18年ぶりの赤ん坊に差し出される人々の手は、つい「ベイビー・オブ・マコン」を連想してしまったが、同じ英国映画、なにか下地があるのだろうか。

キングクリムゾンなど70年代の音楽が多用される。空に浮かぶピンクの豚(笑)。
原作の小説があるが、かなり話は違うらしい。邦訳が良くないとか。読んでみたいような・・・

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