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土の上にも三年

農への道

そろそろ風評被害を駆逐しようか

2012-02-19 00:18:18 | どうでも日記(雑記系)
先週、今週と、放射性物質の影響を学んできました。いやー興味深い内容だった。有意義な講演だった。


俺が事故直後、野菜食べても安全です、って書いた事実は、何度も書いているが事実だ。そこで指摘された点は、まずは弱者の口に入らないような制度・仕組みを作ってから、ようやく強者が「俺は食べるよ」というものにするべきだ、というものだった。

4月から新基準になるかどうかはまだ分からないものの、もし新基準になったとしたら、ある程度、弱者の体には今より負担となりにくい状況となるだろう。

経済優先型の現行システムでは、俺と同じように事故直後「安全です」と言う御用な方々が多かった。その人達が新基準に対してある程度前向きなのには理由があるのだと思っている。想定していた汚染状況の酷さよりも、回避策の方に光が見えてきたのだ。

また内部被曝も想定していた汚染より、比較的ほっとできる状況だということもわかってきた。今心配されるのは内部被曝もさることながら、それよりも、累積線量が1年の限度を上回っている被災地の子供たちの、外部被曝だと個人的には思う。

結果論に過ぎないが、野菜を食べることと、福島など被曝の大きな地域の解体をセットで考える方向は間違いではなかった。

福島の一部、林の下草などでは、いまなお100万ベクレル/kgという恐ろしい数値が検出されているそうだ。普通に道路から歩いて入れる林でだ。

そこから受けてしまう外部からの線量のほうが、甘いながらも流通管理されていた野菜より、遥かに危険だと言える。レントゲンの回数で語るべきじゃないと当初言われていたが、今はレントゲンの回数で語って良い時期になったのだ。


しかし先週・今週の講演会を受けて、まだまだ未解明な事象も多いことも分かった。

そうした意味合いからも、慎重に言葉を選ばなければならないと思う。しかし、日本はチェルノブイリ化はしないだろうと個人的には思っている。ガンや白血病は増えるかもしれない。しかしチェルノブイリのような状況には、おそらくならない。

一番大きな理由は、遅まきながらとは言え、事故から1年で世界でも稀なほど厳しい新基準へと移行出来そうだからだ。前述したとおり、汚染が絶望的な場所は限定されていて、尚且つ放射性セシウムの土壌固着が非常に強固だということが分かったということだ。野菜に移行しにくいことが分かったから基準を厳しくしても大丈夫だと判断されつつあるのだ。


そしてこれも大きな理由であるが、二番目に、緩々の基準であったにしても、食の多様化がもたらした日本の台所事情が功を奏していて、累積内部被曝は思いの外小さく済んでいる公算が見えてきたからだ。食料自給率の低さに今回は感謝だ。

もちろん全てを調べたわけじゃないので、内部被曝の実態がより詳細な不幸となって解明されてくるのはまだまだ数十年先の話だ。ただ確率的に発見されるはずの重度の内部被曝者が、チェルノブイリのようには見られないのも事実だ。

また日本人の食生活で、欧米人よりは菜食が多く、魚介も良く食べる。野菜にはカリウムが多く含まれており、魚介にもヨウ素やカリウムは多く含まれている。日本人の食生活は被曝に強いと言えよう。


よく語り草とされるが、1960年代の核実験や1985年のチェルノブイリ原発事故で放出されたセシウムやプルトニウムは、未だに地球上を覆い尽くしている。日本の多くのキノコの調査をしたところ、セシウム134が検出されないキノコに、セシウム137が検出されている。

セシウム134の半減期が2年であるので、仮にセシウム137が福島原発由来だとするならセシウム134も検出されるはずなのだ。つまり、日本人のほとんどは、いや、世界中の誰もが、実は相当量の内部被曝をそうとは知らずに被ってきた。

逆にだから日本人のガンが増えているんだ、という意見もよく目にするが、世界中に散らばった放射性物質が日本人だけのガンを選択的に増やすとは到底思えない。つまり日本人のガンが増えているのは、一因には放射性物質の影響も考えられるが、別の原因もあるということだ。

例えば窒素肥料過多による硝酸の多い野菜を、色艶が緑々していたり濃い味がするからと大量に食べている人は多い。それプラス肉を摂取すればニトロソアミンという発がん性物質に変化し、ガンが有意に増えるとされている。間違った知識と間違った知識が重なってガンは増えているのだろう。これからも増えるだろう。

ガンを全て放射性物質のせいにすることはできない。もちろん放射性物質が原因である可能性もゼロにしてはならないが。


お抱えだとか御用だとか、くだらないカテゴライズが流行っているが、そのカテゴリーにデフォルメする危険性は、俺もやっちまっているけど(笑)正しい知見の体得を阻害している。お抱えだろうと御用だろうと科学的手法を正しく行える人は行えるし、市民の立場に立っている市民団体であろうと、科学的手法を正しく行えない人は行えない。

市民の望んだものを主張していれば正しくて、そうじゃない主張は全てお抱えだ御用だと言うのはおかしいと思う。そういう見方しか出来ない人がTwitterやFacebookで徒党を組むとなると、恐ろしいものだと感じる。


それはさて置き、管理されている食材に関しては東北だろうと関東だろうと、まぁそれなりに食べても問題ない状況になりつつある。

ってことは、ようやく強者が風評被害を駆逐するために、「俺は食うよ」って言うべき時が来たのだ。さぁ、当時弱者を守るために、そうした仕組みを作るのが先決で、それがなされれば食べるって言ってた人がいるかどうか分からないけど、そろそろ風評被害という表現が正鵠となってきた。

しかしもはや放射性物質がゼロであっても選択しないという強欲なオトナが増えまくった。少しでも危険なものを自らは被りたくない、という意識は理解出来ないわけじゃない。しかし大局観を持たなければならない。


危険キャンペーンは功を奏した。新基準はそうした行動力溢れる人たちのお陰で出来たのだろう。そして新基準は新基準交付前から形骸化し、結局基準を先に作ろうが、先に安全だと思って食べようといおうが、どの道東北や関東の食材は売れないわけだ。

ちょっとトマトがダイエットにどうだとか、R1のヨーグルトが何だとか言うと、あっという間に売り切れる。野菜は安全だと言えばあっという間に干される。脱原発だと言えばあっという間に全停止まであと3基になる。みんなで徒党を組めば政権も倒せるし、これからはどんどん徒党を組んで自分と違う側の人間を駆逐していく。


放射性物質の危険性を子孫の遺伝子や奇形に結びつけるなら、今食べているもの全ての中身を精査していくべきだ。生活に溢れる怪しげな物質に目をこらすべきだ。それらをどうしたら忌避していくか考えるべきだ。その上で俺は野菜を安全だと、今も昔も言っている。その上で、種を蒔こうとしている。農以外に今後の世界を正転させる方法は無いと思っている。


余談になってしまったけど、子供に食べさせる野菜は若い部分を選択してくださいませ。例えば関東のキャベツを購入したとして、大人は外側、子供は芯側を食べるようにすれば、同じ食材でもセシウムの溜まっている場所とそうでない場所が存在していることが判明してきたので、より安全性を高めることが出来るはず。

また、極力市場の大きな流通ルートを通ってきたものを選択すると良い。きちんと計測しなければコケた時の被害額が大きい流通ルートほど、安心できると言える。

いまはどちらかと言うと福島県の野菜の方が、無検査の西日本の野菜より安心出来るかもしれない。

自給自足している人は移行係数をしっかりと見つめるといい。それよりも大きな値が出てしまうことは多いものの、その場合も原因がしっかりとあるはずだ。施肥で硫安を増やすとセシウムの土壌固着が解除されてしまう、とか、成長点にセシウムが触れないようにする、とか、水耕栽培の水は特に気をつける、とか、ゼオライトや稲わらをセシウム吸着剤で使う、とか。

今日の東大講演で面白かった話は、有機物に付着したセシウムが水に交じるとイオン化する、という仮説だ。土壌をいくら水で溶いてもセシウムは強固に固着しているが、有機物に付着したセシウムは水に溶けると容易にセシウムを吐き出す、というのだ。これはすごく重要な話なので、農業やっている人は特にこの辺を意識するといいだろう。

とにかく、セシウムを何かに固着させる手段が、自給自足における最大の焦点になる。これだけは間違いない。セシウムが固着さえしてしまえば、そこに何を植えてもほとんどセシウムを吸収しないと思われる。これからますますそうした事実が確認されてくるだろう。

ただ、先に書いたように、硫安の使用量でイオン化が促される場合も考えられるので、指針の1つとして、包括的な視点を忘れないようにしたい。


食べる側は、まずは管理されている食材を食べること。管理されていない食材は危険性が高い。そして、どちらの場合であっても、野菜>肉≧魚で選択すること。そして若い部分を選ぶ。魚であれば小さい魚、回遊する魚、脂身の少ない魚、寿命の短い魚、などなど。

きちんとした知識と、選択さえ間違えなければ福島近海の魚でも食べられるものもある。

魚で面白かったのは、身を全て機械でほぐして、水で三回洗うと、かなりのセシウムが除去されるというものだ。前述したように、土壌は水だけでは落とせないが有機物に取り込まれたセシウムは水で落とせるのだ。

もし釣りを好きな人がいたとして、検査なしで食べたいというなら、すり身にして水洗いして練り物にするといいだろう。

福島の農畜産の課題は山積しているが、俺は、ようやく風評被害を認められそうだ。今後世間で使われる風評被害は、本当の意味での風評被害だと言える。子供を授かることのない大人は、普通に売られている野菜なら余裕で食べてください。肉も概ね大丈夫。魚はなるべく選択する。

どうしても検査なしで野菜・肉・魚を食べたいなら、知識と覚悟と選択を正しく使いましょう。間違っても選択しないで食べることはないようにしましょう。恐ろしいほど被曝した肉・魚が、自然界にはうようよしています。


あと、被災地で野生化した妊娠している牛を調べたところ、羊水と胎盤に著しくセシウムが溜まっていたらしい。これがどういうことを意味するのかはまだ分からない。ちなみに仔牛の汚染度合いは母体のそれとほとんど同じだったようだ。1検体だけの事例なので参考にしかならないが。

野生化した生き物の場合、牛よりも豚やイノシシの汚染が強い。食性が大きく関わっているようだ。豚もイノシシも土の中のミミズを土ごと食べていく。

家畜に与えたエサは畜糞で濃縮される。有機農法を行う場合は、畜糞をセシウム固着させる仕組みが必要だと思われる。具体的には、畜糞に粘土質の泥(ゼオライトなどでもいいと思う)を混ぜ、水で攪拌してから乾燥させれば、かなりのセシウムが粘土質に固着可能なのではないかと。

固着さえしてしまえば畑に混ぜても概ね大丈夫なはずだ。


水稲の場合。

汚染有機物の流入に目を光らせる必要がありそうだ。山からの用水であるなら、落ち葉や生物などの有機物が細かく浮遊している可能性は大きい。そうした用水をそのまま使用してしまうと、有機物からイオン化したセシウムが出てきてしまい、かつ、水耕栽培に近い水稲では相当のセシウムを吸収してしまう。

対策は一様化出来ないと思う。場所場所によって、有機物の動きをきちんと把握することが大事なようだ。


メチャクチャに書き並べた。読みにくいけどご勘弁。これらは近々東大のHPできちんと発表されるはずなので、ここに書いてあることは鵜呑みにしないでください。

感想として、自然農はやっぱり人類を救えるかもしれない、という飛躍した考えに至った。自然農の仕組みはセシウムを回避出来る可能性に満ちているような気がする。

まぁまだ勉強不足なので、もっと調べたりしていこうと思った、ってのが最大の感想だ。

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