テーマは、水俣の「今」と「これから」 その④
2011年9月9日の巻
2011年9月9日の巻
水俣市の環境政策を案内してくれた爽やかなお嬢さん
9日は、朝から水俣市役所にお邪魔いたしました。
PPスライドを使いながら水俣市の環境についての施策を語ってくれたのは、環境モデル都市推進課の池崎翔子さん。なんとも爽やかなお嬢さん(失礼な言い方だったらごめんなさい・・・)でした。PPのスライドを用意して、水俣市の取り組みを説明してくださいました。
隠れているけど、スクリーンのいちばん近くにいる方が池崎さん。スライド操作して説明してくれました。
あとで聞けば、もともと学生のときに水俣のフィールドワークにたびたび通ってきて、そのまま水俣市の職員になったとか。現在は袋地区にひとり住まいだそうです。
いただいた名刺も、水俣市出身の江口寿史さんのイラストのある手書きのもので、こんな名刺を用意されるこだわりのお嬢さんが、水俣に引き寄せられて、市役所で環境についての施策を実践されているのです。
ISOは権威あるものですが、その認定と維持については、結構な費用を要するものです。たとえば、小さな企業でもISOを取得しようとすれば、100万円からの費用がかかります。
水俣市は、権威あるところからお墨付きをもらうことより、主体的な市民による監視、あるいは参加があればいいのではないか、と、独自のISOへのアプローチを始めたといいます。2003年、環境ISO自己宣言、と記されていました。
お墨付きをもらうための費用を、市民に回すことにしたのです。自立し、自律していくためには、意識の堅固さが必要と思えば、それだけでも、すごい。
ゴミを出さないくらしを選び取れるのか
下の年表は、水俣市の環境モデル都市年表です。先の環境ISO自己宣言もさることながら、この年表の見出しは、「セロ・ウェイストへの道」であります。
2009年には、ゼロ・ウェイストのまちづくり水俣宣言が行われているのです。徳島県勝浦郡上勝町では、2003年秋に日本初のごみゼロ宣言を行いましたが、上勝町の宣言を聞いた時も、どこか、「実現できるのぉ?」と半信半疑でありました。ゴミを出さないくらしなんて、できるのぉ、と。あたかも、「脱原発宣言」と似ているかのように。
そのゼロ・ウェイスト宣言を水俣市も行っているのです。この図では、うまく再現できなかったのですが、この年表は木のかたちになっています。下の枝葉を支える幹の部分には、「1956 水俣病公式確認」と書き込まれています。繁る枝葉の中央には「2006~2008 産廃阻止! 水俣市民会議」と書かれてありました。水源地に九州最大の産廃処分場計画が起き、それを断念に持ち込んだ歴史、です。
かくて、2011年度、水俣市の回収する家庭ごみは、①生きビン、②~⑥雑びん(色別に、透明、水色、茶色、緑色、黒色の5分別)、⑦空き缶(スチール)、⑧空き缶(アルミ缶)、⑨なべ・釜類、⑩布類(衣類)、⑪電気コード類、⑫有害物(乾電池類)、⑬有害物(蛍光管・電球類)、⑭食用油、⑮小型家電製品17品目、⑯破砕・埋立ゴミ(化粧品ビン、ガラス製コップ、プラスチック製おもちゃ、等)、⑰粗大ごみ(タンス、こたつ、机、などなど)、⑱ペットボトル、⑲新聞・チラシ、⑳段ボール、㉑雑誌・その他紙類、㉒容器包装プラ、㉓生ごみ、㉔燃やすゴミ、と、ついに24分別となったのです。
ゼロ・ウェイストは、脱原発と同じ、意志の、あるいは生き方の流儀に関わることなのでしょう。
たとえば、水俣市の市民への呼びかけ。
さまざまなひとが、さまざまなスタンスで円卓を囲むということ
そして、もうひとつ、耳に残った言葉は「円卓会議」。水俣市には、市民協働の実現の仕掛けとして5つの円卓会議が設けられているというのです。
円卓会議とは耳馴れない言葉です。しかし、どちらが上でもない、互いに対立でもない、立場も意見も違うひとたちが話し合うテーブルは、確かに「円卓」がふさわしい。
「ゼロ・ウェイスト円卓会議」「食と農と暮らしの円卓会議」「自転車・公共交通円卓会議」「ISOまちづくり円卓会議」「環境学習円卓会議」という5つの円卓会議のメンバーをのぞてみると、そこには行政からチッソ、自治会、婦人会、水俣病資料館館長もいれば、相思社メンバーもという多彩さです。すごい。
もちろん、池崎さんはすべての円卓会議のメンバーであり、前日お会いした小里さんの名前も「ゼロ:ウェイスト円卓会議」にみつけました。もちろん、今回の研修をコーディネイトしてくれた藤本さんの名前も。
さて、私たちの街に「円卓」はあるのだろうか。
水俣市の自転車を拝借
池崎さんからお話をうかがって、市役所をあとにするまえ、私たちは、市役所の前に並んでいた「市民自転車共同利用システム」の電動自転車に試乗させてもらいました。
電動自転車に乗るのは初体験。カードを入れると自転車のカギとバッテリー本体が撮り出せて、市役所駐車場を走らせてもらいました。
市役所前の共同利用システム。自転車には子どもイス付きも。青色のボックスからカギを取り出す。
駐車場を電動自転車で疾走。これなら坂道も走れそうです。左端に立つのが池崎さん。