ロードバイクde通勤日誌

我慢しないで自転車通勤。

出口のない海

2006-08-10 | Weblog
「出口のない海」横山 秀夫著
第2次世界大戦、神風特攻隊なる決死の空中作戦は、良く耳にする事もあったが、この特攻作戦の海中版が存在した。
「回天」の名を持つ1人乗り・魚雷型潜水艇で、潜水母艦から発射し、そして突込み、自爆する事で敵艦を沈没させようという作戦。

神風特攻隊が空から敵艦目掛けて突っ込むのに対し、回天はフロントガラスがあるわけでなく、潜望鏡により標的の位置関係、距離・角度を確認したら、あとは標的に向けて目を覆われた状態で突っ込むのみ。あと30秒後。10秒後。5秒。 ぶつかった時が作戦成功であり、自身の最期。

壮絶。

勿論、この作戦を賞賛するわけではないし、戦争事態、人類行為で最も愚かな事である。

この作戦に志願した主人公の作戦実行までの心情の変化。
何の為に死ぬのか? 国家の為? 家族の為? 恋人の為?
この特攻作戦により果たして日本はこの戦争に勝てるのか?
いや、勝てないだろう。自分の死と引き換えに大事な人の生は保証されないだろう。

判っているのに死ぬ。突っ込む。何のために?

終戦記念日を5日後に控え、いろいろな事を考えさせられる本でした。

この「出口のない海」は市川海老蔵の主演で映画化され、9月16日から一般公開される。ぜひ見たい映画である。