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日々の気になるニュース。ただし某NGOのお仕事が忙しい時はしばらく更新されないことも…。

加速する日米軍事同盟の中で翻弄される沖縄 (各紙)

2005-10-28 11:21:04 | 駐留米軍
沖縄には米軍に対する長い反発の歴史がる。日本の国土のわずか0.6%の沖縄県に在留米軍基地の66%が集中していることは公平ではないと感じている住民は少なくない。しかし、日本の中でも最も貧しい県にあっては、米軍基地は重要な収入源であると指摘する者もいる。沖縄駐留米軍兵士が関与する犯罪、米軍機による騒音、米軍による環境破壊に関して、反対運動は日常的に行われている。中でも辺野古における反対運動ほど、持続性と日本の他の地域に与えた効果、政府へ与えた影響ということに関して、顕著なものはない。(BBCのサイトから)

在日米軍の再編問題に絡み協議が難航していた普天間移設問題で26日、日米が合意した。
ローレス米国防副次官が大野功統防衛庁長官と電話で協議し、米海兵隊・普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移転先をキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)とする案を受け入れた。
来月中旬にはブッシュ米大統領の訪日が予定されている。普天間移設をめぐる交渉がこじれ、日米関係が悪化することが心配されていただけに、日米首脳会談を前に大きな懸念材料が取り除かれたことを歓迎したい。
普天間移設は在日米軍再編の最大の焦点といわれるが、そもそも95年の米兵の沖縄少女暴行事件で反基地運動が高まり、日米安保体制が揺らぐことがないよう日米特別行動委員会(SACO)で96年に合意したことだ。ところが、5~7年以内に移設するはずだったのに、名護市辺野古沖を埋め立てて飛行場を建設する基本計画が決まったのは02年。04年からボーリング調査に着手したが、反対運動の活発化で作業は中断、小泉純一郎首相は実現が困難になったとして辺野古沖への移設計画の見直しを指示した。このため日米の合意が実現できなくなった。約束を守れなかったことの非は日本側にある。地元を粘り強く説得し、移設計画を進めてこなかった小泉政権など歴代政権の責任は大きい。
今回、日本側は実現可能なキャンプ・シュワブの陸上案を提案した。これに対し米側は射撃訓練に影響が出ない海上埋め立て案を主張し交渉が難航した。政府内では防衛庁と外務省の意見が対立し、交渉のごたごたに輪をかけた。首相官邸のリーダーシップが欠如していたといわねばならない。
だが、移設に合意した以上、今度こそきちんと計画を実施しなければならない。地元の沖縄県などへの説明はこれからだが、政府はまず全力で地元の同意を取り付ける必要がある。実現に向けて着実に前進するようロードマップも作らねばならない。環境問題に配慮するのは当然だ。(毎日新聞社説から)

「沿岸案」の対象海域にはサンゴ礁やジュゴンの餌場である藻場が少なく、海洋環境の破壊は最小限にとどまる。キャンプ・シュワブの陸上部分から建設できるため、反対派の海上阻止行動に工事を妨げられにくい。日本側はこうした理由を挙げて、米側に理解を求めた。
普天間飛行場の移設については、1996年の沖縄施設・区域特別行動委員会(SACO)最終報告で、日米が合意した。本来なら、今ごろは移設が実現していたはずである。ところが、政府は、地元の調整や妨害活動の排除など、移設の実現に積極的に動こうとはせず、10年近くも、時間を空費した。米側が日本政府に、いらだちと不信感を募らせるのも当然だ。
今回の協議で米側の責任者を務めたローレス国防副次官は、東京都内での講演で、「優柔不断、無関心、先延ばしによって失った時間を取り戻さなければならない」と述べ、日本政府がリーダーシップを発揮するよう強く求めた。政府は、代替施設建設計画の策定を急ぐとともに、来年度予算に必要な予算を計上すべきだ。(読売新聞社説から)

毎日も読売も、問題の本質に迫ろうとしていない。辺野古沖への海上基地建設もその反対運動も、日本政府は長年ほったらかしにしていたが、ここへ来てバタバタといろいろなことが決まりそうなのは、米軍再編(トランスフォーメーション)のプログラムに、現政権が積極的に関わろうとしているからだ。数の上では超強力な現政権に政治の場で対抗する勢力は残念ながらいない。ここへ来て本土の、あえて本土のと書くが、市民運動もようやく重い腰を上げはじめているが、遅きに失した感は否めない。
メディアの論評もあきれたものばかりだ。沖縄は、徹底的に拒否してもいい。沖縄にはそうするだけの理由も資格もある。沖縄が過重な負担にこれからも耐えなければならないということに合理的な理由などない。

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