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ドキュメンタリーの力 (寺子屋新書 子どもの未来社)

2005-03-29 14:34:58 | on Peace
『ヒバクシャ-世界の終わりに』の鎌仲ひとみ監督が、つい最近、金聖雄監督・海南友子監督と共著で『ドキュメンタリーの力』という本を出した。
この本では『ヒバクシャ …』の製作過程が、自身の「思い」と共に自らの筆で語られている。
実は、この本の文章自体が良質なドキュメンタリーになっていて、鎌仲監督のラシャとの出会いから劣化ウランによる低線量被曝被害に至るまでの「旅」を追体験できるのだが、こんなところにもドキュメンタリー作家としての鎌仲監督の力量を感じる。

ところで、『ヒバクシャ …』を見たときに、ヴィム・ヴェンダースのロード・ムービーと同じような「匂い」を感じたのだが、次の部分を読んで「ああ、やはりそうだったのか」と納得した。

~本文から引用~
「私自身、原爆やヒバクを過去のことと考えていた。本当に無知だった。その無知から出発して、現代のヒバクシャに出会う旅をそのまま映像にした。だからその目線はあくまでも低かったように思う。もっとわかりやすく、また映画的に素材を再構成する可能性はあったが、あくまでも私は時系列にこだわった。映画的なわかりやすさよりも私自身の発見の過程、そこで生まれたさまざまな思いや感情をこそ大事にしたかったからだ。」

マス・メディアのあり方に大いに疑問を感じている方には、特に読んでいただきたい一冊。

『ドキュメンタリーの力』
鎌仲ひとみ・金聖雄・海南友子 著
子どもの未来社 寺子屋新書 840円(税別)
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