キッチンにいそいそと去る道江。 2016-02-27 11:11:15 | 小説 キッチンにいそいそと去る道江。夏子のことはそれっきりになっている。この分では何も起こらなかったと幸男は思う。その反面、理恵のことでいつまでも、生涯かも知れないと思われる。夏子の言葉がキャスティングボードを握っているのだ。過去の恋人とは言え、道江の素直な気質とか思えば思うほど、幸男は心臓を傷めつけそうで、顔から血の気が引いていくのがわかる。小心な男が強盗に押し入れられた時のようだった。 (「おしのび」つづく)