50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

初恋の小さなチョコ・・・

2016-02-14 16:21:49 | 小説
中学一年生のとき、学校の教室で、帰りがけに思いがけず、小さなチョコをもらった、慌ただしく帰ろうとみなが準備しているとき。今でもくっきり思い出される。

彼女の初恋か、僕の初恋か。

彼女はよく僕の部活のようすと遠くから眺めていて、ときどき、「がんばってね」と割と近くまできて声をかけてくれた。僕はまだ恋とか愛とかわからなかったので、ニコってお返しするのみであった。

今でも思い出すと胸がざわざわっとして熱くなる。

彼女は今どこでどのように生きているだろうか。

僕はここでがんばっているよ。

理恵はそう敏彦に理解を投げかえした。

2016-02-14 16:17:13 | 小説
理恵はそう敏彦に理解を投げかえした。岬の波音と潮風の贈物として、「和解」と頭の隅で呟くのだった。ふるさとに敏彦に、それに幸男や夏子に、和解。けれども日常に敏彦の性にも溺れはしない、理恵としていたいと思いながら、吹く風に乱れる髪を撫でつける。

(「おしのび」つづく)