50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

理恵が宇礼市を去る二日前、・・・

2016-02-28 19:08:24 | 小説
理恵が宇礼市を去る二日前、雄造にも知られていないと知り、幸男は引いた血がもどる気分だ。木曜日、会社の帰路の夕ぐれに例の喫茶店にふらりと立ち寄っていたが、幸男の姿を見るなり彼が何とも獲物を狙った態度で、幸男の肝をつぶして、店内には相変わらずアイドル歌手の声が満ち、幸男の後悔を増幅させる。

(「おしのび」つづく)