50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

キッチンにいそいそと去る道江。

2016-02-27 11:11:15 | 小説
キッチンにいそいそと去る道江。夏子のことはそれっきりになっている。この分では何も起こらなかったと幸男は思う。その反面、理恵のことでいつまでも、生涯かも知れないと思われる。夏子の言葉がキャスティングボードを握っているのだ。過去の恋人とは言え、道江の素直な気質とか思えば思うほど、幸男は心臓を傷めつけそうで、顔から血の気が引いていくのがわかる。小心な男が強盗に押し入れられた時のようだった。

(「おしのび」つづく)


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