50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

幸男は懸命に感じないふりを・・・

2015-07-04 20:57:08 | 小説
幸男は懸命に感じないふりをしていた。
「なつかしいわ。ドラマの主役になったみたいですわ。そうそう、あの夏子さんはお元気ですか」
と理恵はマスクの中から話をそらして言う。タクシーの窓で街まちを垣間見ていて、ふるさとへの感慨めく気分が見るごとに薄れている。ドキュメンタリー番組の出演者としての目には。

(つづく)