京都のいぬぅ

I wanna be a master of life.

一歩

2006年08月06日 11時08分03秒 | つぶやき
足が自分のものじゃないみたいだ。

上に広がる空の青とは違い、
眼下に横たう水の蒼は
恐怖をうみ、岩壁から自分の足元まで、せりあがってくる。

下から見たらたいした高さではなかったのに、
いざ、目の前の高さにおじけつく。
心はそれほど、おびえているわけではない。
だが、体がそれを拒絶する。

目線からの高さはおよそ9mくらいだろうか、
その距離を確かめようと下を見れば見るほど、
水面までの距離感は失われ、自分自身が吸い込まれそうになる。

何よりも怖いのは、動かない足でうまく跳べずに、
岩壁にぶつかり、体勢が崩れ、水面にたたきつけられることだ。
水は一瞬にしてコンクリートに変わり、惨劇を生む。

自分の足をしっかりさせるために、
バシバシと2度ほど叩き、
かろうじて言うことを聞きかせ、
一気に空へと飛び出た。

目の前の景色は一気に流れ、形をくずし、
水面が眼前に瞬時にせまる。

息をするまもなく、気がつけば、目の前は水底の世界。

安堵感が体全体に染みわたるのを待ち、
私は泡と一緒に上がっていった。
水面には、太陽の光がちりばめられていた。

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